逍遥軒(技術士 建設部門)のみちくさ紀行

技術士(建設・機械)の筆者。ゼネラリスト的なエンジニアです。仕事を離れての随筆的ブログ…

逍遥軒(技術士 建設部門)のみちくさ紀行

技術士(建設・機械)の筆者。ゼネラリスト的なエンジニアです。仕事を離れての随筆的ブログ(1〜2本/週を目安)。楽な現場はないけど、終わらない現場もない。間違いあらば、優しくご指摘ください。「気は長く、心は丸く、腹立てず、人は大きく、己は小さく。」

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最近の記事

長野県 小渋橋~国登録有形文化財のコンクリート橋を拝見(長野県大鹿村)

 半の沢橋~四徳大橋をご紹介しましたが、長野県道59号のその先には大鹿村があります。大鹿村は映画「大鹿村騒動記」の舞台となった村であり、また山間の美しい村として知られています。  小渋橋は村役場や道の駅に近い小渋川に架かる橋で、国登録有形文化財になっています。鉄筋コンクリート造の3連ローゼアーチ橋です。文化財のデータベースには次のように解説されています。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とのことで、確かに今の構造と比べても歴史の長さを感じる姿です。そして昭和3

    • 長野県 トレッスル橋脚の2橋(木曽町 巴橋、大鹿村 北向橋)+α

      巴橋(長野県木曽町) トレッスル橋脚を知ったのは餘部鉄橋をテレビで見たときでした。ネットで検索してみても、なかなか見に行くことはできないと思いつつ、道路橋でのトレッスル橋脚の橋を拝見しました。情報源のブログはリンク先のものです。  最初に見えたのは、橋のたもとにある「14トン」の標識でした。山間の道路で見かける、古いながらも地元になじんでいる橋の雰囲気を感じます。  駐車場が隣接されていて、そこから水面に近いところまで進めました。橋を見られるのはありがたいと思いつつ、こ

      • 長野県 半の沢橋~上路ローゼ橋のTL20への移ろい(大鹿村への道 長野県道59号 松川インター大鹿線)

         県道を大鹿村に向かう途中に半の沢橋はあります。「半ノ沢橋」の表記の場合もあるようですが、「全国道路施設点検データベース~損傷マップ~」に合わせました。  四徳大橋と同じ路線にある橋です。「アーチ橋だな」「沢が深いのかな?」と思いつつ、何かが気になり、少し見てみることにしました。下から眺めたい好奇心(悪い癖)なのですが、廃道側からはあまり見ることができず、橋の手前の退避スペースから拝見しました。  まず、垂直材と斜材の色の褪せ方が違っています。これは耐震補強が行われたのかな

        • 長野県 四徳大橋~風疲労対策を拝見(大鹿村への道 長野県道59号 松川インター大鹿線)

           四徳大橋は中央道松川インターチェンジから大鹿村に向かう県道59号線の橋で、支間長150mのトラスドランガー橋です。美しい秘境の村として知られる大鹿村へのアクセス道路に架かっています。そして近年の中央新幹線の工事にともない道路も整備されている路線のようです。  さて四徳大橋で特徴的に感じたのは、吊材に巻き付けられたワイヤです。大鹿村や中川村は長野県の標高が少し高くなる地域ではありますが、雪対策なら長野県の定番の対策になりそうです。しかしながら、長野県内の他の橋で見かけたことは

        長野県 小渋橋~国登録有形文化財のコンクリート橋を拝見(長野県大鹿村)

        マガジン

        • アーチ橋の補強を拝見
          6本
        • トラス橋の補強を拝見
          5本
        • 古い橋とのランデブー
          7本
        • マイヒストリー:技術士になるまで
          7本

        記事

          長野県 鬼淵鉄橋〜国産最古のトラス橋 を拝見(県道上松南木曽線 長野県上松町)

           木曽福島あたりから国道19号を南下していくと、上松町に入ります。そしてお目当ての鬼淵鉄橋を見学しました。  大正3年竣工の日本の国産最古のトラス橋で森林鉄道の橋とのこと。 https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/press/kikaku/pdf/kiso_rintetsu.pdf  新しい車道橋が通っていて、鬼淵鉄橋は歩道橋になっているのかな?と思いつつ近づいて見ると、通行止めになっていました。なので、隣接の現橋から拝見しました。   支

