緋海書房/ヤバ猫

小さな出版社が発行する雑誌形態で様々なジャンルの記事を掲載しています。緋海がたくさんの…

緋海書房/ヤバ猫

小さな出版社が発行する雑誌形態で様々なジャンルの記事を掲載しています。緋海がたくさんの思いを詰め込んだnoteです。よろしければお目にとめて下さい。

記事一覧

固定された記事

人生は箱詰めのチョコレートなの

Life is like a box chocolate,Forrest. You never know what you are gonna get. 人生は箱詰めのチョコレートのようなものよ、フォレスト。 食べてみるまで、中身はわから…

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《連載ファンタジーノベル》ブロークン・コンソート:魂の歌声

前回 6.寵愛ー(3) 「大丈夫かい?」  マイケルの声がとても遠くに感じる。実際、サンフランシスコとロサンゼルスは四百マイルも離れているのだから遠くに感じるのは…

君に届かない音の先 #青ブラ文学部

 人ほど不思議な生き物はない。  色を失ったり音を失ったとしても、笑顔を作っていられる生き物だということ。自然界ではとうてい生命をつなぐことは難しい。それでも、…

子どもの頃の言葉 #古い日記より

 寝室にある本棚に、思い出のコーナーを設けている。 両親とのアルバムだったり、結婚と息子が産まれてからの奮闘記録など家族に関するものが大半を占める。その中で、小…

チーズケーキを焼いた。
なんで急に?
と、思ったら
今日はnote継続8ヶ月突入だった。

でも、ちと燃え尽き症候群ぎみ
少し休刊します🙇
て、誰も気にしちゃアいないか🙀

海辺パレットの二人

 彼女は、赤い海原を漂っている。浅瀬の生暖かい水流に身を任せ、楽しんでいる。穏やかな微笑みを湛え、時の流れを楽しんでいる。少なくとも、僕にはそのように感じた。 …

群生の中にある愛と平和

冥府への玉座 第17話

最終章 地の底からの芽吹き3. 丘の上から見える明日  春風が運んできたのかと、皆が錯覚するぐらいに白馬に乗って舞い戻ってきたポーランツ王子と白馬の騎士ヴァイス…

冥府への玉座 第16話

最終章 地の底からの芽吹き2. 感奮興起で向かう故国  瞼の裏にあたる陽が眩しい。 ポーランツ王子と白馬の騎士ヴァイスが目覚めた場所は、幼い頃、城を抜け出しては二…

冥府への玉座 第15話

最終章 地の底からの芽吹き1. 虚偽と真誠  天空の地から降り立ち再生の時を迎え、望郷の念だけを持って歩みを進めていた。目にしていたことは偽りの光景だったのか。 …

冥府への玉座 第14話

第3章 天空からの滑空2. 頓狂な村  白馬の騎士ヴァイスが目覚めて最初に飛び込んできたのは、ユラユラと揺れるローソクの灯りだった。サンタスタスクで感じた恐怖が…

冥府への玉座 第13話

第3章 天空からの滑空1. 望郷の旅路  長く困難な旅になることは、伝説の地ヴィーダ修道院から降り立った時点でわかってはいたが、馬もない金もない。ましてや、地位…

冥府への玉座 第12話

第2章 再生の時3. 明日へ続く道  激しい愛の営みのあとでも、白馬の騎士ヴァイスが危惧していた事態は起こらなかった。むしろ、汗に包まれたポーランツ王子の姿は、…

冥府への玉座 第11話

第2章 再生の時2. 神との契り  それは、広い大海原のような、やさしい母胎で羊水に包まれているような、じつに穏やかで心地いい朝であった。  キョッキョッ、と、ア…

冥府への玉座 第10話

第2章 再生の時1. ヴィーダの悲しみ  ヴィーダの長い回廊を抜けると、迫り出した岩にポツンと黄金色した十字架が立つ景観が広がった。  ラナキュスはこのままペルセ…

冥府への玉座 第9話

第1章 混沌の世界への誘い8. 聖なる母胎  白馬の騎士ヴァイスがキャリコダウン国一行の最後尾に追いつくまでに、さほど時間はかからなかった。ラナキュスたちは、伝…

