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【徒然草 現代語訳】第百五段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

北の屋かげに消え残りたる雪のいたうこほりたるに、さしよせたる車のながえも、霜いたくきらめきて、有明の月さやかなれども、くまなくはあらぬに、人はなれなる御堂の廊に、なみなみにはあらずと見ゆる男、女となげしにしりかけて、物がたりするさまこそ、何事にかあらむ、尽きすまじけれ。
かぶし、かたちなどいとよしと見えて、えもいはぬにほひの、さとかをりたるこそ、をかしけれ。けはひなど、はつれはつれ聞えたるもゆかし。

翻訳

北側の屋根の雪がまだ消え残ってひどく凍っている、寄せてある牛車の轅にも霜が眩しいくらいに煌めいて、有明の月はしかとわかるが、かといってくっきりと見えるというほどでもない、そんな景色を背景に人影もない御堂の廊下で、かなりの身分と思しき男が女と敷居の板に腰掛け話し込んでいる様子は、何を語らっているのだろう、尽きそうもない。
女も容貌容姿ともに際立っており、馥郁たる香りが鼻先をかすめてゆくのが、なんともたまらない。口調声音が途切れ途切れに聞こえるのもそそられる。

註釈



またしても「枕草子」もどき。
やってみたい気持ちはわからんでもないけど、似合わないから止めときなさい!

追記

「枕草子」にしてからがね、あれらはみんながみんな実話実録じゃないんですよ。多分な脚色、誇張、思い込みの暴走の産物なんですからね。

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