長江貴士

これまで4000冊近くの本を読んできました。 「文庫X」とか「帯1グランプリ」とかやり…

長江貴士

これまで4000冊近くの本を読んできました。 「文庫X」とか「帯1グランプリ」とかやりました。 『書店員X』(中央公論新社)とか『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんて マジ絶望』(秀和システム)とか著作があります。 なるべく、フラフラと適当に緩やかに生きていきたいです。

最近の記事

  • 固定された記事

<索引>【オススメ本リストのリスト】【映画 感想・レビュー・解説】【本 感想・レビュー・解説】【思考の断片・思索の途中・価値観の表出】【乃木坂46メンバーのまとめ】

<プロフィール>【オススメ本リスト】のリスト <索引>【本】感想・レビュー・解説 <索引>【映画】感想・レビュー・解説 <索引>【思考の断片・思索の途中・価値観の表出】 <索引>【乃木坂46メンバーのまとめ】

    • 「電話が苦手」「本が読めない」理由を、「日本語の特殊さ」と「テレビ・YouTubeのテロップ」から考察してみる

      以前、友人と話をしている中で、「今の若い人は、『話し言葉』と『書き文字』を同時に認識する状況が多いせいで、それぞれを単体で受け取るのが不得意になっているのではないか」という話になったことがある。 というわけで今回は、そんなテーマについて少し掘り下げて考えてみたいと思う。 まず、「『話し言葉』と『書き文字』を同時に認識する」という状況についてだが、僕はYouTubeなどの動画配信をイメージしている。僕は普段YouTubeをほとんど観ないが、たまに観てみると「喋っている内容を

      • 【映画】「胸騒ぎ」感想・レビュー・解説

        いやー、これはダメだろう。ダメだよ、こんなん。これが成立するんだったら、何でもありやん。 というような話をしたいと思う。 映画を観ながら頭に思い浮かべていたのは映画『ぼくのエリ』である。作品のタイプとしては別に似ているというわけではないが、「狂気的な状況を描いている」という点は共通しているし、北欧発のホラーでもあるので、ちょっとこの作品との比較で本作『胸騒ぎ』の話をしたいと思う。 映画『ぼくのエリ』は、本作とは比べ物にならないぐらい凄まじく狂気的な状況が描かれているのだ

        • 【映画】「水深ゼロメートルから」感想・レビュー・解説

          いやー、これはメチャクチャ面白かった!正直観ない可能性の方が高かったから、観に行って良かったなぁ。しかも、全然狙ったわけではなかったけどトークイベント付きで、そのトークイベントも面白かったからとても得した気分である。 本作は、映画『アルプススタンドのはしの方』(僕は観てない)と同じシステムで、高校演劇を劇場映画版にしたものである。トークイベントで語られていた話については後で触れるが、本作が映画化に至った遍歴だけざっくり書いておくと、 「高校演劇の全国大会の予選で最優秀賞」

        • 固定された記事

        <索引>【オススメ本リストのリスト】【映画 感想・レビュー・解説】【本 感想・レビュー・解説】【思考の断片・思索の途中・価値観の表出】【乃木坂46メンバーのまとめ】

        • 「電話が苦手」「本が読めない」理由を、「日本語の特殊さ」と「テレビ・YouTubeのテロップ」から考察してみる

        • 【映画】「胸騒ぎ」感想・レビュー・解説

        • 【映画】「水深ゼロメートルから」感想・レビュー・解説

          【映画】「またヴィンセントは襲われる」感想・レビュー・解説

          以前、こんな話を聞いたか読んだかしたことがある。 誰しもが「背中に視線を感じる」という経験をしたことがあるだろう。「誰かに見られている気がする」と思って振り向くと、やっぱりその通りだった、というような。しかし、どうしてそんなことが起こるのだろうか? あるいは、「目が合った」というのは、かなりピンポイントな感覚としてやってくるはずだと僕は思っている。ほんの僅か視線をズラすだけで、「目が合った」という感覚から遠のいてしまう。ただ「目を見ている」のではない、「目が合った」としか

