「133倍になる株を買っておけばよかった!」現実と幻想
あなたは、過去に〇〇株を買っておけば、今では大金持ちになっていたという話を聞いたことがありませんか?
株式投資で20年間に133倍になったみたいな成功例は、多くの人の憧れや後悔の対象になっています。
しかし、実際には、そのような話はほとんどありえないのです。なぜなら、133倍になるまで株を持ち続けることは、人間の心理的な限界を超えているからです。
133倍という数字は、非常に魅力的に見えますが、具体的に考えてみましょう。例えば、あなたが100万円を〇〇株に投資したとします。20年後には、その投資額はなんと1億3300万円になっています。
これは、夢のような話ですが、本当にあなたは、その間に一度も株を売らずにいられるでしょうか?
人間は、リスク回避の傾向があります。つまり、確実に得られる利益を選ぶことが多いのです。
これは、次のようなシンプルなゲームで確認できます。
ゲームA:1000万円を無条件でもらえる
ゲームB:サイコロを振って、偶数が出たら2500万円もらえる。奇数が出たら0円
あなたは、どちらのゲームを選びますか?
多くの人は、ゲームAを選ぶでしょう。なぜなら、ゲームBは、半分の確率で何ももらえないリスクがあるからです。ゲームBの期待値は、1250万円ですが、人間は、期待値よりも確実性を重視するのです。
これと同じことが、株式投資にも当てはまります。あなたが、〇〇株に100万円を投資したとします。その後、株価が上昇して、含み益が1000万円になりました。
この時点で、あなたは、株を売って利益を確定させることを考えるでしょう。なぜなら、株価は、サイコロのように予測できないからです。
もしかしたら、明日には、含み益が0円になってしまうかもしれません。そのようなことになったら、あなたは、後悔することでしょう。つまり、人間は、株価が上昇している時には、利益を確定させたくなるのです。
逆に、株価が下落している時には、損切りをしたくないという感情が働きます。これは、株式投資の基本的な心理ですが、これが、133倍になるまで株を持ち続けることを阻害するのです。
もちろん、例外もあります。あなたが、株を買ったことを忘れてしまったり、株価の変動に全く気づかなかったり、株を売る方法がわからなかったりする場合は、133倍になるまで株を持ち続けることができるかもしれません。
しかし、それは、株式投資というよりも、偶然の産物と言えるでしょう。ですから、20年前に〇〇株を買っておけば133倍になっていたという話は、あまり信じすぎない方がいいです。
それは、現実にはほとんど起こり得ない幻想に過ぎません。株式投資は、長期的な視点で行うことが大切ですが、それは、無理なく続けられる範囲で行うことが重要です。
133倍になるまで待つことは、人間の心理には合わないのです。