見出し画像

原始の魂に火が付く映画『RRR』【映画レビュー】

★★★★★ 
鑑賞日:1月22日
劇場: MOVIX三好
監督:S・S・ラージャマウリ
主演:NTR Jr.
   ラーム・チャラン

昨年の公開当時(22年10月)から観たくて観たくて
劇場の大スクリーンで観ないと後悔しそうで、
しかし179分という時間がとれず、年を越してしまったが、
ロングランのおかげで3か月遅れで観ることが出来た。
約3時間の上映時間、体感的にはあっという間でもっと観ていたかった。
いやー面白かったー!興奮冷めやらぬうちに★五つ付けておこう。

 米国船長や蜘蛛人間の報復者達が宇宙を守り、とりわけ鉄人間がいなくなってからは、その手の映画に少し食傷気味であったが、
『RRR』を観て、ジャッキー映画やトニー・ジャーの『マッハ!!!!!!!!』を初めて観た時の興奮、近しいところでは『マッドマックス 怒りのデスロード』を観た時の血が沸き上がる感覚が蘇った。

どんなに言葉を尽くそうが、観れば一発で面白さが分かるはず。百聞は一見に如かず。SNSや予告等々で事前にいくつか凄いアクションシーンを観ていたのに、それを上回るアクション、畳みかけるクライマックスの連続、
そんなアホな!のオンパレードだが、これが無理なく必然と思えるほどにいい流れで進んでいく。
誰もがわずかに残っているであろう原始の魂に火が付いていく。

ビームとラーマは反英運動家として有名な実在の人物で、同年代で実際には出会ってなかった二人が出会っていたとしたら? な、「if」映画。
史実に合わないとか勧善懲悪すぎるとかそんなことをすべて超越した、魂で観る映画だ。荒唐無稽に見えるアクションもしっかり振りがあっての伏線回収であった。
背景にある文化を知るとまた違った楽しみ方が出来そう。リピーターが多いのも納得だ。巻き戻して観たいシーンばかりである。英国人以外は何度も観たくなるだろうなー。
ラージャマウリ監督は『バーフバリ』でもそうであったように、今回も事前に監督自ら飛んだり、吊られたりと実際にアクションを試してから指示を出すので俳優陣は文句を言えない(笑)。

インド映画ブームを作った『ムトゥ踊るマハラジャ』も
(1995年/監督:K・S・ラヴィクマール)もう30年くらい前の映画だ。
進化し続けるインド映画。

2022年の世界人口(約80億人)ランキングは、
1位、中国 14億4,850万人
2位、インド 14億660万人
3位、アメリカ 3億3,480万人(因みに日本は11位1億2,560万人)…中国が少子高齢化なのを考えるとインドが1位になるのは時間の問題だ。
インドのGDPは2021年には2.8兆ドルであり、世界で6番目に大きな経済になった。 またインドのGDP PPPは8.6兆であり、アメリカと中国に次ぐ3番目に大きな経済となっている。
Wikipedia によると2030年代には15億人を超え、中国を抜き世界一の人口となる見込みであるが、2050年には16.6億人になると予想されている。
 

「サルサでもフラメンコでもない…ナートゥをご存じか?」
もうナートゥダンスバトル最高!(劇中歌「ナートゥナートゥ」が第80回ゴールデングローブ賞のオリジナル歌曲賞受賞!)

キレッキレ!高速ダンスを観よ!

