田波ジェーン

読んだり書いたり迷ったり。

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この読書感想文を自己紹介として

川上弘美の作品を読んだのは半年ぶりくらいだろうか。 川上弘美の作品は日常と非日常を暖簾一枚の気軽さで行ったり来たりしていると誰かがレビューで書いていた。 私は行ったり来たりというよりは常にそこにあって、それを不思議と思うこともなく共存しているというように思う。 神様やパワースポット、パワーストーンや心霊現象、そういったスピリチュアルな話は人が作り上げたような、信じる力とかとても人間らしさを感じるのに対して、川上弘美の小説には不思議なことも日常、生命としてそこに息づいて共存し

    • ブランコ

      幼稚園の頃、ブランコから落ちたことがある。 家の近くの公園で幼馴染のマンチョと二人乗りをしていた。 私は座って、マンチョが向かい合う形で立ち漕ぎをして、ぐんぐんと高さを上げて前後に揺れるブランコがその高さの頂点に到達した時、なぜだかパッと手を放してしまった。 気が付いた時にはブランコの下に敷いてある、長方形のクッション材の上に横たわって、空の方を見ていた。 マンチョは焦って「大丈夫?」と繰り返し聞いていたが、私は返事をしていなかったように思う。どういう訳か、痛みも怖さも感じず

      • 筍ご飯が炊けるまで

        今年も筍をもらった。 天気予報で桜の話題が出る頃に、にょきにょきと顔を出し、毎年誰かしらが堀りに行って私のもとへも届いてくれる。 「どうぞ」と渡された2本の筍は、程よい大きさで、程よくずっしりとしていて、京都からやって来たのだという。 京都からやって来たと聞くと、筍とはいえ、確かに少し品がいいような、ツンとしているような気がしてくるから不思議だ。 私は食べ物をよく貰う人だと思う。 食べ物といっても、素材のままの状態で頂くことが本当に多い。 今年だけでどれくらい頂いたかなと思

        • さよならジーンズ

          ジーンズがきつい。 履き心地の良さと、どんなトップスにでも合わせやすいという理由でヘビロテしているストレートジーンズがここのところぱっつんぱっつんで、気付かなかっただけでひょっとしてスキニーだったりした?って、このジーンズのそもそもを疑ってみたりしたけれど、この子が紛れもないストレートジーンズだということは私が一番に知っている事実だった。 だってこの子はスキニーが流行った頃、私は中村アンちゃんみたいにカッコよくストレートジーンズを履いてやるんだって、2万円握りしめて買いに行っ

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          今年も綺麗だねぇ。

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          いつかの韓国旅行記

          現実逃避か、旅に出たい欲がすごい。 しかし今は新年度でそうそう旅に行く時間もとれない。 仕方がないので、何年か前に行った韓国旅行のことでも書きながら、思い出に浸りたいと思う。 しっかり者2人と癒しキャラ1人とポンコツな私、女4人で韓国へ飛んだ。 ことの発端は、4人で飲んでいる時に先輩Yさんが言った「韓国に行かない?」という発言にある。みんな酔っぱらっているものだから、行こう行こうと盛り上がっていた。 それから1週間もしないうちに「〇月〇日の飛行機なら取れるけど、ご都合いかが

          いつかの韓国旅行記

          バスボムをくれる人たち (春のひとりごと)

          自転車に跨った私はハッとしていた。 "春がやって来ている" 交差点で信号待ちをしていると、角にある焼肉屋から炭の上で肉が焼ける香ばしい匂いがふんわり漂ってきて「あぁ、お腹すいちゃうなぁ」とぼんやり思ったのだ。 毎日のようにこの場所で信号待ちをしているのに、そんな風に思うことがなかったのは、寒さで感じる余裕がなかったからだ。「早く青になれ」と呪文のように唱えた日々は終わり、ただぼんやりと青になることを待っていられるのは、春がすぐそこまで来ているからに違いなかった。 寒の戻りは戻

          バスボムをくれる人たち (春のひとりごと)

          束の間リフレッシュ (長い日記)

          仕事で遅くなった金曜。送ってもらう車の中で聴いたのは昭和名曲メドレーであった。 少し前の記事で、中島みゆきの悪女という曲について書いた時、登場人物のマリコについて職場でも話し過ぎてしまったのか、Sさんには私が古い曲が好きな人としてインプットされたようで 「昭和名曲メドレーとか聴いちゃう?」と気を回してくれたのだった。 この時は疲れていて、なぜに昭和名曲?と疑問だったのだけれど、よくよく考えてみればあの時のマリコが尾を引いているに違いなかった。 「いいですねー」と答えつつ、サザ

          束の間リフレッシュ (長い日記)

          きゅうりが美味しく感じるとき

          パスタランチにセットで付いてきた、ミニサラダのきゅうりを食べた私は驚いていた。 メインのボロネーゼより、コンソメスープより、そのきゅうりが群を抜いて美味しかったのだ。 「きゅうり、美味しい!」 興奮して同僚に伝えると、同僚もスライスされたきゅうりを口に入れ、考えるように咀嚼した。 「これは、普通に美味しいきゅうりだね」 「うそっ」 私は生野菜を好んで食べない。 夏場はトマトにきゅうり、レタスを食べたくなることもあるけれど、冬になると極端に食べなくなる。 理由として、根菜の

