Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが…

Seiji Kato (仏光)

神奈川県大磯で仏像専門の骨董店を営んでいます。 もともと編集者として働いていたのですが、 改めて古典文学の魅力を広く知っていただければと考え 投稿をはじめました。 普段は地域の骨董市などにもお邪魔をしています。 「仏光」の名を見かけたらお声をかけてください。

最近の記事

【徒然草 現代語訳】第百十一段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文囲碁、雙六好みてあかしくらす人は、四重五逆にもまされる悪事とぞ思ふと、あるひじりの申しし事、耳にとどまりて、いみじく覚え侍る。 翻訳囲碁、双六を好み日がな一日打って暮らしている者は、四重五逆にもまさる悪事を働いていると思う、とある坊主が口にしたのが、今なお耳に残っている、ちょっとやそっとじゃ忘

    • 【徒然草 現代語訳】第百十段

      神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文雙六の上手といひし人に、その行を問ひ侍りしかば、勝たむと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手かとく負けぬべきと案じて、その手をつかはずして、一めなりともおそく負くべき手につくべしといふ。 道を知れる教、身を治め、国を保たむ道も、またしかなり。 翻訳双六の強豪とうたわれた人に、その戦

      • 【徒然草 現代語訳】第百九段

        神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文高名の木のぼりといひしをのこ、人をおきてて、高き木にのぼせて梢を切らせしに、いとあやふく見えしほどはいふこともなくて、おるるときに、軒長ばかりになりて、あやまちすな。心しておりよと言葉をかけ侍りしを、かばかりになりては、飛びおるるともおりなむ。如何にかくいふぞと申し侍りしかば、そのことに候。目く

        • 【徒然草 現代語訳】第百八段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文寸陰をしむ人なし。これよく知れるか、おろかなるか。おろかにして怠る人のために言はば、一銭軽しといへども、これを重ぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の一銭を惜しむ心切なり。刹那覚えずといへども、これを運びてやまざれば、命を終ふる期忽ちに至る。 されば道人は、遠く日月を惜しむべからず。

        【徒然草 現代語訳】第百十一段

          【徒然草 現代語訳】第百七段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文女の物いひかけたる返事、とりあへずよきほどにする男はありがたきものぞとて、亀山院の御時、しれたる女房ども、若き男達の参らるる毎に、時鳥や聞き給へると問ひて試みられけるに、なにがしの大納言とかやは、数ならぬ身はえ聞き候はずと答へられけり。堀川内大臣殿は、岩倉にて聞きて候ひしやらむと仰せられたりける

          【徒然草 現代語訳】第百七段

          【徒然草 現代語訳】第百六段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文高野の証空上人、京へのぼりけるに、細道にて、馬に乗りたる女の行きあひたりけるが、口ひきける男、あしくひきて、聖の馬を堀へおとしてけり。 聖いと腹悪しくとがめて、こは希有の狼藉かな。四部の弟子はよな、比丘よりは比丘尼はおとり、比丘尼より優婆塞はおとり、優婆塞より優婆夷はおとれり。かくのごとくの優

          【徒然草 現代語訳】第百六段

          【徒然草 現代語訳】第百五段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文北の屋かげに消え残りたる雪のいたうこほりたるに、さしよせたる車のながえも、霜いたくきらめきて、有明の月さやかなれども、くまなくはあらぬに、人はなれなる御堂の廊に、なみなみにはあらずと見ゆる男、女となげしにしりかけて、物がたりするさまこそ、何事にかあらむ、尽きすまじけれ。 かぶし、かたちなどいとよ

          【徒然草 現代語訳】第百五段

          【徒然草 現代語訳】第百四段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文荒れたる宿の人めなきに、女の憚ることある頃にて、つれづれと籠り居たるを、或る人とぶらひ給はむとて、夕づく夜のおぼつかなきほどに、しのびて尋ねおはしたるに、犬のことことしくとがむれば、げす女のいでて、いづくよりぞといふに、やがて案内せさせて入り給ひぬ。心細げなる有様、いかで過ぐすらんと、いと心ぐる

