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厳しい環境を経てゆるい日本にやってきた彼、メンタリティーの違いを感じています。


死に対して恐怖心がないなんてあり得るの?

ポーランド人パートナーMarekのメンタリティーは、これまで知っている人とかなり違うなあと感じています。不満や文句の一つも言いたくなる場面でも、ぜんぜんへっちゃらというか。そして死に対する向き合い方さえも。

去年の夏、近所のテトラポットで海を見ていたのを最後に記憶が飛んで、全身血だらけになって帰ってきました。記憶が戻ったのは家に帰ってドアを開けようとした瞬間でした。靴の濡れ具合と全身の傷の様子から、テトラポットから落ちて記憶を失った状態で帰ってきたことになる。

その時に心配と恐怖でいっぱいになった私は「もし死んだらどうするの?」と聞いたら、「それで死んだら本望だ。自然の中で死ねるんだから。」とあっさり答えました。周りが動揺していて、当の本人が驚くほど冷静でした。

話を聞いてみると、これまでに自然の中で死と隣合わせになった経験が何度もあるらしい。「死に対しても恐怖心はない」と言います。

そうか、まったく見てる世界が違うんだ。

豊かな国のメンタリティーとは全く違う

友人と話していたら、「ポーランド人だからタフなんだよ」と言われました。アメリカ人やイギリス人だったらこうはいかない。

生まれた時から物質的に豊かな国出身のメンタリティーとはまったく違う。ウクライナ、チェコ、スロバキア、ポーランドなどの国々は、これまでの歴史の中で政治的に激動の時代を経験しているから精神的にタフなんだ。

ふむ、なるほどね。
それも一理あるかもしれない。

フライフィッシング歴30年


何しろ彼が小さい頃のポーランドではまだロシアの共産党政権下で、物がなく貧しい生活でした。割り当てられた国営の狭いアパートで家族4人が暮らし、食料を買うのに何時間も列に並び、スーパーの棚はほぼすっからかんだったらしい。

彼が小さいころのポーランドの歴史を垣間見ると、けっこう激しい。特に1981年からの2年間は、反政府を潰すための「ポーランドの厳戒令」が導入され、人々の生活は厳しく制限されている。夜間外出禁止令、国境封鎖、空港閉鎖、電話回線の遮断、政府による郵便物内容検査などが強行。その頃、数千人のジャーナリストや反対勢力活動家は投獄され、多くの人が抹殺される。

サバイバル能力は高いんです

彼が10歳の頃にロシアから独立し、共産主義政府でない現在のポーランドが成立する。それでもすぐに豊かになるわけじゃないから、話を聞いていると貧しい時代が長かったんだな、というのが伝わってくる。

家族で森に入り、キノコや野生動物、魚、食べられるものは何でも採ったらしい。だから趣味の魚釣りだけじゃなく、キノコにも野生動物狩りにもすごーく興味を示す。魚をさばくのも上手いけど、野生動物もさばける(けっこう上手いんだ、と本人は言う)。サバイバル能力は高そうだ。

スコットランドでもキノコ狩りにもよく出かけていた。
日本にやってくる前、スコットランドにいる時は、週末になると20キロの荷物を担いで雪山を8時間も9時間も歩いていた。
釣りをするためにこんな雪山を登るなんて、私からしたらあり得ない・・・
頭の中は釣り釣り釣り!!!

自力で海外に渡り大学へ

そしてイギリスに渡るのも大学に行くのも両親のサポートは得られなかったため、自分で道を切り開くことになりました。はじめての地で働きながら奨学金を得てイギリスの大学へ進学します。

大学では森林学を学び卒業


うーん、タフになるわけだ。

平和な日本で親に大学の資金を出してもらい、バイト代をすべて旅行や遊びに費やしてきた私とはそりゃあメンタリティーがまったく違うよね。

だから私たちが日常生活のちょっとしたことに不満や文句を言うことなんて、彼からしてみると「なに甘いこと言ってるんだよ」って感じになるのかもしれない。

ついに夢だった念願の日本へ

18歳の時にダイワ製のリールを手にしてから、日本へ熱い思いを抱きつづけてきたMarek。寒く厳しい環境を経て、念願の日本にやってきた彼は・・・

来日してはじめの年、教習所に通い免許を取り念願のバイクをゲット
やはり釣り!海釣りは日本にきてから。
私が海でプカプカ浮いてる間に釣ってきたヒラメ。
ギターを弾いたり(fender made in Japan)


ハード系のパンづくりをはじめて(本業は英語講師)、去年からは知り合い周りで注文が入るようになりました。

リピートしてくれるファンが少しずつ増えています。

というわけで、日本での生活をとことん楽しんでしまーす。

はじめに厳しい経験をすると、後から幸せを感じやすくなるんですね。私たちが当たり前と思うことような小さなことに感動している彼を通して、恵まれていると見えないものが見えてくる。

キャンプも!


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