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バスボムをくれる人たち (春のひとりごと)

自転車に跨った私はハッとしていた。
"春がやって来ている"
交差点で信号待ちをしていると、角にある焼肉屋から炭の上で肉が焼ける香ばしい匂いがふんわり漂ってきて「あぁ、お腹すいちゃうなぁ」とぼんやり思ったのだ。
毎日のようにこの場所で信号待ちをしているのに、そんな風に思うことがなかったのは、寒さで感じる余裕がなかったからだ。「早く青になれ」と呪文のように唱えた日々は終わり、ただぼんやりと青になることを待っていられるのは、春がすぐそこまで来ているからに違いなかった。
寒の戻りは戻らないで、どうぞそのままお行きになって(お出口あちらです)
春雨前線、花散らしの雨? 物騒な、お止めになって。

ところで、バスボムをよく貰う(急に)
バスボムだけじゃなくて、バスソルトとか花びらの形した何かとか、とにかく洒落たやつ。
こういうの好きだろうと選んでくれたのだろうけど、ちょっと年末から世界中のバス系が集まってきてない?というバスグッズ続き(たったの3つだけど)

いや、面と向かっては言えないよ?
ここだけの話よ?
私こういうの要らな…(しー!しー!)
だって私、熱めの湯にぬぉぉと浸かってザバッと上がる、江戸タイプなんだもの。

お風呂には浸かりたいなって思う。
疲れている日や、寒い日なんかはシャワーじゃなくて、やっぱりお湯に浸かりたいよ。
だけど一時間とか浸かってる人いるでしょ、あれって私からすればどうかしてるって思うの。うちの母や姉たちなんかも本当に長くて、昔はお風呂が空いている時間がなかったほど。私なんかは全部で10分で出るから、頼むから隙間を下さいってずっと思ってた。
せっかく張った湯に3分も浸からない私だって、あちらからすればどうかしているのだろうけど、言いたいのはそういうことじゃなくて、こんな女にバスボムなんてどう考えたってそぐわないってこと。
豚に真珠、猫に小判、田波にバスボムってことなの。
どれも価値のわからない者に与えても無意味であるって意味だからよく覚えておいて。

中でもLUSHのバスボムは要注意。
バスボムからキラキラでラメラメな宇宙が生まれちゃったり、バスタブの中が虹とかユニコーンで、ここって原宿?って勘違いするから。
華やかになったバスタブを横目に、折角だけど私もう行くねって上がることの後ろめたさよ。
一度なんか、これなら大丈夫かな?って入れたボムから藻とか枝のような何かがわんさか飛び出して、出るわ出るわの大惨事。シュワシュワしてる時からこれどうやって流すんだよって頭抱えた。
桶ですくっても逃げ回って全然無理だから、台所のネットを排水溝に押し当てつつ流して、溜まった藻を反対の手で浴槽のヘリにひたすら積んでいく作業。リフレッシュどころか漁かなって。これ数日干したら立派なわかめになりますよぉって素っ裸でやってた。バスボムっていうか、完全なボムなの。3分で出たいの。

出社すると、デスクの上に堂々と居座るLUSHの紙袋。
またお前か。お前なのか。
既に紙袋からめっちゃいい匂いしてる。

「わっ。これどうしたんですか」
「〇〇さんから遅くなったホワイトデーだって」
「ありがとうございます〜(遠い目)」

言えやしないよ。
しかし、帰って開けてみたら今年のLISHは一味違う。
なんと巾着着き!
これって排水溝と格闘してきた人たちの声が採用された結果なのでは?と思うと、おお〜(拍手)

LUSHの名誉のために言い訳させてほしいけど、本当は夢のある商品なのよ。
お子さまなんかはワクワクしてとっても楽しいと思うし、普通ならプレゼントされて喜ばない女子はいないほどいい香り。石鹸なんかもスベスベになるし。
だからこれは、私がちょっと江戸過ぎたっていうか、江戸な私のひとりごとなんだ。


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