【徒然草 現代語訳】第百十一段
神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。
原文
囲碁、雙六好みてあかしくらす人は、四重五逆にもまされる悪事とぞ思ふと、あるひじりの申しし事、耳にとどまりて、いみじく覚え侍る。
翻訳
囲碁、双六を好み日がな一日打って暮らしている者は、四重五逆にもまさる悪事を働いていると思う、とある坊主が口にしたのが、今なお耳に残っている、ちょっとやそっとじゃ忘れられない。
註釈
○四重
四重罪のこと。殺生、偸盗、邪婬、妄語の四つの大罪。
○五逆
地獄に堕ちる最も重い五つの罪。殺母、殺父、殺阿羅漢、出仏身血(仏の体を傷つける)、破和合僧(教団を分裂させる)。
前段では双六の名人の言葉に深く頷きながら、筆も乾かぬうちに双六に婬するのはいかんと云う、これが兼好の真骨頂です。
矛盾でも支離滅裂でもありません。
是是非非とゆーやつです。
追記
当然でしょ、人としてクズの作家が書いた小説が傑作なんてことは、珍しくもなんともありませんから(むしろそっちのが多い!)。