見出し画像

映画『マディソン郡の橋』は一生涯に一度の大人の愛を描いたラブストーリー


『もしもあの時、あっちを選んでいたら・・・』と考える時はどんな時だろう?

小さなことから大きなことまで
人はいつも何かを選択しながら生きていく
選んだ方が正解だと信じて
いや信じたくて・・・

二つの人生を同時に生きることは不可能に近いと私は思っている。
(中には器用にできる人もいるかもしれないが️)

だからどうしてもどちらかを選ぶことを強いられる

それともいっそどちらも手放すか・・・



例えば人生において運命の人が現れたときに、自分がすでに結婚していて
子供たちもいたとしたら

そしてその結婚生活も特に不満はなくて家族に対して愛情はあるとしたら

あなたはどちらを選びますか?

運命の人との愛を選ぶのか

愛する家族と生きることを選ぶのか


今日はそんな難しい選択に迫られた”フランチェスカ”の物語の紹介です。

『マディソン郡の橋』アメリカ映画(1995年)

あらすじ

フランチェスカ(メリル・ストリープ)はアイオワ州の片田舎で優しい夫と可愛いティーンエイジャーの息子と娘に囲まれて、日々忙しいながらもごく普通の暮らしを営んでいた。

あるとき、夫と子供たちが泊まりがけで4日間の外泊をしていた時に
フランチェスカは運命の男性と出会ってしまう。

ニューヨークから このマディソン郡にある『屋根付き橋』の撮影にやってきた カメラマンのロバート(クリント・イーストウッド)に道を尋ねられたことがきっかけになり

フランチェスカとロバートは一緒に時間を過ごしながら
二人は徐々に親密になっていく。

それは大人の恋だった。


ローズマンブリッジ(屋根付き橋)


4日間

それがフランチェスカとロバートに与えられた時間。

実際は二人の関係は不倫になるのだが、二人にとってはただの不倫ではなくお互いの魂が強く求め合ったかのような運命の出会い

この恋は一生に一度の確かな愛だと二人はやがて気づくのだが・・・

ロバートには妻も家族もいないが、フランチェスカには夫や子供達そして
長年に渡って根を下ろした生活がある。

「自分たちにとってこの恋を選ばない理由はない、一緒に生きていこう」と言うロバートに対して

フランチェスカは決心が固まらず迷ってしまう。

やがて4日間が過ぎてフランチェスカの夫や子供達が戻ってくる。

迷いながらも結局フランチェスカはロバートではなく家族を選ぶのだった。

ニューヨークへロバートが戻る日

これが最後のチャンスだとばかりに

土砂降りの雨の中でロバートがずぶ濡れになりながら道路に佇み
夫と車に乗っているフランチェスカを見つめるシーンはいったいどうなるのかとハラハラしてしまった。

フランチェスカはロバートのそんな姿を見て心臓が高鳴る


「なぜ私は彼と行かないのか」


「なぜ私は家族を捨てないのか」


「誰か私に教えて」と心の中で叫び涙を流しながらも

結局はロバートの胸に飛び込むことはできなかったフランチェスカ


フランチェスカの様子がおかしいことに気づき

『どうかしたのか?』と訊ねる夫に

『大丈夫だから、すぐに良くなるから』と言って夫の運転する車に乗って家路に着くのだ。


結局二人はそれから一度も会っていない


月日が流れ、歳をとり、フランチェスカの夫も亡くなり

しばらくしてからロバートが亡くなった後でフランチェスカはロバートの遺品を弁護士から受け取る。

そこには彼の写真集とフランチェスカへの手紙と
あの4日間で彼女を撮った写真が入っていた。

ロバートの遺灰は二人が出会ったローズマンブリッジに散骨されたと知ったフランチェスカは子供たちに、自分の亡き後に遺灰をローズマンブリッジに撒いて欲しいと遺言を残して亡くなる。


短い出来事だったからこそ

自分に起こったある出来事が一瞬だったからこそ

とても強烈で鮮明に心に刻まれるということはないだろうか?

たった四日間の恋

もし、フランチェスカがロバートを選んで残りの人生をロバートと過ごしていたらどうなっていたのだろう。

彼女だけが幸せになれたのだろうか。


フランチェスカは家族を捨てた罪悪感に一生苦しむことがわかっていたから彼女は夫や家族を選んだのでは、と私は思う。

そして夫や子供たちとの絆や思い出も捨て切ることはできなかったから


どちらを選んでも苦しいのなら夫や子供達と生きることを選んだフランチェスカの決断も私は理解できる気がする。

彼女の遺書には家族を選んだことに一切の後悔はなく
むしろロバートとの4日間の恋の思い出があったから
彼女は夫と最後まで連れ添うことができたのだと自分の人生を振り返っていた。

一度しかない人生において

たった4日間でも燃え尽きるような恋ができたなら

その思い出を糧にして人は生きていけるのかもしれない


そしてフランチェスカはロバートの遺言を読んで
死んでからロバートと結ばれることを望んだ。


フランチェスカは彼女の遺言にロバートとの出来事を正直に書き残した。

フランチェスカの息子と娘はその時初めて母の恋物語を知ることになる。

初めは母の裏切りのような行為に理解ができない子供達だったが

やがて母、フランチェスカの真実を吐露した遺書を読み進めるうちに

母が自分たちのために家族を選んでくれたことに感謝して
自分たちも今を大切に生きようと思い始める。

今の彼らの幸せがあるのは母の苦渋の決断のおかげだと気付かされて・・・

『君にももっと他に君の人生があっただろうに』と亡くなる前に妻のフランチェスカに言った夫の言葉からもフランチェスカの夫は何か秘めた物があることを感じながら彼女と日常生活を過ごしていたに違いない。

大人の恋はあまりにも犠牲にするものが大きくて一時の燃え上がるような情熱だけで押しきれないものがあるのかな。

選択した方をこれで良かったんだと思うには
選んだ方を(今を)一生懸命生きることでしか自分を納得させられないのかもしれない


最初に書いた問いをいま一度考えてみた。

『あの時、あっちを選んでいたら』と私が思う時は今が辛い時や悩みを抱えている時だ。

私は自分勝手な人間で

今が幸せだったり、今が満ち足りている時には過去を振り返って自分の選択してきたことに疑問を持つことは無いようだから

いつも『今が最高!』な人生を選べて
過去を振り返ることがなければ完璧なのかもしれないが、そうもいかない

これからも生きていく以上は「あの時あっちを選んでいたら・・・」と思いにふけることが私にはあるだろう。

だけどそれでもいいじゃない。

私だけの秘密の別の人生を想像して時を過ごすのも悪くない。

もしかしたらフランチェスカもそうやって二つの人生を一人で楽しんでいたのかもしれない。


あなたがフランチェスカならどちらを選びますか?
私はやっぱり家族かなぁ

でも相手がベン・アフレックなら彼を選ぶかもしれません(笑)

遅ればせながら

明けましておめでとうございます。

昨年の10月に新しいアカウントの『ミルク』でスタートした私のnoteを温かく見守って応援してくださりありがとうございます。

今年は映画だけでなくその時々の想いも込めたnoteをミルクでも書いていきたいと思っています。

みなさまにとって今年が素敵な一年になりますようにお祈りしています。

新年早々、つらつらと書いてしまいましたが
貴重なお時間、最後までお読みくださりありがとうございます。

今年もよろしくお願いいたします!




この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?