          【映画】「またヴィンセントは襲われる」感想・レビュー・解説

          【映画】「ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版」感想・レビュー・解説

          本作は、映画館の予告でその存在を知った。とりあえず、「リマスター版やレストア版は可能な限り手当たり次第観る方針」なので、本作も、予告の映像しか情報を知らないまま観に行った。 予告の映像は、実に「不思議」な雰囲気だった。乾燥した岩山を、真っ白の高貴な服を着た女性たち登っている。とにかくその「背景」と「佇まい」の違和感が凄まじかった。その「なんとも言えない妖しげな雰囲気」から、僕は、「ファンタジックな設定の物語なんだろう」と思っていたし、なんとなくそういう心持ちで映画館に行った

          【映画】「ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版」感想・レビュー・解説

          【映画】「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」感想・レビュー・解説

          面白い映画でした! 本作は、実話を基にした作品で、普通に描いたらシリアスになってしまいがちな物語なんですが、全体的にとてもポップに楽しい感じに仕上げているのが良かったなと思います。僕は普段から「シリアスな実話を基にした映画」を観るけど、やはりそういう作品は一般的に、あまり広くは観られないように思います。でも本作の場合は、扱われる内容はシリアスなのに全体的にはコメディ的に進んでいくので、色んな人が楽しく観られる作品じゃないかと思います。 主人公は、ドイツに住むトルコ人の母親な

          【映画】「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」感想・レビュー・解説

          【映画】「殺人鬼の存在証明」感想・レビュー・解説

          これはなかなか見事な物語だった。「実在した、ソ連史上最凶の連続殺人鬼」をモデルにしたという情報だけ知っていたので、ドキュメンタリーに近い作品なのかと思っていたが、それは違っていた。全体の物語は、まず間違いなくフィクションだろう。しかし、そのフィクションの物語が、かなりよく出来ていたと思う。 時系列がかなり前後するので、物語を追うのに苦労するし、「本作では一体何が描かれているのか?」が分からないと理解できない描写も多い。だから、物語を最後まで追わないとなんのこっちゃわからんと

          【映画】「殺人鬼の存在証明」感想・レビュー・解説

          【映画】「人間の境界」感想・レビュー・解説

          いやー、ホントに、これは凄まじかった。その凄まじさを説明するためにまず、公式HPに書かれている「ポーランド政府からの映画上映の妨害」について触れておこう。 「ポーランドの凄まじい現実」を暴き出した本作に、ポーランド政府は激しく反応し、本作を上映する劇場に、上映前に「この映画は事実と異なる」という政府作成のPR動画を流すように、と通達を出したそうだ。しかし、ほとんどの独立系映画館がその命令を拒否し、また、多くの映画人が本作監督を支持し、「政府vs映画界」という異例の状況になっ

          【映画】「人間の境界」感想・レビュー・解説

          【映画】「ペナルティループ」感想・レビュー・解説

          なるほどなぁ。「ループものの物語」はもう出尽くしたかと思っていたが、ちょっと前にも『MONDAYS』や『リバー、流れないでよ』など、新機軸のループものの物語が出てきている。そして本作もまた、少し変わった形でループが描かれる作品と言えるだろう。 さて、僕はこんな映画が公開されていることをまったく知らず、映画館のトイレに貼ってあった写真みたいなのでこの映画の存在を知った。そして、その程度の情報だけで本作を観たので、「ループする物語」ということ以外、まったく何も知らずに観た。

          【映画】「ペナルティループ」感想・レビュー・解説

          【映画】「悪は存在しない」感想・レビュー・解説

          「さっきの話なんですけど」 「うん」 「野生の鹿って、人を襲うんですか?」 「襲わない」 「でも時々、奈良の鹿が人を襲ったとかってニュースになってたりしますよね」 「あれは人に慣れすぎてるだけ。野生の鹿は襲わない」 「絶対に?」 「絶対に。人を見れば必ず逃げる。可能性があるとすれば、半矢の鹿かその親」 「ハンヤ?」 「手負いって意味。逃げられないとしたら、抵抗するために襲うかもしれない。でも、あり得ない」 「でも、人を怖がるっていうなら、そもそも、グランピング場を作ったら鹿も

