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いつかの韓国旅行記

現実逃避か、旅に出たい欲がすごい。
しかし今は新年度でそうそう旅に行く時間もとれない。
仕方がないので、何年か前に行った韓国旅行のことでも書きながら、思い出に浸りたいと思う。

しっかり者2人と癒しキャラ1人とポンコツな私、女4人で韓国へ飛んだ。
ことの発端は、4人で飲んでいる時に先輩Yさんが言った「韓国に行かない?」という発言にある。みんな酔っぱらっているものだから、行こう行こうと盛り上がっていた。
それから1週間もしないうちに「〇月〇日の飛行機なら取れるけど、ご都合いかが?」という連絡が届いた。
「行けまーす」と返信しながら、内心まさか本気だったなんてと震えた。行動力のある人は口約束をしないのだ。

"からだひとつで来てくれれば良い"という有難いお言葉に甘え、スケジュールなどしっかり者にお任せしたまま、当日を迎える。
深夜に友人たちの乗ったタクシーが家の下にやってきて、扉が開くと同時にタクシーのトランクが開けられた。運転手が降りてきたが、小さなリュックを背負うのみの私は、それを丁寧に断った。
トランクの隙間から見えた、3人のトランクに思う(みんなトランクで来てる!)
「ジェーンちゃん荷物それだけ?」
"からだひとつとで"と聞いていたのにもかかわらず、きちんとリュックを背負ってきたのだから、誉めてもらえるものだと思っていた。私は甘えすぎていたのかもしれないし、もっと色々聞くべきだったのかもしれない。
しかし、もう後戻りは出来ないから「足りないものは買えばいいよ」とクールに決めておいた。

旅行から随分時間が経っていて、曖昧になってしまったけど、とりあえず仁川空港に着いた気がする。
そこからリムジンバスで明洞に行ったような…(こんなに曖昧な旅行記ってある?)
とにかく飛行機で飛んだあとの記憶が、明洞でソルロンタンを食べていたのよ。
明洞は東京でいう原宿とか新宿の雰囲気で、コスメショップが多く並んでいた。ここでお土産のパックや化粧品を早くも買い漁る。私は旅行中に使うスキンケアもここで調達した。足りないものは買えばいいのだから。
コスメショップの店員さんたちはみんな日本語がとても上手で、店内に入るとすぐに近づいてきて「それおススメですヨォ」と話しかけてきた。
それどころか「コレを買ったらコレをおまけで、コレもおまけで付けますヨォ」と交渉を持ちかけてくる。どうやらそのおまけ商法がウリらしかった。私は「それもそれも付けなくていいから、安くしてほしい」と持ち掛けたが「じゃあ仕方がないから、とっておきのコレを付けますネェ」と安くはしてくれないようだった。

明洞餃子を食べる。おそらく一年分のにんにくを食べた気がする。細麺のうどんも、優しそうな見た目に反してすごくにんにくが効いていた。明洞に着いた時、下水の匂いが気になったのだけど、あれは全て明洞餃子のにんにくのせいなのかもしれない。こんな風に書いて、誰が明洞餃子に行きたくなるのだろうね。信じてもらえないかもしれないけれど、味はとてもおいしかったのだよ。
口が臭くなることが醍醐味なことってあるでしょう?
その後、地下鉄に乗って新沙駅まで。
カロスキルにあるホテルにチェックインする。

おしゃんなホテルだった。

カロスキルの街は、日本で言うなら代官山のような雰囲気だった。お店もお洒落で、そこでカフェに入ったり、夕方までショッピングして東大門まで移動。ローカルなお店でタッカンマリを食べた。
明洞とは違って日本語も英語も通じなかったけど、おばちゃんたちは慣れているようで、お構いなしの早口で説明しては消え、具材が煮えた頃に現れ、鶏をハサミでジャキジャキと切り、もうイケるで!というようなジェスチャーで食べ頃を伝えた。タッカンマリは大好きで家で作ることもあるのだけど、やっぱり本場の味は数段美味しかった。

お腹いっぱいで死にそうになりながら、夜のデパートへ。
東大門は夜中だろうとデパートが営業していた。走り回る子供たちに、何時だと思ってんだ!と言ってしまいそうになる私は、紛れもなく日本人だ。
まだタッカンマリに溺れていて、デパートでは誰も何も買わなかった。