          長野県 鬼淵鉄橋〜国産最古のトラス橋 を拝見(県道上松南木曽線 長野県上松町)

          長野県 寝覚発電所サイフォン橋を拝見(長野県木曽町)

           常盤橋から南下しようとしてGoogleMapを眺めていたら、道路より少し離れたところに橋が見えましたので、立ち寄ってみました。  帰宅後に調べたら、寝覚発電所サイフォン橋という名前のようです。  県道から歩いていくと、橋の全景が見えてきます。  ダブルデッキのトラス橋ではありますが、下のデッキには大きなパイプが通っていました。初めて見るタイプの橋なので興味津々であり、また、頭の中の混乱でもあり。どうやって、この大きなパイプを運び込んで、つないでいったのか?  トラス部を

          長野県 寝覚発電所サイフォン橋を拝見(長野県木曽町)

          長野県 常盤橋 横支材のない中路アーチ橋を拝見(長野県道20号 開田三岳福島線)

           長野県道20号を上流に向かっていくと、御岳百草丸で有名な長野県製薬があります。木曽福島駅周辺でも売っている百草丸を、メーカーの直売所へ!というルートです。  さて、本題の常盤橋は、そのルートの半ばにあります。  ときどき横支材のないアーチを見かけますし、こちらも同じ感じかな?と思いながら、橋を渡らず川沿いの道路側から眺めます。建築限界を考えると、このライズでは横支材の配置は難しそうですね。それにしても、左岸側には側径間の鈑桁部もあるので、下路式アーチのみにできなかったのか

          長野県 常盤橋 横支材のない中路アーチ橋を拝見(長野県道20号 開田三岳福島線)

          長野県 黒田橋(木曽町)の改造ミステリー(迷宮入り)(長野県道20号開田三岳福島線)

           今回から数本は木曽川(支川含む)に架かる橋の旅のブログです。  黒田橋は長野県木曽町の県道20号にある橋です。国道19号を南下して、木曽福島駅近くから御嶽山方面に向かう県道の途中に道の駅三岳があり、そのすぐそばです。  端部に垂直材があるタイプはそんなに見かけないなと思って県道を歩きながら橋名板を見てみると、1966年に関西電力が改造したと記してありまして。データベースを見ると1958年に竣工となっているので、県で設置して関西電力で補強したという流れなのでしょう。(推測)

          長野県 黒田橋(木曽町)の改造ミステリー(迷宮入り)(長野県道20号開田三岳福島線)

          栃木県 中橋~歴史のある3連アーチ橋を拝見(県道38号線)

           足利駅から渡良瀬橋に進む途中に中橋があります。中橋の読みは「なかばし」のようです。  駅から進んでいくと何やら工事中で、工事看板を見ると新しく架けるようです。古い橋の宿命でもあり、経年劣化や交通条件などで・・・・と思ってあとから栃木県足利市のWEBサイトを見てみると、「現在の中橋の3連アーチ部分を下流側にスライドし、歩行者・自転車の通行空間として再利用」となっています。残すことも大変ですが、横に新しい橋を架けて道路をシフトさせるのではなく、現橋をスライドさせて残しながらとい

          栃木県 中橋~歴史のある3連アーチ橋を拝見(県道38号線)

          栃木県 渡良瀬橋(下路トラス橋)を拝見(県道5号線)

           年代によっては、歌でこの橋をご存じの方も多いでしょう。  歌詞の情景にはまったくそぐわないブログなので、技術系の方以外は読まずにほかのページに移っていただくことをお勧めします。時として技術的な話を持ち出すと雰囲気が壊れるんです。(言い方の問題も大きいかも)  さて、本題に。  耐震補強を拝見と思いつつ、正直なところとしては、近寄ってみるまでは補強されているとは思えないようなすっきりとした印象でした。トラス橋の場合には、部材が増えたり、支点周りに取り付くものがあったりと、目立

          栃木県 渡良瀬橋(下路トラス橋)を拝見(県道5号線)

          岐阜県 吉ヶ原橋 耐震補強を拝見(国道41号)

