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本が好きな人になら絶対好き!おすすめ過ぎる書評集『エクス・リブリス』!

未知なる本への案内人、書評


 書評って読みますか?場合によっては全く読まないなんて人もいるかもしれない。私の場合は頭が凝り固まっている気がする時に読みたくなる。
 読みたいと思って積み上げた本の山に魅力を感じない、本屋で、図書館でなんとなく読みたい本が見つからない。ちょっといつもと違うものが読みたい時が定期的に訪れる。頭の中にいつもの流れが入ってこなくなるのだ。
 そんなとき、頼りになるのが書評、自分だったら選ばない本を眺めて視点を広げてくれる。

 読みながら付箋を貼って、読みたい本リストに未読を追加する。あるいは、図書館の予約に入れる本の候補リストに追加する喜びときたら。
 書評は手っ取り早くおすすめ本を知れるお手軽さと、その筆者の持つ知識や解説も味わえる贅沢なものだ。手持ちの本に満足できなくなったときに、手に取る書評家は何人いてもいい。
 平松洋子や池澤夏樹、古屋美登里に鴻巣友季子、若島正、色んな先人たちの書評を楽しみつつ、未知なる本と出会ってきた。
 そんなわけで、去年集英社から出たミチコ・カクタニの『エクス・リブリス』なんて垂涎モノだったわけです。

1冊で100冊を網羅する!ピューリッツァー賞文芸評論家ミチコ・カクタニが送るオススメ本書評集『エクス・リブリス』

 ミチコ・カクタニの『エクス・リブリス』はビジュアルからして本好きを誘惑して止まない。だって、見てよこれ。煉瓦色の本棚にポップな本たちがごちゃっと入れてあるんだよ?
 整然としてなくて、横に本が入っているのが個人的にはポイント高い。(本棚って結局、どこかのタイミングで横に本をさし出すもんだし)

 そんな魅惑的なお顔の本の正体は、元ニューヨーク・タイムズの文芸書表を担当していた著者が送るおすすめ本の書評集だ。そう言うと格調高くて小難しい現代文学やら、古典文学ばかりなのではと警戒するかもしれないけれども、それは杞憂だ。
 現代文学をメインに、スタンダップコメディアンの回顧録や、ハリー・ポッターシリーズやアメリカの現代政治を巡るノンフィクションなど、今どきなテーマが揃ってる。詩集もあるし、グラフィック・ノベルもある。
 おまけに、一つの本について多くても3ページほどのボリュームなので、興味のある本だけ拾い読みしてもいいし、通読してもいい。平易な文章にでも中身はたっぷり、濃厚な贅沢な一冊だ。
 読むのに疲れたら、ところどこに挿し込まれているアーティスト、ダナ・タナマチの華麗なイラストを眺めてデレデレするものいい。

読書大好き友達とおしゃべりする気分で

 この本読むのはめっちゃ楽しかった。作者のプレゼンが上手すぎてどれもこれも読みたくなる。
 トクヴィルなんて小難しそうなのにちょっと気になるし、(文庫で4冊もあるが)ツヴァイクの『昨日の世界』もいいな。(あ、オーストリアの人だったんすね)トレバー・ノアってこういうバックグラウンドの人だったんだって、もう読んでてふんふんと一人で頷きっぱなし。
 ミチコ・カクタニの紹介する本の魅力といったら!
 でもそれ以上に、作者の読書への情熱が読んでいて楽しい。前書きから、読書大好き人間の一人として共感必死でしかない。あー、この人の本のおしゃべり聞いてたい!ってなる。本好きの友達とテーブル挟んでお茶を片手にアレ読んだ、これ読んだって話をしている気分になれる。
 巻末には日本で読める本のリストもついてて大変お得な作りなのでぜひとも手にとって、レジへ直行したい一冊だ。


↓こちらは本書のイラストを担当しているダナ・タナマチのサイト


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