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my love poetry reading.   フレデリック・ロルフの『THE D…

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my love poetry reading.   フレデリック・ロルフの『THE DESIRE AND PURSUIT OF THE WHOLE』の翻訳を趣味で。 最も愛するのは稲垣足穂、マーロン・ブランド、ブレードランナー2049。

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  • タルホと月(稲垣足穂について)

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    フレデリック・ロルフ、コルヴォー男爵の遺作『THE DESIRE AND PURSUIT OF THE WHOLE』の翻訳連載です。 意訳超訳お許しください。

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.6  青森は良い 

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.5  長い映画嫌いなんだよね。 

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世界で一番好きな街はどこかと問われたら、神戸と答える私である。 で、その神戸。神戸といえば足穂。そして、トアロード。 と、いうことで4日目は、『TOR ROAD STYLE BO…

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.3 『ブレードランナー2099』ってどうなるんじゃろ

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.2 数に溺れて

私は1960年代〜70代、或いは80年代〜90年代、それに加えて00年代〜20年代も好きで……、なーんて、犯人像みたいな感じになっているが、今日の本は1969年刊行の本である。 1…

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.1

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その著書の刊行物は全て欲しい、蒐めたい、そのような時、車谷長吉の本は比較的イージーな部類に入るだろう。 全集も3冊だけ(死後、4冊目を刊行するという話だったが………

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有名な人が評価した、だからその絵は1000万円なんだよ。 川端康成の話

先日、なんでも鑑定団を観ていると、東山魁夷の絵が鑑定に出されていて、偽物っぽかったが、本物で、5000万円という査定だった。 5000万円、という額はあくまでも番組の評…

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二つの俳句の星、『あかぼし俳句帖』と『ほしとんで』

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The Ding Dong Song

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夕暮れに青く染まったモスクから巡礼の声が聞こえ漏れてくる。瓦斯灯に灯りが点って、街々から人の気配が薄れていく。

僕は坂道を駆け上がって、滑り込みセーフで昆虫館の扉を叩く。館長は椋木の椅子に腰掛けていて、眠たそうにその黒い口髭を擦っていた。僕の姿を見ると立ち上がり、手を振ってくれた。

お父さんが僕をここに連れてきてくれたのだった。それから、もう毎週、毎週、通っている。本当には毎日来てもいいくらい

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短歌と黄色いイスとアルマーニと、私。

短歌と黄色いイスとアルマーニと、私。

先日、名古屋のジブリパークに赴いた際に、運転中に春日井の標識が見えた。名古屋。春日井。春日井建を思い出す。

春日井建は65歳で亡くなった。2004年のことだ。生まれは1938年である。
今年で没後20年になる。

春日井建が青春時代を過ごしたのは、1950年代〜1960年代になるわけだが、私はこの時代にはそれほど思い入れがない。
また、私は、名古屋には、あまり思い入れがない。

然し、春日井の街

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書店パトロール45 美しい アナベル・リイ

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コミックの新刊で『DOGA』の2巻を購入。

私は結構、漫画本にお金を使っている。

最近は、映画館に一月も行っていない。観たい映画がないわけではないが、やはり、プライオリティとして、映画館での鑑賞は低い位置にある。Netflix、Amazonプライム、Disney+と入っているため、まぁ、これらのコンテンツだけでも十分だが、然し、本当に観たい作品は少ない。

そもそも、映画、を、映画館で観る場合

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成功者でも敗北者でもない、普通の人生 『遠雷』

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遠くで雷がなることを、遠雷という。

『遠雷』という、立松和平の小説があって、これを私は読んでいないが、然し、映画版は猛烈な傑作だと思っている。

1981年の映画で、アート・シアター・ギルド、すなわち、ATG映画なわけだが、監督は根岸吉太郎、そして、主演は永島敏行だ。

永島敏行、と、いえば、『サード』を思い出す。

『サード』は1978年の映画で、少年院を舞台にした話だ。サードとは永島敏行演じ

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.7  『理由なき反抗』を。  『未青年』

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7日間ブックカバーチャレンジもいよいよ最終日である。

最後の7冊目は、春日井建の歌集、『未青年』を。

1960年、作品社から刊行された伝説的な歌集だが、まぁ、ウルトラにレアな本である。

春日井建がこの本を上梓した時、彼は22歳だった。

歌人の家に生まれて、短歌を詠むべくして育ってきた。この本の表紙には、ジャン・コクトーの絵が使われている。自身の歌集に使いたいのだと、仏語に翻訳した手紙を認め

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ジブリパーク、控えめにいって最高だ

ジブリパーク、控えめにいって最高だ

2回目のジブリパークに行ってきた。

前回はジブリの大倉庫、どんどこ森、青春の丘、の3エリアだけだったが、今回はそれにもののけの里、魔女の谷、の2エリアが追加されたフルパッケージ版、である。

前日は夕方から雨で不安だったが、一晩明けると晴れてきており、風もさわやか、緑は洗われて最高に気持ちいい!