人生は箱詰めのチョコレートなの

人生は箱詰めのチョコレートなの

Life is like a box chocolate,Forrest.
You never know what you are gonna get.
人生は箱詰めのチョコレートのようなものよ、フォレスト。
食べてみるまで、中身はわからないわ。

この言葉は、有名なアメリカ映画『フォレストガンプ』の中で、フォレストの母親が息子に放つ言葉。私がとても好きなセリフのひとつです。

私の息子も、フォレ

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《連載ファンタジーノベル》ブロークン・コンソート:魂の歌声

《連載ファンタジーノベル》ブロークン・コンソート:魂の歌声

前回

6.寵愛ー(3)

「大丈夫かい?」
 マイケルの声がとても遠くに感じる。実際、サンフランシスコとロサンゼルスは四百マイルも離れているのだから遠くに感じるのは当たり前だ。しかし、マイケルの声がクリアに聞こえないのは、この型の古い公衆電話のせいだとジミーは思った。
「君を迎えに行くことができなくて、申し訳ない」
「いいんだ。まだ警察に来るのは危険だ」
「そのかわり、早めに出られるよう力を貸す

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君に届かない音の先 #青ブラ文学部

君に届かない音の先 #青ブラ文学部

 人ほど不思議な生き物はない。
 色を失ったり音を失ったとしても、笑顔を作っていられる生き物だということ。自然界ではとうてい生命をつなぐことは難しい。それでも、人は笑うという強い武器を持っているから大丈夫。
 どんな権力や迫害を受けても、笑顔でいれば立ち向かえる。そのように信じている生き物なんだ。
 まあ、すべての人が彼女と同じ笑いを持ち合わせているわけではない。だからと言って、彼女が特別な能力の

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子どもの頃の言葉 #古い日記より

子どもの頃の言葉 #古い日記より

 寝室にある本棚に、思い出のコーナーを設けている。
両親とのアルバムだったり、結婚と息子が産まれてからの奮闘記録など家族に関するものが大半を占める。その中で、小学校から中学を卒業するまで書いていた日記帳も保管してある。時折開いてみては「き、ったない字だな」と、一人和んでいる。

 日記帳であるから、日々の生活で感じたことを綴ってある。その中で、何編か『詩』を書いていた。少しかっこいい言い方をすると

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チーズケーキを焼いた。
なんで急に?
と、思ったら
今日はnote継続8ヶ月突入だった。

でも、ちと燃え尽き症候群ぎみ
少し休刊します🙇
て、誰も気にしちゃアいないか🙀

海辺パレットの二人

海辺パレットの二人

 彼女は、赤い海原を漂っている。浅瀬の生暖かい水流に身を任せ、楽しんでいる。穏やかな微笑みを湛え、時の流れを楽しんでいる。少なくとも、僕にはそのように感じた。
 地球の、どこの浜辺だったか忘れてしまったが、まだ、空も海も、僅かな青色の配色が残されていた時代。僕は、十三歳になったばかりの彼女を連れて行った。僕は十五歳と三カ月が過ぎた時だった。
 波打ち際に立った彼女が、不意に服を脱ぎ、白波へ立ち向か

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冥府への玉座   第17話

冥府への玉座 第17話

最終章 地の底からの芽吹き3. 丘の上から見える明日

 春風が運んできたのかと、皆が錯覚するぐらいに白馬に乗って舞い戻ってきたポーランツ王子と白馬の騎士ヴァイスは、城内へ入ると歓喜の声があがった。
 しかし、その歓待は、そう長くは続かなかった。
「今、何とおっしゃいましたか? 国王陛下」
 ハフェンベルグ王国執政ハイツ二世が、困惑した表情で訊き返した。
「私は、王であることを放棄する」
 と、

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冥府への玉座   第16話

冥府への玉座 第16話

最終章 地の底からの芽吹き2. 感奮興起で向かう故国

 瞼の裏にあたる陽が眩しい。
ポーランツ王子と白馬の騎士ヴァイスが目覚めた場所は、幼い頃、城を抜け出しては二人で訪れていた『エンゲルの丘』の上だった。
 もう二度と、この丘を訪れることができないだろうと思っていた。こうして、また二人でこの丘に戻ってくることができた奇跡に感謝した。

