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シネマスコーレで観た『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』【映画レビュー】

★★★★☆
鑑賞日:3月30日
劇 場:シネマスコーレ
監 督:井上淳一
出 演:井浦新、東出昌大



熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。
支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。
そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。

出典:映画.com


1982年に若松孝二監督が、名古屋に作ったミニシアター シネマスコーレの物語をそのシネマスコーレで、鑑賞することが出来た。

シネマスコーレには、1980年代の後半に、小津安二郎の集中上映をした時に行った記憶がある。今回 約35年ぶりの訪問になります。

待合室に映画の機材とレアなポスターが展示してあり、入場は開演の5分前に入口に集まりに、配られた整理番号順に入場し、席の指定は無しというスタイルです。映画を見る前から感動して、最高のテンションで鑑賞することが出来ました。


シネマスコーレ待合室の展示品


作品はシネマスコーレがオープンした1983年頃の話で、その頃 名古屋の会社の新入社員の私は、すっぽりこの作品の中に収まってしまいます。

大林宣彦批判、林海像、手塚真などインディーズ系の映画の台頭などもあの当時の映画の空気感を上手く描写しています。さらに街並みや車、ファッションや音楽、懐かしい風物、人との距離感の描き方で、当時にタイムスリップした気分になりました。

私が一番感動したのは、東出昌大の演ずる木全支配人です。
にこやかで腰の低く、見た目は普通のオジサンなのですが、「これからこれから!」と常に前を向きです。「自分の映画以外は客の入るピンク映画をやっておけ」という若松監督に対し、木全支配人は面白い映画をかけたい一心で、粘り強く交渉をすすめます少しずつ、インディペンデント映画の上映を実現させてゆきます。

他にも映画監督になりたい金本、井上も素晴らしいです。井浦新演じる若松孝二監督もとても魅力的に描かれています。それぞれの登場人物の人生にしっかりと寄り添った作品です。

映画を作る人 出来上がった映画を上映する人 映画館を大切に思う人たちの愛があふれれる名古屋版ニュー・シネマ・パラダイスです。


名古屋が誇る老舗映画館 シネマスコーレ


(text by NARDAM)


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