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酒は百薬の長⁉ 大ウソです‼

お酒が好きな人は、お酒を止めたくないばかりに
自分にとって都合の良い主張を展開することがあります。
『酒は百薬の長』というのが、その典型ではないでしょうか。
要するに「ちょっと飲むくらいは、むしろ体に良いんだよ。」
という言い分ですね。
なぜ、このような言い分が成り立つようになったのでしょう?

それには、『フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)』が
大きく関係しています。
喫煙や脂肪分の摂取が、動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心疾患に
罹患するリスクを高めることは周知の事実です。
しかし、フランスは先進国でありながら、男女とも喫煙率が高く、
食生活においてもバターなど不健康な脂肪分を多く摂取していました。
にもかかわらず、心疾患での死亡者は少ないことが知られており、
『フレンチ・パラドックス』と呼ばれていました。
この理由は何なのか?
フランス人はワインの摂取量も多いため、これが健康に良い作用を
もたらしていると考えられるようになりました。

そして、それを裏付けるような研究論文が、特に1990年代から
たくさん発表されました。(下記は一例です。)

Meta-analysis of alcohol and all-cause mortality: a validation of NHMRC recommendations
Holman CD,et al. Med J Aust. 1996;164:141-145. NIKKEI STYLE(健康・医療)2019年11月21日より

上の画像は、1996年に発表された研究論文を元にして作成されたものです。
・縦軸(相対リスク)が、死亡リスクを表しています。
・横軸(一日平均アルコール消費量)が、一日の飲酒量を表しています。
基準(飲酒をしない人の死亡リスク)は、黄色のマーカーで示した線です。

一日あたりの飲酒量が増えると死亡リスク(相対リスク)が高まるのは
当然ですが、黄色のマーカーで示した線(飲酒をしない人の死亡リスク)を
下回る部分があることが大きなポイントです。
(下の画像:薄緑の線で囲まれた部分)

Meta-analysis of alcohol and all-cause mortality: a validation of NHMRC recommendations
Holman CD,et al. Med J Aust. 1996;164:141-145. NIKKEI STYLE(健康・医療)2019年11月21日より

上のグラフから、一日平均アルコール消費量(一日あたりの飲酒量)が、
男性では約30g、女性では約20gまでは、
飲酒をしない人の死亡リスクを下回っていることがわかります。
つまり、「男女ともに少し飲酒した方が死亡リスクは下がる」と
言えます。
そして、グラフがアルファベットの『J』を描くような曲線に
なっていることから、『Jカーブ理論(Jカーブ効果)』と言います。
同様の結果を示した研究論文は数多くあり、
これが、「ちょっと飲むくらいは、むしろ体に良いんだよ。」という
言い分の論拠となっていました。

※ちなみに、アルコール消費量(摂取量)とは純アルコール量です。
 例えば、純アルコール換算で20gなら下図のようになります。

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