逍遥軒(技術士 建設部門)のみちくさ紀行

技術士(建設・機械)の筆者。ゼネラリスト的なエンジニアです。仕事を離れての随筆的気まぐ…

逍遥軒(技術士 建設部門)のみちくさ紀行

技術士(建設・機械)の筆者。ゼネラリスト的なエンジニアです。仕事を離れての随筆的気まぐれブログ。間違いあらば、優しくご指摘ください。「気は長く、心は丸く、腹立てず、人は大きく、己は小さく。」

マガジン

最近の記事

大きな下部工ブラケット

 ざっくりですが、下部工ブラケットの大きさはアンカーボルトの必要本数(列数×段数)で決まります。水平力分担構造を載せる場合、下部工ブラケットには水平方向の力が作用します。設計としてはRC断面(単鉄筋断面)に見立てたモデル化か、モーメントのつり合いなのか?のいずれかになります。  どちらの設計方法で設計するとしても、回転中心や中立軸からどの程度離れたところに抵抗する断面があるのか?がポイントになり、幅方向よりも高さ方向に広くなる対策となります。  また、下部工の配筋が密になって

    • トラス橋の支承取替を拝見

       トラス橋の支承取替での悩みは、ジャッキアップの扛上の力をどのように伝えるのか?ですね。鈑桁や箱桁と違って、下フランジ→ウェブといった流れではなく、 ・下弦材の下面で力を受けるものの、下弦材の断面をつぶさないように斜材などに伝える必要がある ・主構の各部材の伝達で、過剰な曲げモーメントを発生させない(もともとは軸力部材として設計。ただし、床版が載る上弦材は除く) といった事柄を踏まえることになります。  さらに厄介なのは、上路トラス橋の場合、支承上部の垂直材は床版の荷重を受け

      • コンクリ-ト橋への水平力分担構造 施工報告あった橋を見学

         耐震補強で資料を検索すると、施工報告の記事や建設関係の機関紙などが検索結果に出てきます。国道1号の河合高架橋の耐震補強報告もその一つです。下部工ブラケットが鋼部材ではなく、コンクリートの箱構造となっています。つまりは現地でポン付けできないので、そのご苦労が施工報告に書かれていました。 施工報告:静岡県土木施工管理技士会へのリンク http://www.sizu-dobokugisi.or.jp/report/thesis/report15080501_19.pdf  鋼

        • 主構間の狭い方杖ラーメン橋の耐震補強を拝見

           川津畑橋は、山梨県大月市にある方杖ラーメン橋(昭和47年竣工)です。  日本ファブテック殿のWEBサイトの施工実績を拝見し、現地で見学しました。桁の下側は民有地(畑?)のようでしたので、道路上から。  WEBサイトにある工種を見るだけでも盛り沢山に感じていましたが、現地で拝見して、幅員(主構間)の狭さゆえの設計~施工のご苦労もありそうに感じました。  耐震補強メニューは以下の工種です。 当て板補強工 ゲルバー連結工 制震装置設置工 ダンパー取付工 座屈拘束ブレース

        マガジン

        • トラス橋の耐震補強を拝見
          11本
        • アーチ橋の補強を拝見
          14本
        • 古い橋とのランデブー
          20本
        • 設計のマニアックな話?
          16本
        • マイヒストリー:技術士になるまで
          7本

        記事

          深城橋(上路アーチ橋)の耐震補強を拝見

           深城橋は国道139号(静岡県富士市~東京都奥多摩町)の山梨県の山間部にあります。近くには深城ダムがあります。  耐候性鋼材を使用した上路アーチ橋であり、1995年竣工(おそらくH2道示)であったこと、またおそらくは緊急輸送路としての整備として、すでに耐震補強が実施されているのではないかと思います。  大月側より進むと、橋を渡る手前に旧道っぽい道があり、さらにはこの道がアーチ下へと延びていましたので、見学には好適でした。  まずはアーチリブに着目すると、アーチリブ本体への当

          深城橋(上路アーチ橋)の耐震補強を拝見

          旧笹子トンネルを拝見

           国道20号を離れ、旧甲州街道へ。  旧笹子トンネルは登録有形文化財とのこと。 東西で入口の造形が違っていました。  甲州市側にあった説明看板に隧道の経緯が書かれています。  笹子峠は交通量が少ないのでゆったり進める道ですが、離合できる車道幅ではないので、運転には注意しましょう。  訪問した時は春先だったので、ちょうど山桜の並木を通り抜けることができました。冬季閉鎖解除のタイミングによっては、山桜が楽しめないかもしれないので、ちょっとレアなお花見ドライブコースかもしれま

          新旧の黒野田橋を拝見

           国道の車線数が増えたり、道路線形を改良した場合でも、もともとの橋が撤去されずに残っている場合があります。  国道20号の黒野田橋も、甲州街道から国道20号への時代の流れの中で、まだ地元に活用されながら、その姿をとどめています。  1935年に竣工とのことですので、おおよそ90歳の橋ですね。 さて、お隣には国道20号の黒野田橋。  国道20号の黒野田橋は一般的な単純鈑桁です。  すでに耐震補強工事が実施されており、衝突タイプの落橋防止が設置されていました。斜角対応として、

          落合川橋(上路アーチ橋)の耐震補強を拝見

           中央道の落合川橋は岐阜県中津川市にあります。リニューアル工事の情報を検索していたら、大林組殿のWEBサイトにきれいなアーチ橋が出てきたので、拝見してきました。  上部工の耐震補強メニューは以下のようです。 当て板補強 ダンパー類の設置 負反力対策  日経クロステックの記事も拝見しました。  当て板補強というと、個人的には主構の部材に直接に断面を増加させるようなものをイメージしていましたが、落合川橋での当て板補強とは、日経クロステックの記事によると、アーチクラウン

