見出し画像

母の魔法の言葉は『人と違うコトをしなさい』 〜双極性障害の頭の中 56

みなさん、こんにちは。
双極性障害2型(双極症)のフツーの会社員、パピヨンです。

明日は『母の日』ですね。
ちょっと変わった、私の母の“教育方針”について書いてみようと思います。



◾️魔法の言葉は『人と違うことをしなさい』

私の母は至って普通の専業主婦ですが、『子供の育て方』について少々他のお母様方とは違った方針を取っていたように感じます。

『人と違うことをしなさい』

記憶にある限りですが、幼稚園に入った頃にはすでに毎日のようにこの言葉を耳元で囁かれていたような気がします(笑)

『人と違うことはすごく良いことなんだ』
『人と違うことをするとママは喜ぶんだ』

私は母の“魔法の言葉”をすっかり刷り込まれ、周りの“フツーの”大人たちを時々困らせるほど自分の考えを主張し、ガンとして譲らない『頑固な子』に育っていきます。


◾️白いクワガタ

幼稚園の恒例教育と言えば“お絵描き”
私は大好きなこの時間に、大いに“母の魔法の言葉”を炸裂させていきます。

よくある『夏の思い出』のテーマで発表会のためのお絵描きをしていた時のことです。
私はキャンプ場で観た“クワガタ”を描いていました。
ここまでは至ってフツーです。

しかし、私が特に心惹かれ、描きたかったのは、

“クワガタの硬い羽の内側にある、透明な羽の葉脈のような紋様”

でした。
当時5歳だった私の目には、キラキラと輝く、薄く透明な羽に細かく走る筋がなんとも魅力的に映ったのです。

画用紙からは完全にはみ出た大きなクワガタのシルエット。何しろ私にとって大切なのは飛び立つクワガタの左の羽(内側の羽)だけなので、クワガタのステータスとも言えるギザギザのクワなど、完全に画面の外。
そして幼稚園児とは思えないほど異常な執着心で、丁寧に薄い羽の葉脈のような筋を描いていました。
すると、先生に言われたのです。

「パピヨンちゃん、クワガタが白いままだから、茶色に塗りましょうね〜」

クワガタを茶色に塗るだと?!
大切な薄い羽の筋が消えてしまうではないか!
当時はまだ力を抜いて薄くクレヨンを塗る技術など持ち合わせていないので、私は頑なに拒みました。
それでも何度も「クワガタを茶色に塗りなさい」と言われるので、私は余白の部分を青空と設定し、水色でグイグイと塗り潰しました。

かくして、青空を飛ぶ“白いクワガタ(左羽アップ)”は完成しました。

発表会当日、いかにも幼稚園児らしく可愛らしい絵が並ぶ中、ひときわシュールに目を引く私の“白いクワガタ”。
「パピヨンちゃん、最後までクワガタ塗らなかったのよね〜」と眉を顰める先生。
私は観に来た母に『内側の薄い羽の筋が描きたかったのだ。だからクワガタは塗らなかったのだ』と力説しました。

「ママはすごくいいと思う!とってもいい!」

と、先生のいないところでこっそり私を褒めてくれました。
ずっと先生に注意されていたのが不服だったのですが、母だけは私のコンセプトを理解してくれたことに大いに満足しました。




◾️学校の“習字”がつまらない

時は進んで、小学校4年生くらいの時のエピソードです。

数人の同級生のママ友が集まってお茶をしていました。
その場にいた私は、ママ友のひとりに質問されました。

ママ友:「パピヨンちゃんは何の教科が好きなの?」

私:「図工」

ママ友:「じゃあ、嫌いなのは?」

私:「習字。みんな同じ黒色で、同じ字しか書けないなんてつまらない。違う色で違う字を書きたい」

ママ友:「…ちょっとこの子、問題あるわよ(苦笑)」

私は拗ねて、その人に言い返してしまいましたが、母に「もう、やめなさい」と止められました。
帰り道、母に「私は問題があるの?」と聞くと、母は笑いながら答えました。

「そんなことない。ママも学校の習字はつまらないと思うわ。みんな考え方は違っていいのよ」

と言われ、安心しました。

そんな母の教育方針のせいなのか、私は迷い無く美術大学への進路を選び、今は繊維関係の企業デザイナーをしています。




◾️性格と教育と“病気の症状”と

双極性障害という精神疾患を患ってから、

・どこからが“持って生まれた性格”で、
・どこからが“後天的な躾や教育で色付けされた部分”で、
・どこからが“双極性障害の症状”なのだろう?

と考えることが度々あります。
『こだわりの強さ』や『破天荒な行為をしやすい』といった、性格とも病気の症状とも取れる部分は中々見分けがつかないですよね?

特に社会に出て、病気になってからは、

「なるべく他の人と同じようにしたい。けれどできない」

という、母のおかげで今まであまり悩んでこなかった事態に戸惑うばかりです。

『人と同じはつまらない。人と違うことをしなさい。人と違うことは良いこと』

という母の魔法の言葉は、今こそ私にとって大切な言葉なのかも知れません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?