          【徒然草 現代語訳】第百四段

          【徒然草 現代語訳】第百三段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文大覚寺殿にて、近習の人ども、なぞなぞを作りて解かれける処へ、くすし忠守参りたりけるに、侍従大納言公明卿、我が朝の者とも見えぬ忠守かなと、なぞなぞにせらけにけるを、唐瓶子と解きて笑ひあはれければ、腹だちて退り出でにけり。 翻訳後宇多法皇の仙洞御所大覚寺殿にて、お取り巻きたちがなぞなぞを作っては解

          【徒然草 現代語訳】第百三段

          【徒然草 現代語訳】第百二段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文尹大納言光忠入道、追儺の上卿をつとめられけるに、洞院右大臣殿に次第を申し請けられければ、又五郎男を師とするより外の才覚候はじとぞ、宣ひける。かの又五郎は、老いたる衛士の、よく公事になれたる者にてぞありける。近衛殿着陣し給ひける時、軾を忘れて、外記を召されければ、火たきて候ひけるが、先づ軾を召さる

          【徒然草 現代語訳】第百二段

          【徒然草 現代語訳】第百一段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文或人、任大臣の節会の内弁をつとめられけるに、内記の持ちたる宣命をとらずして、堂上せられにけり。きはまりなき失礼なれども、立ち帰りとるべきにもあらず、思ひわづらはれけるに、六位外記康綱、衣かづきの女房をかたらひて、彼の宣命をもたせて、忍びやかに奉らせけり。いみじかりけり。 翻訳ある方が、大臣就任

          【徒然草 現代語訳】第百一段

          【徒然草 現代語訳】第百段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文久我相国は、殿上にて水をめしけるに、主殿司、土器を奉りければ、まがりを参らせよとて、まがりしてぞめしける。 翻訳久我の太政大臣通光公は、清涼殿殿上にてお水を飲まれる際、主殿司の女官が土器を差し上げたところ、まがりを持ってきなさいと云って、木の器でお飲みになった。 註釈○久我相国 こがのしょう

          【徒然草 現代語訳】第百段

          【徒然草 現代語訳】第九十九段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文堀川相国は、美男のたのしき人にて、そのこととなく過差を好み給ひけり。御子基俊卿を大理になして、庁務行はれけるに、庁屋の唐櫃見ぐるしとて、めでたく作り改めらるべきよし仰せられけるに、この唐櫃は、上古より伝はりて、その始めをしらず、数百年をへたり。累代の公物、古弊をもちて規模とす、たやすく改められが

          【徒然草 現代語訳】第九十九段

          【徒然草 現代語訳】第九十八段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文たふときひじりのいひ置きける事を書きつけて、一言芳談とかやなづけたる草紙を見侍りしに、心にあひて覚えしことども。 一、しやせまし、せずやあらましと思ふ事は、おほやうは、せぬはよきなり。 一、後世を思はむ者は、糂汰瓶一つも持つまじきことなり。持経、本尊にいたるまで、よき物を持つ、よしなきことな

          【徒然草 現代語訳】第九十八段

          【徒然草 現代語訳】第九十七段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文その物につきて、その物を費しそこなふ物、数を知らずあり。身に虱あり、家に鼠あり、国に賊あり、小人に財あり、君子に仁義あり、僧に法あり。 翻訳その物に取りつき、その物をとことん貪って根本からダメにしてしまうものは、数え切れないほどある。身には虱、家には鼠、国には賊、庶民には財産、人格者には仁義、

          【徒然草 現代語訳】第九十七段

          【徒然草 現代語訳】第九十六段

          神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。 原文めなもみといふ草あり。くちばみにさされたる人、かの草をもみてつけぬれば、則ち癒ゆとなむ。見知りておくべし。 翻訳メナモミという草がある。蝮に噛まれた人に、この草を揉んで塗りつけると、即効くらしい。知っておいた方がいいね。 註釈○めなもみ メナモミとおぼしき草は実は三種類あり、ここに書かれてい

          【徒然草 現代語訳】第九十六段