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大人の発達障がいについて②

2018.9.25の記事より

大人の発達障がいの診断テストを受けるには?


皆さんは、何かの「診断」と聞くと何を思い浮かべますか?

私は、すぐに「ガンの診断」が思い浮かんでしまいヒヤっとします。実際にそういう疑いがあり「診断」を待っているとしたどうでしょう?
仮に十中八九ガンではないと、お医者様から言われていたとしても、「ガンじゃないという診断」でなければ、毎晩眠れない夜を過ごすと思います。

では、春の初めに鼻水が止まらないので耳鼻科に行って検査したら風邪ではなく「花粉症という診断」を受けたとしたらどうでしょう?皆さんも、「あーやっぱり!」と思いこそすれ、絶望することはないと思います。

これは、命にかかわることか、そうではないか?という「診断」の話なので比べ易いですよね?

では、「発達障がいかどうかの診断」というのは、どういう位置づけになるでしょうか?「診断」が良いとかそうでないのか?とは、スッパとは答えられない気がしますよね?

今回は特に「大人の発達障がいの診断」そして「診断をうけるメリット」についていっしょに見ていきたいと思います。

発達障がいって何?


発達障がいとは、生まれながらにして脳の発達に偏りがあり、その方が成長していく過程で、社会と関わっていくことに生きづらいと感じる状態の事をいいます。
以下の二つが代表としてよくあげられます。

1、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder、以下ASD)


想像力の欠如や乏しさから、目に見えない抽象的な事柄が理解しづらく、ご自分がおかれている状況がわかりづらく混乱しやすいです。
また、コュニケーションのとり方が独特なので周囲の人との関わりが難しく、ご本人がご自身の大変さを周囲の人に伝えていくことも苦手です。
年齢相応の社会生活を送っていくのに困難な場面によく遭遇します。

2、注意欠如・多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder、以下ADHD)


幼少期からソワソワと落ち着きがなかったり、忘れ物が多いなどというこ事がよく見受けられます。
また、衝動性が高く、思いつたことをすぐに行動に移してしまうので、周囲の方が驚いて対応に困り、ご本人と周囲の方との関係がうまくいかない事がよくあります。
大人になるにつれ衝動性の部分は減る傾向にありますが、片付けが出来なかったり、時間の管理や物事を計画立ててやることが苦手です。
ASDの方同様に、年齢相応の社会生活を送っていくのに困難な場面によく遭遇します。
ASDとADHDの発達障がいに共通することは、周囲の人には「困った人だな」と思われ、ご本人はご自身の生きづらさに悩み「困っている」ということです。

それでも、大人になる前にご自身の生きづらさを、ご家族の方や、周囲の方に理解してもらい、医療や相談等でサポートを受けられている方は、良い方向に向けられるチャンスが多いと思います。

大変なのは、大人...だいたい高校卒業後・18歳から20歳以降...になり、ご自身と周囲の方との違和感を感じ、あれれ?自分って何か変?と意識し、悩み始めた方です。

悩み始めると、冒頭に書いた「ガンかどうか?の診断」のように気になって夜も眠れなくなってしまうかもしれません。

そうすると、どこかに相談や診断を求めたくなる方も多いでしょう。次のところで、その場合どうしたら良いかについて見ていきましょう。

大人の発達障がいの診断、テストとは?


さて、ご自身が大人になり、周囲の人や、職場や周りの人との関係に悩んだりして、「もしかして、この傾向は発達障がいかも.....どうしよう?」と考えたらまずどうするでしょう?

ご家族の方に先に相談することもあるかもしれませんが、まずはご自分で「発達障がいかどうか知りたい!!」と考える方も多いと思います。

そうすると、大人の発達障がいを診てもらえるメンタルクリニックを探し、受診の予約を取り、受診に行かれることになります。

大人になってからの発達障がいの診断を受けるには、幼少期の記録や様子も必要になるので一回や二回の受診で終わることはまずありません。

受診の予約も含めて半年くらいの期間がかかると思っていただいた方が良いです。
発達障がいの診断が出来るのは、医師のみになります。

診断を受けるにあたり、初回からの流れはクリニックにもよりますが、おおよそ、次のようになるようです。

1、クリニックの予約。ネットから予約できるところもあるようですが、電話で予約を受けるところも多いです。

2、インテーク。初回面談。最も大事とされています。ヒアリングと言われることもあります。臨床心理士の方や、それに準じた方が担当されることが多いです。

先にご自身で、いわゆる問診票に紙ベースが多いですが以下のようなことを記載します。
クリニックに来るまでの経緯、現在のご自身の環境や状況、家族関係、困っていること、心身のつらい症状・・・・などなど。

記載した内容を見て、担当の方との面談で、細かいことを確認していきます。

3、医師との面談(初診)

医師が複数いらっしゃるクリニックも多いのですが、初回は大体院長が面談します。
インテーク(ヒアリング)を元に診療方向を決めていきます。一回で決まらないこともあります。何らかの診断希望の場合は、診断テストの種類や内容の説明があります。