          【映画】「悪は存在しない」感想・レビュー・解説

          【映画】「システム・クラッシャー」感想・レビュー・解説

          本作は、衝動を抑えきれず大暴れしてしまう9歳の少女ベニーを描く物語である。しかしまず僕は、映画で描かれている国(たぶんドイツ)の福祉制度に驚かされてしまった。 ベニーは、基本的に保護施設で暮らしている。「たらい回しにされている」という表現の方が正しいが、その辺りは後で触れよう。ベニーのことは、社会福祉課のバファネが担当している。 ではそもそも、ベニーは何故保護施設にいるのだろうか? 日本の場合、「両親ともいない子ども」、あるいは「親からDVやネグレクトを受けている子ども

          【映画】「システム・クラッシャー」感想・レビュー・解説

          【映画】「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」感想・レビュー・解説

          ホントに、イカれた話だった。これが実話だっていうんだから、やっぱり僕の「宗教嫌い」はあながち間違ってないなぁ、と思う。 以前、大学時代の友人と、こんなような話をしたことがある。キリスト教だってイスラム教だって、元々はユダヤ教から分離した「新興宗教」だった。確かに今は「世界宗教」みたいになっているし、「キリスト教とかイスラム教とかは、宗教としてちゃんとしてる」みたいな扱われ方になってる。でも、結局は「新興宗教」「カルト宗教」みたいなことと変わりないんだし、となれば、オウム真理

          【映画】「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」感想・レビュー・解説

          【映画】「正義の行方」感想・レビュー・解説

          いやー、これは実に興味深い作品だった。 「飯塚事件」のことを知ったのは恐らく、『殺人犯はそこにいる』を読んだ時だったと思う。著者の清水潔の尽力のお陰もあって再審無罪となった「足利事件」においては、事件当時まだ開発されたばかりだったDNA鑑定法「MCT118法」によって有罪判決が決まったのだが、後にこの鑑定法に「証拠能力が無い」と認められて再審無罪が決まった。そして、同じく「MCT118法」のDNA鑑定も有力な証拠となって有罪が決まり、最高裁判決からたった2年後という異例のス

          【映画】「正義の行方」感想・レビュー・解説

          【映画】「死刑台のメロディ 4K リマスター・英語版」感想・レビュー・解説

          さて、4Kリマスター版で劇場公開されていた本作を観ようと考えた理由はただ1つ。エンリオ・モリコーネである。 エンリオ・モリコーネのことは、割と最近知った。『モリコーネ 映画が恋した音楽家』というドキュメンタリー映画を観たのだ。エンリオ・モリコーネが世間的にどれぐらい有名な人なのか僕にはよく分からないが、少なくとも僕は、このドキュメンタリー映画を観るまで彼のことは知らなかった。 エンリオ・モリコーネは、映画音楽の世界ではパイオニアであり生涯トップランナーだった。映画音楽のた

          【映画】「死刑台のメロディ 4K リマスター・英語版」感想・レビュー・解説

          【映画】「マンティコア 怪物」感想・レビュー・解説

          いや、これは何とも重苦しい物語だった。「ある要素」さえ描かれなければ、「よくある恋愛物語」にしか思えないような展開なのだが、「ある要素」が含まれることによって、城がじわじわと崩壊していくような感覚に陥る。いや、それも違うか。正直、その「ある要素」がどう物語に関係してくるのか、終盤になるまで正直理解できていなかったため、「ぼんやりとした不安感」みたいなものにずっと支配され続ける作品と言えばいいだろうか。 本作の興味深い点は、「よくあるテーマを描いているにも拘らず、今までとは違

          【映画】「マンティコア 怪物」感想・レビュー・解説