翌日は、電車で南大門へ。
南大門は大きな市場で、日本で言うとアメ横のような場所。いちいち日本に例えてきたことは、現地感を思うと間違っていた気がする。
特に食品を買うこともなく雰囲気だけ味わって、観光客ばかりの店でタレにワタリガニを漬けたケジャンをたらふく食べた。カニに呪われそうなほどのカニ。
その後もっとローカルな場所(どこだっただろう)に移動して毛皮を見る。
友人たちは、安く毛皮を手に入れるつもりだったけど、私は特に毛皮に興味がなかった。それなのに、可愛らしいムートンコートと出会ってしまって、いち早く購入。
足りないものは買えばいいのよと言っていたのに、そうでもないものまで購入して、のちに現金が足りなくなったのはまた別のお話し。
市場では魔法(カード)が使えないらしい。
友人が買った毛皮も、私のムートンコートも、それぞれ雑にビニール袋に入れらたが、持っていることが怠くなってダウンの上からムートンコートを着るという斬新なスタイルでカロスキルへと戻る。この時、ベレー帽までかぶっていたから、アニメ化すればワンピースあたりに出演できそうだった。海外に行くと思うけれど、日本人ってすごく洋服に気を使っている人種だと思う。

夕方から奮発してエステ。しかも3時間コース。
オイルで身体を全身もみほぐされ、自分とベッドの境目がかわからなくなったのち、顔を石膏のようなもので固められる。しっかりと固まるのを待って、パッカーン。こんにちは新しい私、これ何に効いてますの。
リフレッシュというよりぐったりしたまま、今度はドラム缶の焼肉を食べに行く。
タッカンマリや毛皮のお店をローカルだと書いたけど、ここが本当のローカルだ、と訂正したいくらいのローカルさだった。気軽にローカルだなんて口にしない方がいい。

現地の人しかいない

焼肉の柔らかさは皆無、我は今肉を喰っているぞ!という肉々しさで、それはそれで嫌いじゃなかった。
食べ終えて結構遅い時間だったのだけど、みんなはこれからスパに垢すりに行くというから、私はもう眠たくてホテルに戻ることにした。
私のこういうところについて、幼馴染には「ジェーンのひとりだけ平気で帰って行くところは本当にすごいよ。信じられない」という、褒めてるんだか批判されているんだかな意見をいただくが、気にしないことにしている。
ひとりホテルに戻って、まだ残っているオイルを洗い流したくてシャワーを浴びていると、急に風呂の電気が消えて真っ暗になった。それどころか、それまで聞こえていたテレビの音すら聞こえなくなっていた。
ホテルは入室してカードキーを所定の場所に置くと、電気が付くシステムだったのだけど、それがスンと一斉に消えたのだ。
どどどどどういうこと!
おばけ?怖い! (カニの?)
それとも誰かがキーを抜いたの?
もっと怖い!!
とにかくカードキーのところまで行かなければならなかった。真っ暗の中、お風呂場のガラス扉を開け、素っ裸で壁をつたい、どうにか手探りでカードキーを指し直すと電気がパっとついた。
接触不良だったの?怖いよう。
身体を拭き、服を着替えてテレビを見る。それでも怖くて、すぐそばのファミマに避難した。
だけど避難したってファミマはファミマ。何をしてくれるわけでもない。怖がったら小腹が空いてきて、カップ麺を購入し、ひとり路地で食す。
随分汚い路地で、韓国ってあれだな、表面キレイだけど裏面えげつないなと思ってるうちに、男性に英語で「日本人か?」と話しかけられ「No!」と答えて逃げた。
もうどこにいても怖い。仕方なくホテルに戻る。
ベッドに入って、何を喋っているのかわからないテレビを眺めたまま、幼馴染に「怖いよぅ」とメッセージを送ったら、何だか無性に帰りたくなって、スマホを握りしめたまま眠った。
目覚めると朝で、横に友人が眠っていた。
スマホには幼馴染から焦ったような「大丈夫?」が何通か届いていて、最後の「寝てるでしょ」というメッセージに笑みがこぼれた。ありがとう、もう怖くないよ。

朝食を食べて、免税店で更にお土産を買って、タクシーの車間距離の無さと、運転の荒さにひゃあひゃあ言いながら空港へ。旅もそろそろおしまい。
帰りの飛行機は結構揺れて怖かったのだけど、機長が「私事ですが、本日〇〇〇回目のフライトです」と挨拶した瞬間、機内が沸いた。おめでとう。
別に記念すべきことじゃなくても、機長の小話なんかがあったら楽しいんじゃないかと思う。「私事ですが、喧嘩したままの妻から、フライト前にメッセージが届きました」とか、どうだろう。ハピネス。
今回、思い出しながら書いていて、時間や場所が前後している気もするし、もっと色んなものを食べて、素敵な場所もあったように思う。
それでも、書いているだけでリフレッシュできた気がするし、何より"旅の感動は冷めないうちに書くべし"という学びになった。学びになったといえば、羽田に着いた私が大量のビニール袋を持ちすぎていたので、トランクはあった方が良いし、現金も多めにあった方が良い。

文字数の長さをゴシック体で誤魔化して、韓国旅行記はおしまい。


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