4.ここからは、個々の状態によりますが、臨床心理士と面談して診断に必要なテストを受けます。ASDやADHDの簡易スクーリングテスト。大人版WISCにあたるWAIS。
これらをもとに、ご本人から更にヒアリングもしていきます。二回や三回に分けて行われることが多いです。

5、医師は、診断テストやヒアリングを元に、ご本人と面談。

また、ご家族の方に来てもらい、幼少期の様子をヒアリングします。
ご本人といっしょの場合もあるし、ご本人とは別にヒアリングする場合もあるようです。

6、医師は、DSMーⅣ(アメリカ精神医学会で定義している精神疾患の分類と診断のマニュアルと基準)を元にして色々総合的に判断。診断に至ります。

ここまででかなりの時間がかかることがわかりますね。
診断を受けることにここまで慎重になるのは、理由があります。
診断を受けた場合のメリットはもしくはそうでない場合もあるのか?次に見ていきましょう。

大人の発達障がいの診断をうけるメリットは?


さて、かなりの時間をかけて、「あなたは、発達障がいです(ADSやADHD)」と診断されたとしましょう。

「やっぱり、私は発達障がいだったんだ!性格とか怠け者とかじゃないんだ!すっきりした!」と思う方もいれば、「覚悟はしていたけど、自分は発達障がいという重い十字架を背負っているんだ。一生背負って生きていくんだ」と、一度にはご自身で受け止めきれないという方もいるでしょう。

冒頭に書いたように、花粉症の診断のように考える方もいれば、ガンの診断のように考える方もいるということです。

診断をうけることがメリットかどうかという前に、ご自身がなぜ診断をうけようと考えたのか?もう一度思い返していただきたいのです。
仮に、発達障がいという診断がなくても、ご家族や周囲の方からご自身を受け止めてくれる環境があり適切なサポートがあれば、診断は必ずしも必要ではなく暮らしていけるはずです。

あえて、診断をうける場合は、今以上に大きなサポートを受けるためではないでしょうか?

けれど、適切なサポートが現状十分ではなく、生きづらい、どうにかして苦しい状況から抜け出すための一つの手段として、診断を求めた方も多いのではないでしょうか?

診断を前提に、少しでも周囲の方のご自身を理解して受け止めてもらい、適切なサポートを得られるとしたら、診断を受けるいわゆるメリットはあるといえるでしょう。

診断自体にメリットか?デメリットか?という単純な比較は出来ないと思います。あくまで、個々の状況によるということです。

医師の方は、診断を希望する方のご家族の様子も考慮して、慎重に診断をされるはずです。

場合によっては、「発達障がいの疑い、もしくは傾向が見受けられる」というグレーな診断をされた方も多数いらっしゃると思います。

「障がい」とあえて診断することでご本人が今以上に落ち込んでしまい、生きづらくなるようなら本末転倒なので、医師があえて診断を避けるという話もよく聞きます。

あえてはっきりとした診断が必要といえば、精神障がい者手帳を取得する場合などには必須です。

例えば、手帳枠でのこれからの就労や、転職を希望される方の場合などです。

もし、現在会社にお勤めだったら、合理的な配慮を受けるために診断書や意見書を作成してもらう事は有効ですし、メリットがあるといえるでしょう。

また、診断を元に、ご自身の今あるメンタルの症状を改善するための、薬物の使用や認知行動療法など治療計画を立てていくのにもメリットはあることでしょう。

診断を受けることだけ重きをおかず診断をうけた後の事を、まずはクリニックの医師や臨床心理士とよく相談ができ、ご自身の現状よりも安心して暮らしやすい方法が見つかっていけば、診断をうけるメリットがあるといえるのではないでしょうか?

まとめ


今回は、発達障がいかどうか?の大人の場合の診断するためのテスト方法や、診断方法、診断後のサポートなどについて見ていきました。

大人の発達障がいについては、二次障害の精神疾患の方の症状が強く出ている方も多く、ここ数年で、実は精神疾患は二次障がいで、発達障がいに方がメインだったということがわかるケースが増えているようです。

発達障がいの診断には、クリニックを探すところところから、初診。

初診から数回にわたる発達テストやヒアリング、医師による総合診断。診断後の治療の方向性、ご自身の治療プログラムの参加や試み・・・などなど

辛い状況の中で、ご本人が長い時間をかけてお自身の事を探り当てていくという心身ともハードな面が多いことがわかります。

できたら、ご家族の方の理解が得られ一番のサポーターになってくれることが望ましいのですが、そういう方ばかりでないことも現状よく伺います。

そういった場合に「発達障がいの診断」を受けることで、医師や臨床心理士、また、お住まいの地域のケースワーカさんなどにつないでもらうと、支援を受けやすくなります。

時間はかかりますがご自身がご自身の特性を受容され、少しでも生きづらさが解消され、楽な気持ちになれたら良いですね。

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