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ベイビーブローカーを観ました(映画感想)

名作!ですね。凄い。。韓国キャストなのに、しっかりと是枝作品!観た後にこころに「ズドン」と来る、そして、心から考えさせられる感じはさすが。。

ベイビーブローカー。もっとエグく国際的な闇の取引として描くこともできるテーマですが、今回のそれは、かなりインディペンデントに「韓国国内での赤ちゃんを望む方達へのエンジェル」的な立ち回り役で。お金はもらうけどもそれなりにルールや規則を持ってやってらっしゃるおじさん2人と、やんごとなき理由で赤ちゃんを一度手放した若い母親とのロードムービー的人間模様。「取引現場」と、そこに向かう道中を通じて、「親子」とは?「子供」とは?を鋭く問うてくる。

捨てられた「子供」は、それでも「親」の迎えを待つ。なぜなら、捨てる際に、ゆりかごに母親直筆の「必ず迎えにくるからね」という手紙が添えてあるから。しかしながら、たとえそんな手紙があったとしても、結果としてほとんどの母親は、何年経っても迎えに来ない。

親子は、一般的には「血のつながりが、全ての証になる」。大半がそうなので当たり前に思うかもですが、例えば、望んでも子供を産めない夫婦や、たとえ生まれたとしても幼くして亡くしてしまったりとか。。または、一方で望まない妊娠や無計画な性交渉だってある。そんな両者の、藁にもすがるような気持ちに寄り添うのがブローカーの存在である。

※併せて下記の記事を読むと、韓国の赤ちゃんポスト事情がわかる。

「韓国で2013年以降、預け入れが急増した背景には、2012年に子どもの権利擁護を重視した「改正入養特例法(以降、特例法と表記)」が施行されたことがある。いくつか改正点がある中で、子どもの「出自を知る権利」を尊重し、それまで慣例化されていた養親による出生届が認められなくなり、実親が届けを出すことが養子縁組の手続き上、欠かせなくなった。これにより、妊娠・出産を知られたくない多くの女性は〈赤ちゃんポスト〉へ救済を求めたと考えられる。」

どこの世の中に、自分の子供を好き好んで手放す親があろうか。それにはそれ相応の、やむにやまれぬ事情があるのだ。だからこそ、作中で発せられる「生まれてきてくれてありがとう」は、どんな事情があれど、心からの本音なのだ。

今回もとても豊かな映画体験をありがとうございました。

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