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2021北海道道央の旅#1|ワークマンのトレッキングシューズに感動した話 その1|Travelogue

北海道では低山をいくつか歩いて攻めたいなと思ってた。コロナ前の2019年の同じくゴールデンウィークに旅したネパールで惨敗した借りを返さなきゃって思ってた。

前回の敗因はなんといっても靴だったから、トレッキングシューズを新調した。とはいえ沖縄県民はしょっちゅうトレッキングするわけではないから、金は出せないなあ。だからプアなシチズンの味方=ワークマン一択だ。2020年秋冬モデルとして「アクティブハイク」っていう新作が出ると、すぐに店舗パトロールして手に入れた。お買い上げ¥1,900也だぜ。どうかしてるぜ! 

ソールが硬くて曲がりにくいから、靴の中で足がすべることはなさそうだ。爪先をガードしてくれる厚手の登山用靴下が履けるように、ワンサイズ大きめにしておくのも試着のポイント。おっと、そのメリノウールの靴下もワゴンセールにならんでるぜ、ラッキー! 本番ではこの靴下の前に五本指ソックスを履くつもりだ。そうすれば指同士がこすれてマメができることもないだろう。


最初は室蘭市の鷲別岳911㍍だったね。寒すぎた夜をあざやかに乗り越えて、カモフラ柄のアクティブハイクに履き替える。試し履きはしたけど、まだ汚れしらずの無垢なままだ。軽量リュックにお茶とタオルとスマホなんかを詰め込んだ。でも熊よけの鈴がない。昨日千歳市内のダイソーに行ったけど、置いてなかったんだよな。

少し歩いた白鳥ヒュッテってところに記帳所があって、そこからが登山路になる。朝の6時台だったけど、先行者が数名いたなあ。この季節に登山できる夏道コースを往復するつもりで出発。目安は3時間らしい。

歩きはじめてすぐに水神社っていうのがあって、水芭蕉らしきものがちらほら生えている。そこから急坂とゆるやかな尾根道がいりまじったコースをしばらく歩く。白樺の林やクマザサの群生を冷たい風が通りすぎ、ときおり霧なのか雲なのかが薄く広がる。

空がまた暗くなる

風が木々をざわつかせるのを立ち止まって聞いていると、なるほどこんな場所では人間ではないなにか大きな存在がいそうな気になるね、アシリパさん(リは小さい字だよ)。その一方で、「ひょっとして熊かも」って心細い気持ちがちらついたりもする。「頂上付近で熊を目撃した人がいます」なんて張り紙をみたせいかもしれない。熊よけベルの不在がオレを弱気にさせる。

距離的には余裕なんだけどな

「頂上まであと1,000㍍」的な立て札のあたりから残雪が増えてきた。はじめは迂回できたけど、次第にコースを覆うようになりだし、あと500㍍地点からはこわごわ雪上を歩かないと進めない。さっきすれ違った復路の人はトレッキングポール持ってたしなあ。ああどうしよう、ここから50㍍くらい雪渓が続いてるなあ・・・

ところどころに雪が残る

決めたよ。ここで引き返すよ。

途中で室蘭の街は眺望できたし、頂上はガスってたよって言われたし。そもそも登頂することだけが目的じゃなく、トレッキングを楽しむことが大事だからって自分に言い聞かせたよ。小さなヤマスミレの花に頬を寄せたりね(花名はあとで調べました)。歩き足りないぶんは水元沢コースを途中まで歩いてみることで補ったよ。

この花は私です

次に登ったのは日高山脈のはしっこのアポイ岳810㍍だ。このへんはユネスコ世界ジオパークに認定されているらしく、ビジターセンターも立派な建物で展示も充実してるし、一帯にはキャンプ場や小さなホテルもある。GW中だけあって登山客も多かった。最初の小川を渡るときに靴底を洗うブラシがおかれてあったのが印象的。

快晴の9時半くらいに登りはじめ、しばらくはふつうの山道らしい景色の中を歩く。道中には熊よけの鐘があって、こどもが鐘を連打している。そうそう、今日は熊よけベルをリュックにぶらさげてるよ、ちょっとうるさいけど。

変化が現れだしたのは5合目の山小屋付近から。なんでも特殊な地質条件や厳しい気象条件でこのへんが森林限界らしい。ハイマツが斜面を覆うようにはびこってくる。登山の初心者にしてみれば、尾根ルートは剣呑な角度で切り立っているようにみえる。

ハイ、松坂さん、ハイ

馬の背というポイントで一休みするが、もうここでも十分見晴らしいいし、下山してもいいんじゃないって気持ちになる。でも、こどもや白髪の方々もぞくぞく上をめざして歩き出すから、そりゃ引き返せはしないよね。そうそう、トレランの人も割といたなあ。

いい天気

頂上はお昼どきだけあって弁当を広げたりカップ麺の湯を沸かしたりしている人でいっぱいだ。当然マスクはしないから、ここのほうが密で感染しそうとも思えて(当時はまだそんな時代だ)、遠くでポツンとたたずむことにする。意外とソロの人はいなかった。丸裸のダケカンバっていう木が視界を微妙にさえぎるなかで、襟裳岬を探してみる。

山で食べるラーメンも美味

見えた! 拓郎さんと進一さんが愛した襟裳岬かあ。いや作詞は別の人だったね。南の街から寒い他人が訪ねてきたよ!

黙りとおした歳月

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