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登場人物たちの目線が絡み合う/ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』第3話

順調に、若葉竜也沼に落ちている。
いや、三瓶友治沼かもしれない。

(以下、ドラマの内容を含みます)

第2話のラスト、ミヤビと自分が婚約していたことを明かしたDr.三瓶。

「これから言うことは、日記には書かないでください」

そう前置きして、2人の間柄を淡々と説明した彼は、たぶん彼女の後遺症を治せる可能性を信じているから、そして2年間の記憶がなくても強い感情があれば脳が反応し、何かしら思い出してくれると願っているから、そう言ったのだと思う。日記に書いて「婚約していた」ことを暗記されたところで、ミヤビを困惑させるだけだと感じているから。

三瓶がことあるごとにミヤビに渡そうとするグミも、もしかすると2人にしか分からない意味のあるアイテムなのかもしれない。彼が持っていた写真を見る限りでは、彼らはごくありふれた爽やかなカップル。アメリカで脳外科医として学んできた三瓶は、どうしてもミヤビの脳の状態を知りたい、知る必要があった。

ミヤビはずっと大迫教授に診てもらっているけれど、ミヤビも脳外科医であり、これまで自分の脳を調べようと思えば調べられたのではないか? 三瓶に語った、「治らないことに絶望、失望するのが怖い」という気持ちからなのだろうか。

三瓶は、教授になんらかの疑い、あるいは信用できない何かを感じている様子。それは天音くん演じる綾野に対しても同じである。もっとも、綾野はミヤビのことをずっと好きで、三瓶にとっては違う意味でやっかいな相手。綾野とミヤビは、どうやら以前はいい雰囲気だったらしい(綾野の政略結婚相手・脳外科秘書の西島談。ブラックな生田絵梨花ちゃん、新鮮!)。

病院の食堂で、ミヤビが綾野と楽しそうに話している様子を見て、明らかに嫉妬心メラメラのDr.三瓶。目が! 目が! 「あの野郎、ぶっ飛ばします」と立ち上がり、それを制した星前に「大丈夫です、昨日“ロッキー”観たんで」と言い放つDr.三瓶。

飄々としていて冷静に見える彼が、実はいつもミヤビを見つめており、一喜一憂している。台詞少なめで謎めいているのに、若葉竜也という役者は目の動きや“間”で三瓶の動揺を体現する。もうひとときも彼から目が離せない(笑)。というわけで、私は完全に沼っているのである。

第3話は、いつも厳しい津幡看護師長の過去と克服が描かれた。本来の彼女は、酔っぱらうと大声で歌っちゃうのか! でも驚いたのは、過去に遡ったときの映像と今の映像の差。津幡の、苦悩しながら歳を重ねてきた感が表れていてすごい。医者の心に不安があれば、医療ミスにつながりかねない。その結果、医者の人生も変わってしまう。だからミヤビが不安でいるうちは手術をさせてはいけないと、津幡はオペ復帰に反対していたのだ。だが職場で相談しにくい雰囲気をつくっていたのは自分のせいだと、真摯な態度で頭を下げる。こうして、少しずつミヤビの周りも前へ進んでいく。

ラスト、過去に三瓶が言ってくれたことを、日記からではなく、自分で思い出した気がすると告げるミヤビ。

「私の心は、三瓶先生を信じてるのが分かりました。私の脳を検査してください」

そう言われて、ミヤビをじっと見つめる三瓶は明らかに動揺していた(目が、目が!)。アカン、これはアカン! 沼が底無しになる!! 

「婚約していたと言われたが、とても信じられない」と記していた日記を消して、「わたしは三瓶先生を信じる」と上書きするミヤビにもグッと来る。彼女がすべてを思い出せなくても、2人は少しずつ信頼関係を深めていく。

はぁーーー、三瓶先生、よかったね、よかったねと思ったのも束の間、今度は検査の結果に驚愕する。

どういうことなん!?

これって、心理的なものということ? 大迫教授にはミヤビに思い出してほしくないことがあるってこと? 天音、天音はどうなの? 綾野は、現段階では同僚だった頃のように近づきたいようだけど、綾野もミヤビには思い出してほしくない何かがあるとか? 彼女の記憶が戻っていないか探るために近づいているとか? 本心がまったく見えない役の天音くんは、輝きを放つ。その目の奥で、何考えてるの? まったく分からない。そもそもミヤビの事故は、ただの自損事故だったのか?

人間の再生と成長を軸にしたヒューマンドラマだが、恋愛要素とサスペンスを絶妙に絡ませたストーリー展開。そして、なんといっても役者陣が素晴らしい。次回は、ブラック西島嬢が良からぬ何かを仕掛ける模様。大迫教授の動きも気になる。三瓶と大迫は、これまでにも何かあったのだろうか。謎は深まるばかり。うわー、月曜日を待ち遠しく待つなんて(笑)。

あぅぅ、こんなに大量に書いてしまった! 誰も読んでくれないかも。長くてごめんなさい。 


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