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今日の読書 4/25


誰もいないサーカステントの上に、ブランコが揺れてます

別役実さんの「空中ブランコ乗りのキキ」読了しました。
別役実さんの物語で大好きなものがあります。「なにもないねこ」です。

短いですが本当に悲しいお話しです。何度も読み返しました。今でも口にして言えるくらいです。

目も耳も口も尻尾もなにもないから誰にも気が付かれないねこ。誰かに気づいてほしいと思いながら、一人死んでいくねこ。

別役さんのお話しは、いつも孤独を感じさせてくれます。

何か欠落しているから、何かを追い求めています。

この本にもそんな人たちが出てきました。

命を引き換えに4回宙返りをしようとする、空中ブランコ乗りのキキ。

病気の少女のために、屋上で夕日を眺め続ける探偵のX氏。

見えない目で見て、話さない言葉で真実を知ろうとするロロ。

どうしようもなく何かを求めてしまう人たちは、幸せになんてなれないことをわかっています。でも止めることはできないのです。

その一途さとどうしようもない悲しさを心いっぱい堪能しました。



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