 人は、生きていくためには、幾度となく選択を迫られる。上か下

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冥府への玉座   第15話

冥府への玉座 第15話

最終章 地の底からの芽吹き1. 虚偽と真誠

 天空の地から降り立ち再生の時を迎え、望郷の念だけを持って歩みを進めていた。目にしていたことは偽りの光景だったのか。
 牢獄のような地の世界へと送り込まれてしまった。もう奇跡は起こせないだろう。やはり、神は私たちの行いをお許しにはなっていなかったということか。ポーランツ王子は、シーオル村の女官らしき人たちに儀式の装束を着せられる中、思った。

(このま

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冥府への玉座   第14話

冥府への玉座 第14話

第3章 天空からの滑空2. 頓狂な村

 白馬の騎士ヴァイスが目覚めて最初に飛び込んできたのは、ユラユラと揺れるローソクの灯りだった。サンタスタスクで感じた恐怖が再び白馬の騎士ヴァイスを襲った。
「ポーリー! ポーリー!」
 白馬の騎士ヴァイスは暗がりの中、ポーランツ王子を探した。さほど広くはないへ部屋のおかげて、すぐにポーランツ王子の姿を見つけることができた。静かに寝息を立てて眠るポーランツ王子

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冥府への玉座   第13話

冥府への玉座 第13話

第3章 天空からの滑空1. 望郷の旅路

 長く困難な旅になることは、伝説の地ヴィーダ修道院から降り立った時点でわかってはいたが、馬もない金もない。ましてや、地位や権力など何の意味も持たない今の現状をどう対処していけばよいのか、白馬の騎士ヴァイスには見当もつかなかった。ポーランツ王子には何か確固たる信念があるのかただ、望郷の念だけで突き動かされているのか、白馬の騎士ヴァイスにはわからなかったが、彼

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冥府への玉座   第12話

冥府への玉座 第12話

第2章 再生の時3. 明日へ続く道

 激しい愛の営みのあとでも、白馬の騎士ヴァイスが危惧していた事態は起こらなかった。むしろ、汗に包まれたポーランツ王子の姿は、宝石のように輝いていた。
 愛とは一体何ものなのだろうと、白馬の騎士ヴァイスは父と母、そして、兄弟だった存在を失った乳飲み子の頃から考えていた。5歳の時からともに育ってきたポーランツ王子に対する想いは、友情の何ものでもないと思っていた。し

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冥府への玉座   第11話

冥府への玉座 第11話

第2章 再生の時2. 神との契り

 それは、広い大海原のような、やさしい母胎で羊水に包まれているような、じつに穏やかで心地いい朝であった。
 キョッキョッ、と、アトリが礼拝堂の天窓の外で楽しそうに鳴いている。
白馬の騎士ヴァイスは、朝日を浴びて美しく煌びやかに眠るポーランツ王子を見つめ、これが夢ならばずっと覚めずにいてほしいと願った。たとえ、ポーランツ王子の傷が癒えたとしても、このままこの理想郷

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冥府への玉座   第10話

冥府への玉座 第10話

第2章 再生の時1. ヴィーダの悲しみ

 ヴィーダの長い回廊を抜けると、迫り出した岩にポツンと黄金色した十字架が立つ景観が広がった。
 ラナキュスはこのままペルセウスが産まれ出のを待つのか。
『英雄』が来て、ラナキュスが宝冠を被せようとする時がチャンスだとポーランツ王子は思った。
 どうしても、ポーランツ王子には伝説が輝かしいものには思えなかった。天地創造を繰り返してきた神々が、怒りもせずわれわ

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冥府への玉座   第9話

冥府への玉座 第9話

第1章 混沌の世界への誘い8. 聖なる母胎

 白馬の騎士ヴァイスがキャリコダウン国一行の最後尾に追いつくまでに、さほど時間はかからなかった。ラナキュスたちは、伝説の地ヴィーダ修道院に向かっていることに間違いないと思った。
 ペルセウスがヴィーダの頭上に現れ、二つの伝説のサファイアが合い交えた時、想像もつかない事態が待っていることだろう。
 すべての富と権力、永遠の命を手にする者と何かを失う者。必

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