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エミちゃんおめでとう|RCサクセション|Review

レビュー2022.10.09/音楽★★★★★

RCサクセションは高校から大学時代によく聞いていた。はじまりは学祭でコピーバンドなんかもしてた友だちの影響。ただボクの場合、聞く音楽は相当に受け身で、大概は身近な誰かの影響だ。そうじゃないのはボブ・マーリィぐらいかな。

今日のレビューはいつもとは趣向を変えて、RCのベストを10曲選んでみよう。Myベストって季節や気分でしょっちゅう変わるから、あくまで現時点のものだよ。

「あの娘のレター」
なんで好きだったのか考えてみたが、よくわからない。出だしのフレーズは最高だけど、この曲が好きだった大学生の頃は外国に興味がなかった。スカイメイト使って実家に帰るときの飛行機は、たいがい曇り空だった気がする。収録アルバム『BLUE』のラストにふさわしい空気の重さがあるように思う(他の曲のように重すぎるわけではない)。それにしても今じゃエアメール送る人なんていないだろうなあ。

「Glory  Day」
アルバム『ハートのエース』収録の仲井戸さんの曲。独特の少しこもった声で、”引き止め合おうとしたんだぁなぁ♬”と語尾を引きのばした発声が妙に耳に残る。RCが分裂しかけた頃の曲で、男女の歌にみせつつ、チャボさんから清志郎さんへの思いが綴られた曲として聞くと、胸が痛い。最後のリフレインが切ない。

「多摩蘭坂」
昔からファンが多い曲だけど、ベタなのでそこまで好きではなかった。フェイバリットになったのは、清志郎さんがこの坂の途中で弾き語りをするYou Tube☟を見てからだけど、言葉がとても染み入った。照れくさそうに歌い終えるのも印象的だった。映像はみんなに共有されているけど、彼にしか見えていない景色があったんだろうな。

「ラプソディ」
イントロのホーンセクション(この頃は梅津さんだけなのかな)がかっこいい曲。そして小川銀次さんリードギターの久保講堂録音がもはや伝説。確かに銀次バージョンの間奏は最高です。でも神格化するのはやめてほしいな。この曲での清志郎さんの歌い方はとてもキュートだと思う。

「わかってもらえるさ」「君が僕を知ってる」
この2曲は永久欠番で、未来永劫ベストテンに入ります。以上。

「Drive My Car」
ドライブなんてほとんど行かないのに、ドライブを歌った曲やロードムービーはめっぽう好きなボクなのさ。”温かい君の足で 包んでほしいのさ♬”ってフレーズが冬っぽくていいね。あれっ、そういえばドライブ=冬とどこかで短絡しているのか、夏のドライブの情景があんまり思い浮かばないな。

「エリーゼのために」
評価の分かれる『BEAT POPS』からの一曲。なんか愛嬌のある曲で、往年のポップスターを連呼するパートをときどき口ずさんじゃいますよね。清志郎さん的にはかなり心身まいってた頃で、なんとか絞り出してつくった曲のように思えてしまう。”おまえの黒い心にプレゼント♬”なんて、ダークサイドに落ちてる感満載でしょ。

「私立探偵」
”たぶん”で始まる歌の中で一番スキ(他の歌があるのか知らないけど)。ギターの鳴らし方と遠くで聞こえるボンゴのような音がスキ。私小説みたいな世界観でありながら、堂本剛主演の『33分探偵』あたりで主題歌か挿入歌に使ってほしかった、と思うくらいのおちゃめさがスキ。

「空がまた暗くなる」
後期のRCのアルバムからは選ぶ曲に迷うけど、この曲は佳作ではないかな。勇気が必要な場面は大人にもあるよね。たとえオリジナルの意味がポリティカルな大状況に捧げられた言葉だとしても、迷ったときに勇気をくれる曲だと思いたい。あと単純にメロディがいい。

番外「雪どけ」
RCではなく、清志郎さんとMG'sが共演したアルバムの曲。母の具合が悪くなったと聞かされた頃、車の中でよく聞いた。そして泣いた。いい曲はどこか哀しいって清志郎さんが言ってたそうだが、まさにそんな曲だね。”駅までの坂道に お日様が溶けている♬”なんて、冬の午後の当たり前にある風景の中に寂しさが潜んでいるって気づかされる。

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