今作が映画デビューのオリビア・モリスの今後に期待。

ジェニファー(ジェニー)役のオリビア・モリス。

タイトル『RRR』について
『RRR』は企画の段階では、監督ラージャマウリ(Rajamouli)、ラーム・チャラン(Ram Charan)、そしてN・T・ラーマ・ラオ・ジュニア
(NTR Jr.)の名前にあるRと、3つのRを重ねた仮題として企画がスタートしたという。
その後、英語ではRISE(蜂起)、ROAR(咆哮)、REVOLT(反乱)の頭文字として、これらの単語がタイトルに付されている。
テルグ語、タミル語、カンナダ語、マラヤーラム語では、Rが入った単語(怒り、戦争、血を意味する)がサブタイトルとして付けられている。

TOKYO ART BEAT

インタビュー①
ハリウッドだからといって、魂を失ってまでは作りたいとは思わない

バフィー吉川 近年、インドでは全国的にアメコミ映画が人気で、新作は必ず興行収入のランキングに入ってきます。そこで質問なのですが、今後ハリウッドからラージャマウリ監督にオファーがあったとしたら、そのオファーは受けますか?
ラージャマウリ もちろん、それは映画の作り手として、誰もが夢見ることだと思います。ハリウッド大作であれば、世界中の多くの人に作品が届くことも魅力的です。そして私も作ってみたいという気持ちがあります。ただ、20年以上インドで映画を作ってきて、自分の手法、自分のストーリーテリングはある程度確立してきている。インド的な作り方というか、これは私の魂です。テーマなどが一致し、その魂を活かせるのであれば作りたいですが、いくらハリウッドだからといって、魂を失ってまでは作りたいとは思いません。そういった条件にもよりますが、もし機会があるのなら挑戦してみたいとは思いますね。
バフィー吉川 そこに続く質問になりますが、8月にインドやアメリカで『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)のヒンディーリメイク版が公開されました。今後も『マイ・インターン』(2015)など、アメリカやイギリスをはじめとした海外映画のヒンディー、タミルリメイクが計画されています。もしハリウッドからのオファーが、そういったインド的に変換してもかまわないというリメイクの企画だったとして、リメイクしてみたい海外作品はありますか?
ラージャマウリ リメイクにはそもそも関心があまりないです。オリジナルが素晴らしいのであれば、作り直す必要もないと思います。それは英語の作品であっても、ほかの言語の作品でも同じです。しかし、たまにストーリーは素晴らしいのに、映画としてのクオリティがいまひとつな作品に出会ってしまった場合は、リメイクしてみたいとか、自分であればこう作るのにな、と思うことはあります。あるいは80年、90年前の古典作品となってくれば、新たな解釈で作ってみたいという意識がないわけではありません。

IGNjapan by Buffyyoshikawa

インタビュー②
アクションもダンスも、全ては感情を伝えるためにある

池ノ辺 この映画で監督が一番表現したかったのは、どんなところですか。ラージャマウリ  私が演出していくそれぞれのシーン、演技、会話、アクション、そしてダンス、こうしたものは全て、何らかの感情を伝えるための手段と思っています。私自身は、感情を“ほのめかす”、というよりは直接的に強く表現したい、そういうスタイルですから、観ている皆さんにも大きな声で笑ったり、思いっきりドキドキワクワクしてほしい、そういったものをお届けしたいと思っています。
池ノ辺 最後に、監督にとって映画とは何ですか。
ラージャマウリ 私にとって映画は、人生そのものです。映画なしの人生というのは考えられないですね。呼吸をするような、あるいは食べたり飲んだり寝たり、そうした人間の基本的な欲求の延長にあるのが、自分にとっては、誰かにストーリーを伝えるということであり、誰かの心を揺さぶるということなのです。
池ノ辺 観客がいるということが大切なんですね。
ラージャマウリ 観てくださるお客さまなしの人生はないということです。

Interview by Ikenobe-naoko 「otocoto」

ラージャマウリ監督はチェ・ゲバラの若き日の南米旅行を描いた『モーターサイクル・ダイヤリーズ』(2004)から物語のコアになる部分を取り入れたことを明かしている。


トム・クルーズとキャメロン・ディアスの共演作『ナイト&デイ』(2010)をインドでリメイクした『バンバン!』(2023年2月公開予定)はどうだろう?
…2014年製作となっているから、『RRR』のヒットを受けて上映となったのかな?


                      (text by 電気羊は夢を見た)



この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?