          きゅうりが美味しく感じるとき

          夢にじいさん

          おじいちゃんに会ったことがない。 私が生まれた頃には、どちらのおじいちゃんもいなかったから。 父方の祖父は早くに亡くなり、母方の祖父は蒸発したらしい。このことについて母は語らなかったし、私自身も全く気にならなかったのだけど、一度だけ母がダイニングテーブルで遅い昼食をとっている時に 「そういえばおじいちゃんてどんな人だったの?」と聞いたことがある。 母は一瞬、焼魚をほぐす箸を止めて 「おじいちゃんはね、すごく色男だったらしいのよ」と目線を下げたまま言った。 ポツポツと母が話した

          夢にじいさん

          イルカに乗ってマリコ

          心がささくれ立っている。 年度末に加え、確定申告となれば気も立ってくる。 りんごが8こ みかんが4こ あります。4人で分けるとひとりいくつになります「じゃんけんしよーぜーーー」の私に数字なんぞは近付けないで欲しい。 仕事が終わって酒ものまずに書類に向き合っていると、普段スルーしている政治への怒りみたいなものも込み上げてくる。 よく覚えておりませんだと? 風呂上がりにすっぴんで枕元に立って、忘れられない夜にしてやろうか? UNIQLOの黒い綿パン1枚で肩からタオル掛けた私って

          イルカに乗ってマリコ

          ゴリラリベーンジ! 前回きちんと見られなかったゴリラを再訪🦍 冷めないゴリラ熱。笑 スタバは混雑すぎて、NEWDAYSで買ったフィナンシェがすごく美味しかった🥧 実はスタバの美味しさをよくわかっていない。 (nakazumiさんに見せた顔、私にも見せてくれたんだ) おはよう日曜日

          ゴリラリベーンジ! 前回きちんと見られなかったゴリラを再訪🦍 冷めないゴリラ熱。笑 スタバは混雑すぎて、NEWDAYSで買ったフィナンシェがすごく美味しかった🥧 実はスタバの美味しさをよくわかっていない。 (nakazumiさんに見せた顔、私にも見せてくれたんだ) おはよう日曜日

          お構いなしの花と週末

          梅の花を見ていた。 玄関の白い大理石に無造作に置かれたままの梅の枝は、丸い蕾がたくさん付いて、いくつかは既に花を咲かせていた。 ああ、早く水に挿さなきゃ。 見慣れたペール色のフローリングに横たわって、梅の命を思う。 むくっと上半身を起こすと、人感ライトの明かりがパッと灯って、まるで梅にスポットライトが当たったみたいだ。優勝、梅。なんてね。 東北のアンテナショップは人で賑わっていた。 バレンタインデーを前に、チョコレートのお菓子も多く用意されている。 冷蔵のドリンク棚を物色し

          お構いなしの花と週末

          冬は苦手、でも雪は好きだな。

          東京に雪が降った。 朝のニュースで都内も大雪に警戒と言っていたけれど、毎回大袈裟なんだよねと聞き流していたら、本当に積もるほど降った。 そうだった。気象庁はいつも聞き流した時に限って予報を当てて、信用を取り戻している機関だった(違う) 二月の連休に行くはずだった山の予定が流れて、その後にAmazonで頼んでおいた軽アイゼンが届いた。 山頂付近は雪だねって頼んでおいたのだけど、この分だと使うのはまだまだ先になりそう。 Amazonの段ボール箱が届くと、熱帯雨林のジャングルなア

          冬は苦手、でも雪は好きだな。

          果てしなさ

          3日間のプチファスティングを始めたのは、痩せなきゃ痩せなきゃと言いながら、ちっともそんなつもりのない自分に嫌気がさしたからだ。 暫く、口に食べ物を運ぶ機械のように生きている。 口に食べ物を運ぶたびに考える。お腹は本当に空いているのかい? もう長いこと空腹を感じていなければ、スッキリした身体でパンツを履いていることもない。いつも苦しいと言うウエストを無視して、口に食べ物を運ぶ。咀嚼して飲み込む。食事じゃなくて動作のようだ。果てしない。 私は果てしないことがあまり好きではないの

          休日出勤した日のこと。

          それは休日出勤した日のこと。 誰もいない事務所で黙々と作業していると、経理のRちゃんがやってきた。 今週中に少しでも進めておかないと気が気じゃなくて、という理由でこの寒い中、出社したらしかった。真面目だ。 私といえばその週、風邪で早退し、次の日も午前休したので単純に仕事が間に合っていなくて出社した。 風邪はもう楽になっていたけど、鼻に関しては完全に閉ざされたまま、100パーセント口呼吸に頼って生きていた。鼻で呼吸が出来ないことの辛さよ。家光、私の鼻まで鎖国した? 二人とも無

          休日出勤した日のこと。