ふたりのすれ違いを観続ける自信がない/大河ドラマ『光る君へ』第11回
道長のメンタルを心配している場合じゃなかった。
私のメンタルが危険水域に達しそうなんだが。
というのが、大河ドラマ『光る君へ』第11回の感想。
(以下、ドラマの内容と、一部史実を含みます)
道長が精悍な顔つきになっていることに驚く。まひろも道長も、第9回まではちょっと幼かったのに。そういえば吉高さんが先日第5回と10回の廃屋でのシーンの撮影日が同じだったと言っていたことがニュースになっていたんだけど、嘘でしょ!?(汗) あのシーン同じ日なの!?
帝即位の日、生首(せめて桶に入れてほしい……)にも動じず、この件を他言無用&脅し文句で無かったことにした道長に、マイペースでのんびり屋のイメージはもうない。彼は「政治の頂で、まひろから言われた通り正しい世を目指す」のである。
「俺がんばる。だからまひろに側にいてほしい。残念だが北の方はムリ。だけど心の中ではお前が一番」
時代を考えると、道長はおかしなことを言っておらず妥当な判断だと思う。
だが、まひろは「耐えられない」と言った。現実を理解しているのに、どうしてもできない。前回、現実逃避と恋の勢いで情熱的なアプローチをした道長に対して、志を説いた冷静なまひろ。対照的なふるまいだったのに、道長と再会したまひろは激情に駆られていた。前回のあの逢瀬がそうさせたのだ。
兼家に直接会いに行くほど肝は据わっているのに、道長への思いはどうすることもできない。紫式部自身が経験したことを基に『源氏物語』を紡ぐという脚本は、なかなか酷である。今のまひろは紫の上? 六条御息所も、まひろの嫉妬の化身なのかもしれない。
彼女の気持ちを「分かる」と言いながら「お前は勝手だ!」と激昂し、その勢いで倫子との縁談を進めてほしいと願い出る(たぶん)道長。長い春のカップルが突然別れて、そのまま、出会って間もない異性と結婚するパターン。自分の周りはみんなコレなんだけど、まさか大河でも見るとは思わなかった。もうちょっとまひろの気持ちを待ってくれないの、道長。
ふたりがどんどんすれ違っていくのは、とてもつらい。だが全方位からツッコミを入れてほしい直秀は、もういない。「だから言っただろ? あの男はやめておけって」と、まひろをフォローする直秀は、いないのだ。
女は待つしかない時代に、「狙っている人がいるの。必ず夫にします。この家の婿にします」と言い切る倫子は、やはり最強である。それにしても、笑いながらまひろとやり取りするシーンにはヒヤヒヤ。こわい。これこそ金妻のパティオ!
道長の最愛の人がまひろだと気づいたとき、倫子はどういう態度を取るのだろう。賢い倫子のこと、気づくときがきっと来る。道長の北の方が倫子だと分かったとき、まひろは自分を押し殺すのだろう。
最近、よく屋敷にやってくる蔵之介さん演じる宣孝。まひろと宣孝、歳の差からか互いに気を許していて意外とお似合い。この宣孝なら、まひろの気持ちを全て理解して自ら夫になる気がしてきた。
そして出番が増えてきた道長の異母兄・道綱。政治闘争に巻き込まれていく道長が、心を許せる数少ない相手になるのかも。さらに定子や小生意気な伊周も登場し、一族間の権力争いは加速していきそう。
登場人物が増えて物語が大きく動くのは楽しみだが、この先まひろと道長の壮大なすれ違いをずっと見せられることになるのは、耐え難い。
「早く越前での一年に飛んでくれないだろうか」とさえ思えてきた。どうしよう。どうしようーーー!!!
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