連載小説(32)漂着ちゃん
「ところでエヴァさん。所長の動きはとりあえず止められました。この先だれが指導者になるか、という話はゆっくり考えるとして、目先のことですが…」
「いま、陰で糸をひく人物がいないならば、町のAI制御の機器はすべて停止しているはずです。私の推測が正しいならば、無法地帯になっているということです。基本的に『漂着ちゃん』しかしない平和な町ですし、所長がいなくなったからといって、すぐさま争乱が起こるわけではありません。しかし、やがて時が経って、地下室の外にいる人間にも所長がいないという