          落合川橋(上路アーチ橋)の耐震補強を拝見

          柳橋(上路トラス橋)の耐震補強を拝見

           柳橋は東名高速道路の秦野中井IC~大井松田IC間にある上路式連続トラス橋です。情報源はSMCシビルテクノス殿のサイトです。 上部工に関する耐震補強メニューとしては、下記のようです。SMCシビルテクノス殿で藤沢川橋・中村川橋・柳橋の3橋を施工されたとのことです。 上部工の当て板補強 支承取替 制震装置の設置 負反力対策工 縁端拡幅  支承取替後には鋼製台座が使用されています。藤沢川橋の台座より低めな印象です。  支承取替のジャッキアップについて、端支点では垂直

          柳橋(上路トラス橋)の耐震補強を拝見

          中村川橋(上路トラス橋)の耐震補強を拝見

           中村川橋は東名高速道路の秦野中井IC~大井松田IC間にある上路式連続トラス橋です。藤沢川橋より一つ西にある連続トラスです。こちらも情報源はSMCシビルテクノス殿のWEBサイトです。  上部工に関する耐震補強メニューとしては、下記のようです。 上部工の当て板補強 支承取替 制震装置の設置 負反力対策工 縁端拡幅  支承取替は、端支点部はほとんど見えませんでしたが、中間支点部は横梁を設置(2本の横梁間にコンクリートを打設)しているようです。ただ藤沢川橋と異なり、再

          中村川橋(上路トラス橋)の耐震補強を拝見

          藤沢川橋(上路トラス橋)の耐震補強を拝見

           藤沢川橋は東名高速道路の秦野中井IC~大井松田IC間にある上路式連続トラス橋です。トラス橋の耐震補強を検索したところ、SMCシビルテクノス殿のサイトに情報がありましたので、拝見してきました。  上部工に関する耐震補強メニューとしては、下記のようです。SMCシビルテクノス殿で藤沢川橋・中村川橋・柳橋の3橋を施工されたとのことです。 上部工の当て板補強 支承取替 制震装置の設置 負反力対策工 縁端拡幅  支承取替では、ゴム支承の大きさとトラス橋の下弦材幅への寸法を

          藤沢川橋(上路トラス橋)の耐震補強を拝見

          関越道 松川橋の桁連結を拝見

           桁連結については、2支承線を残すのか、1支承線にまとめるのか、2つのパターンがあります。  1支承線にまとめるケースを検索すると、阪神高速の事例が出てきました。  中間支点に必要な断面は連続化すると大きく変わる(負の曲げモーメントの発生)ので、断面補強に苦労しますし、もちろん、新しい支点となる箇所を受ける構造を成り立たせることは、設計も現場もかなりのご苦労があると拝察しています。  設計的には、阪神高速の事例のように支点上のブロックを入れ替えたくなるように思います。(既設桁

          富士見沢橋 昭和6年竣工、架け替えへ

           戦前の橋梁設計の教科書を見ると、橋脚の形状がバナー画像のように、円錐的に上に伸び、桁下に横繋ぎの梁があるタイプが載っていました。富士見沢橋の橋脚も、古い教科書で見かけたような橋脚の形状であり、調べてみると昭和6年(1931年)の竣工でした。  あと少しで100歳を迎える橋ですが、架け替えの話もありそうですね。  4連の単純桁であり、H鋼を使っているようです。  中間橋脚へ視線を移すと、リベットの痕跡が見えます。おそらく支点上補剛材が桁内側にあるものではないかと思います。こ

          富士見沢橋 昭和6年竣工、架け替えへ

          相模湖高架橋 切断合成桁のリニューアルされた姿を拝見

           相模湖高架橋も姥久保高架橋と同じく切断合成桁とのこと。  側道から高架橋を見上げると、目に飛び込んでくるのは外桁外側に張り出した支承取替のジャッキアップブラケット(張出横桁)です。2支承線のまま桁間を接合しているのですが、支承も取り換えられているようで、そのためのブラケットが残っています。外桁の内桁側に見える追設横桁も見えますね。  さて、切断合成桁をキーワードとして検索して出てきたのが「橋梁と基礎」の記事でして、拝見しました。  ジャッキアップ補剛材と支点上の対傾構が近

          相模湖高架橋 切断合成桁のリニューアルされた姿を拝見

          国内初の切断合成桁 姥久保高架橋の今を拝見

           切断合成桁である姥久保高架橋は、現在では中間支点での桁連結が行われているほか、縦桁の主桁化などの床版補強も行われているようです。 拝見した姥久保高架橋の今の姿  桁連結については、2支承線を活かしたままでの連結であり、1支承線化の改修ではありません。連結の断面力を受け持つ追加部材について、上フランジ側の補強材は支点上補剛材の開口部を通過させていますが、下フランジ側の補強材は支点上補剛材にボルト接合されています。  中間支点の内桁側を見ると、床版の打下ろしがありますね。こ

          国内初の切断合成桁 姥久保高架橋の今を拝見

          異国の地の高架橋。かけ違い部は桁〜桁ではなく、間にパラペットが立ち上がるタイプ。高速道路の移動中に見た2つ並ぶ伸縮装置の意味がわかりました。

          異国の地の高架橋。かけ違い部は桁〜桁ではなく、間にパラペットが立ち上がるタイプ。高速道路の移動中に見た2つ並ぶ伸縮装置の意味がわかりました。