前回は、大倉庫の人手の多さでなかなかに疲労困憊、だったが、今回は以前より空いている!恐らく、定員数

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.6  青森は良い 

7日間ブックカバーチャレンジ DAY.6  青森は良い 

行ったことないけど。
行ってみたい場所の一つ。
なにせ、あの寺山修司も青森のわけで。

まぁ、というわけで、6日目の本は青森出身の大作家のこの作品。
太宰治『津軽』

あれ、本じゃなかった。これお菓子の箱だよ。美味しかったよ。

5月16日(Thursday) 6冊目

7日間ブックカバーチャレンジ DAY.5  長い映画嫌いなんだよね。 

7日間ブックカバーチャレンジ DAY.5  長い映画嫌いなんだよね。 

蓮實重彦が苦手である。
だって、とっても、難しいんだもの。と、いうか、何を言っているのか、わからないんだもの。
なにせ私は馬鹿だから。
でもこの本は、銃口を向ける小明に撃ち抜かれて買っちゃったの。

と、いうことで5冊目は蓮實重彦著、『ショットとは何か 実践編』。
2024年講談社刊行。

さて、小明。エドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』の言わずと知れたヒロインだが、まぁ、この映画、長いで

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.4  神戸、愛してる。

7日間ブックカバーチャレンジ DAY.4  神戸、愛してる。

世界で一番好きな街はどこかと問われたら、神戸と答える私である。

で、その神戸。神戸といえば足穂。そして、トアロード。

と、いうことで4日目は、『TOR ROAD STYLE BOOK: 神戸トアロード・ハイカラ散歩案内1868-1999』。

今Amazonで調べたら高騰してるなぁ。9,000円か。

神戸の何がいいって、やっぱりその素敵な海辺の街の空気感、であるが、
まだまだ幻想の香り、オリ

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.3 『ブレードランナー2099』ってどうなるんじゃろ

7日間ブックカバーチャレンジ DAY.3 『ブレードランナー2099』ってどうなるんじゃろ

プロフィールにも書いているように、私が最も愛するものの一つに『ブレードランナー2049』がある。汎ゆる映画の中でこれを一番愛する。
で、その親である『ブレードランナー』、これも愛している。

3日目の本は、2004年刊行、筑摩書房、加藤幹郎 『ブレードランナー」論序説 映画学特別講義』、である。

この本は、まぁ、評論本だが、評論、というよりも、『ブレードランナー』という作品を読み解いていき、そこ

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.2   数に溺れて

7日間ブックカバーチャレンジ DAY.2 数に溺れて

私は1960年代〜70代、或いは80年代〜90年代、それに加えて00年代〜20年代も好きで……、なーんて、犯人像みたいな感じになっているが、今日の本は1969年刊行の本である。
1969年、といえば、シックスティナインであり、村上龍を思い出す。あれは、映画も、小説も、面白かった。あれは、村上龍が、まだ17歳とか、そんな時代であり、その時代に発売された、小説が今日の書影である。

2日目は『金色の大

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7日間ブックカバーチャレンジ DAY.1

7日間ブックカバーチャレンジ DAY.1

このような企画がコロナ禍の時に流行っていたのだという。
そういえば聞いたことがある。
毎日、7日間、何も言わずに、本のカバー(表紙)をSARASU。

人が晒す本、というのは面白いものである。まぁ、開チン、みたいなもんであり、その人の趣味嗜好がわかるからだ。本棚を見るとその人の念能力がわかる、というのは、よく聞く話だろう。
ちなみに私は強化系。単純一途なのだ。

そして、このブックカバーチャレンジ

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恋文絵

恋文絵

その著書の刊行物は全て欲しい、蒐めたい、そのような時、車谷長吉の本は比較的イージーな部類に入るだろう。

全集も3冊だけ(死後、4冊目を刊行するという話だったが……)、それでも全部で30,000円いかないし、あとは文庫やハードカバーなどで蒐めても、それほど法外な値段にはならない。
その中でも、いくつか限定本が存在していて、難関の一つは句集である『蜘蛛の巣』、それから『抜髪』の特装版限定100部。

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有名な人が評価した、だからその絵は1000万円なんだよ。 川端康成の話

有名な人が評価した、だからその絵は1000万円なんだよ。 川端康成の話

先日、なんでも鑑定団を観ていると、東山魁夷の絵が鑑定に出されていて、偽物っぽかったが、本物で、5000万円という査定だった。
5000万円、という額はあくまでも番組の評価額であって、これくらいの価値がありますよ、という総合値のようなものだが、まぁ、実際には1億円でも買いたいという人がいたり、100万円でもこれはないな、という人がいる。

美術品、というものは相場はあっても絶対的な価格は存在しない。

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二つの俳句の星、『あかぼし俳句帖』と『ほしとんで』

二つの俳句の星、『あかぼし俳句帖』と『ほしとんで』

俳句漫画といえば、私の好きな作品は『あかぼし俳句帖』である。

これは全6巻の作品で、車メーカーの販促担当者である明星氏が主役だが、
彼は窓際族で、随分前に離婚して、今ではつまらない会社生活を送っている。生きがいがない。そんな男が、50代になり俳句に出会って(始めは20代の綺麗な女性目当てで)、俳句にハマっていく話である。

俳句漫画でもう一つ、『ほしとんで』という作品もある。

これは、主人公は

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