北岡英樹

何をするか分かりませんが、何卒よろしくお願いいたします。

北岡英樹

何をするか分かりませんが、何卒よろしくお願いいたします。

最近の記事

どっちみち

えーと 女の首を 左にニ回 右に三回廻してやな ちょっと待て わし、だいぶ老眼進んだなぁ 男の鼻をやな 輪切りにスライスしてマヨネーズや それから 流れ玉を避けろ どうや、あかんか あかんのか おかしいな えーとな、試しにな 女の右耳を切り飛ばして 距離測っといて わしの金玉引きちぎっとくから どっちみち もうじき着くわ 待っといて

    • 家の中

      死んだ犬が 今日も私に死んでいる 犬小屋の中で 聞こえるように 容赦なく 風の音が外から聞こえる 死んだ犬が 今日も私に死んでいる

      • 死にやがれ

        死するものに 愛してる 死するものに 命を燃やす 死することこそ 死にやがれ 永遠など 滅びる程の 価値はない

        • ご馳走様

          ああ 美味そうな差別肉だ 傷ついた心のソースで食べてみよう ゲ! 生焼けの肉 賞味期限が とっくに切れたソースじゃねえか どちらにしろ 煮え切らない奴らの まずい料理は食えないねぇ

          朝の景色

          イチゴは 食べられる練習を 朝からしてた いい匂いをさせて そして 刻まれたばかりの カットトマトたちが 苺の匂いを嗅いで 涅槃のバスを待っていた

          朝の景色

          飯を炊く

          昭和47年 UFOで 飯炊いた タイマーで 飯炊いた そして 今炊けた 今度は 宇宙人一杯入れて 飯炊こう 新しいUFO売ってるけど 安くなるまで 今のUFOで 飯炊こう

          電信柱が息をする

          燃えないゴミを捨てて来た 家路までの夕暮れに 電信柱が立っている 燃えないゴミを捨ててきた 私の目には夕暮れに 電信柱が息をする ここが世界の果てのように 深く静かに お地蔵さんより

          電信柱が息をする

          戦争見て来た

          休みやさかい 戦争見て来た 帰って来たら 日が暮れてた 休みやさかい お酒を飲むわ 戦争見て来たお土産の 僕の死体はまだ届かない 二重螺旋に酢味噌がからむ DNAのぬた和えで 知らない誰かを 思い酒

          戦争見て来た

          子供になる

          庭の楠木が、 隣家の屋根に葉先が当たるほど 伸びてしまっている。 昼からの風が強く、 ゆっさゆっさと楠木が揺れる度、 あともう一歩で、 葉先は隣家に当たってしまいそうだ。 脚立を楠木に立てかけ、 ノコギリで問題の枝を切りにかかる。 勝手気ままに吹く強風の中で、 私は楠木に体を預けていた。 脚立を土台に枝や幹にしがみつき、 する気もなかった木登り遊びの体である。 揺れる楠木は、 私をあやすように揺れていた。 とうとう、問題の枝は切り落とせたが、 落下した枝の重みが、 隣家の洗濯

          子供になる

          買いもん行く

          刺青で 忘れんように 入れてもろた 玉子の刺青 キャベツの刺青 買いもん行くの もう怖ない 白いシャツから  透けた刺青 なんで刺青したんやろ 今からどこへ行くんやろ

          買いもん行く

          酒人の空

          酒人が 見上げる空に 釣り上がったは 鯉のぼり 神さんの酒のあて 鯉のぼりの活け作り

          ポイントカード

          何もかも焼き尽くす 無情の太陽を浴びて ああ、たまらねえ 私の胸元から 私と太陽の体臭がする 人間ばかりのこの世じゃない 俺だって獣だもの 人の心の善悪は ポイントカードの ポイントに過ぎないのさ

          ポイントカード

          お前のもの

          自分で 自分を コントロール出来てる事なんて 本当にあるのかな 髪の毛が勝手にのびながら 私はそう想う 自分の心臓の音が 止まらない こわい 全世界はお前のものだ だから お前は一体どうするんだい 部屋の外から聞こえる風の音に ちょっとしたヒントが 答えもなく 内蔵されていた

          お前のもの

          町の絵描き

          くちづけの 舌噛みちぎって 口移し 町の絵描きがスケッチしてる 赤い絵の具が足りないと

          町の絵描き

          心の中

          いちばん遠いところは、 人の心の中なのですと、 星が光っていた。 ロケットが、 マッチ一本に見えて来た。

          太陽の匂い

          刈っておいた草を、庭に山積みにしておいた。 ここの所のお天気が染み込んだ刈り草である。 陽が傾いた気持ちいい時間に、 その山ををひっくり返すと、湿った草から、 なんとも言えない良い匂いがする。 微生物だか、なんとか菌だか知らないが、 生きている匂いと言うものは、香ばしい。 臭いとは思わなかった。 気味の悪い白いものが所々に繁殖している。 死を忌み嫌う人間社会に酔った自分の目には、 生きることの不気味さがより鮮明に映っていた。 湿った草や土の匂いは、 時代なんぞを飛び越えていて