           国道41号を富山から岐阜方面に進むと、カーブの先に青いトラス橋が見えてきました。吉ヶ原橋です。  側径間は鈑桁のようでして、なんとなく鉄道橋の配置の雰囲気を感じます。(これは個人的な印象です)  それにしても上路トラスの支点部について、①支点から斜材が伸びる場合と、②吉ヶ原橋のように支点部には垂直材と下限材のみ(斜材は端支点の上弦材から次の格点へ)となっているパターンがあります。①のケースでは端支点の垂直材の断面積が小さく、また材質が1ランク下がっている場合があり、補強・補

          岐阜県 吉ヶ原橋 耐震補強を拝見(国道41号)

          富山県南砺市 利賀大橋、とにかく美しい

           国道156号を北上しながら既設橋梁の耐震補強を見学し、さらに北上します。アーチ橋の情報を検索していた時に情報を見かけて気になっていた橋です。  土木学会のデザイン賞とのこと。  どうしてここまですっきりと美しいのか?は現地で見ていた時には受け止め切れていなかったのですが、デザイン賞の講評にあるように、部材の構成に配慮しながらシンプルさと力強さを実現でしているようです。  せっかくなので、望遠レンズ越しに構造を把握し始める悪いクセは始まります。  どの部分を見ても、美し

          富山県南砺市 利賀大橋、とにかく美しい

          富山県 湯出島橋 アーチ橋の耐震補強を拝見(国道156号)

           耐震補強の文献を探していた時に知った橋です。興味をひかれたのはアーチ支承部の補強です。  詳しくは川田工業さんの技報に乗っていますのでご覧ください。建設も川田工業さんですね。リンク先に建設時のお話が書かれていました。山に沿った道路ではなく、対岸に一度渡ってすぐに戻っている理由がわかりました。 https://www.kawada.co.jp/technology/gihou/pdf/vol35/3501_04_06p.pdf  国道156号を五箇地域から北上し、国道から

          富山県 湯出島橋 アーチ橋の耐震補強を拝見(国道156号)

          富山県 大渡橋 国道に架かる現存最古の吊り橋を拝見(国道156号 南砺市)

           ダムの水の上にかかる橋。吊り橋というと水面から高い位置にある印象を持っていますが、こちらは水面に近い大渡橋。  私は携わったことがないのですが、地震時の橋軸直角方向の揺れ対策ってどんなものなんですかね?橋軸方向にはダンパーが取り付けられていました。補剛桁(トラス)の下側にダンパーの取り付け部がありますが、どんな接合方法なんだろうか?接合の面の取り方や吊材の剛性の設定には設計者の味が出るところです。  次に主塔を見に行きました。昭和33年竣功・・・・そう、「竣工」ではなく

          富山県 大渡橋 国道に架かる現存最古の吊り橋を拝見(国道156号 南砺市)

          富山県 小原橋(上路アーチ)耐震補強を拝見(国道156号 南砺市)

           五箇地域から北上していた時に、「???」と思った橋です。「???」というのはアーチリブの間になにやら色濃いものがあり、でも重たさがある感じでもなく、何だろうと思っての見学でした。  歩道へと進み、桁下をのぞき込むと珍しい形状のものが視界に飛び込んできました。左右のアーチリブの間を面でつないでいるんですよ。横構などでつなぐといったものではなく、面ですよ。面。  アーチ基部はコンクリートで固めているのかな?情報を探してみましたが判然とせず。でも、たぶん。  こちらの耐震補

          富山県 小原橋(上路アーチ)耐震補強を拝見(国道156号 南砺市)

          富山県 駈足谷橋(πラーメン) 耐震補強を拝見(国道156号 南砺市)

           谷の名前の読みは「かけあしだに(たに)」で良いのかな?富山の旅の途中で見かけた橋です。  さっとネットで検索した限りでは地名の由来はわかりませんでしたが、古くからの名前とすると、もしかしたら急峻さとか落石とか、谷越えの道で急ぐ必要性があったところなのかもしれませんね。  さて、駈足谷橋はπラーメン(パイラーメン)橋です。そして、どんなふうに耐震補強されているのかな?と興味津々です。  πラーメン橋の耐震補強で気になるのは、脚の支承部と隅角部周辺です。  まずは脚の支点部を見

          富山県 駈足谷橋(πラーメン) 耐震補強を拝見(国道156号 南砺市)