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焼肉部位解説⑫ 人気のホルモン(白もつ、テッチャンなど)とテール

今回はモツ鍋などに利用されるホルモンの解説である。1988年ころに米国ネブラスカ州オマハのビーフパッカーを訪問した時に食肉処理場の片隅に白モツを茹でている大釜を発見! 
当時売り出し中のコテッチャンの原料(Small Intestine:小腸=白モツ)であった。白モツは、昭和の時代に場末のホルモン焼屋で年配のオヤジ達が秘かに食べていたものだ。
それがコテッチャ~ンとして簡単に炒めて美味しく食べられるようにタレに漬けて売られるようになり、女性や子供達向けにブレークした。その後も、もつ鍋ブームも到来して、完全にオヤジの食い物から卒業してしまったのである。

14-12 小腸
【別名】ヒモ、マルチョウ、コテツ
【英語】Small intestine(北米 豪NZ)
【中国語】小肠(xiao3chang2)
【牛の部分】 大腸と胃の間の円筒状の内臓
【特徴】脂肪が多くこってりしている。焼肉には裏返して提供する事が多い。1980年代初頭に発売された味付けした“こてっちゃん”によって、それまで“やきとん”や“居酒屋”でオヤジの食べ物だった牛モツが一気に家庭のオカズになり、その後の“もつ鍋ブーム”も加わり、内臓の需要が大きくなる端緒となった。
【用途】焼肉、煮込み、炒め物、もつ鍋

写真:小腸

14-13 大腸
【別名】テッチャン、シマチョウ、ダイテツ
【英語】 Large intestine(北米 豪NZ)
【中国語】大肠(da4chang2)
【牛の部分】小腸より後ろの円筒形の内臓。関東では脂肪を掃除する事が多いが、関西では多少脂肪がついている方が好まれるようである。 
【特徴】小腸よりも脂肪は少ないものの、厚みがあり噛みごたえがある。焼肉で人気がある。
【用途】焼肉、煮込み

写真: 大腸、縞模様があるためシマ腸とも呼ばれる

14-14 リードボー(胸腺)
【別名】シビレ、ノドシビレ
【英語】 Sweetbread(北米 豪NZ)Ris de veau(フランス)
【中国語】小牛胸腺(xiao3 niu2 xiong1 xian4)
【牛の部分】12か月齢以下の仔牛の胸腺である。 胸腺は仔牛の免疫機能に関係する臓器であるが、成牛になると衰退してほとんど取れなくなる。
【特徴】気管に近い胸腺(ノドシビレ)より、心臓に近い胸腺(シビレ)が軟らかく滑らかな食感でフランス料理などに珍重される。
【用途】フライ、パテ、グリル、煮込み

写真:シビレ(胸腺)

14-15 テール
【別名】シッポ、オックステール
【英語】 Tail(北米 豪NZ)
【中国語】牛尾(niu2wei3)
【牛の部分】 牛のシッポ
【特徴】よく動く部位であり、肉質は赤身で硬いが、煮込むと軟らかくコラーゲンが豊富で旨い出汁がでる。洋食や仙台タン焼のテールスープに使われている。
【用途】テールスープ、焼肉

写真: テール

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