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違う違う、そうじゃなーい、ASDあるあるー

ある日、駅前の交番から電話。
「長男君のことなんですが」

ついにやったかポリス沙汰、と七五調で身構える。なぜなら長男は学校で一番の問題児として有名(「ディズニーランドで停学橋を渡れ」参照)だから。一瞬で覚悟を決め、
「まじで手に負えないので法で裁いてください」
と言う準備も完了。が、何か様子が変。お巡りさんは苦笑していた。
「あのー、先月くらいから何度もこちらに落とし物を届けてくれるんですが、それがですねー、ヘアゴムとか、折り畳み傘の袋とか、今日は片方だけのカラー軍手で」

『落とし物は交番に』
そう、そうなんだけど、普通は財布とか定期とか、落としたら詰むものを届けるのであって、ヘアゴムとか傘の袋とかは落としたところで詰まないし、交番に聞きに行ったりしない。

そういう常識的な線というものがわからないASD。落とし物があったら有無を言わさず交番へGO!となる。

「ちょっとこちらも人数がさほど多くもなく対応に困ってまして。お母様の方で、説明してもらえませんでしょうか?」
わかりました、ご迷惑をおかけしてすみません、と電話を切り、帰ってきた長男に、

「交番に届けるのは財布と定期と鞄とスマホくらいにして。落とし物は交番へ、と言っても地面に落ちているもの全て片っ端から届けろ、という意味じゃないから。仮に今日届けたカラー軍手が落とした人にとって、ものすごく大事な物だとしても、落とした人は普通交番に行かない。カラー軍手が交番に届いているとは思わないから。この辺で落としたんじゃないかな、というあたりを探す。だから届けたりすると却って落とした本人に戻りにくくなるよ」
と伝えた。長男は納得してくれた。

しかし、電話をくれたお巡りさん、長男の様子から色々と察しただろうに、その辺はノータッチでできたお方でしたわ。

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