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Difyの商用利用に関して詳しく聞いてみた

Difyは商用利用できるOSSですが、一部条件があることがライセンスに記載されています。

その条件とは以下の通りです。

  • 以下に該当する場合は、商用ライセンスが必要

    1. マルチテナント型SaaS

    2. Difyのロゴ・著作権情報を削除・変更する

二番目の条件は明確ですが、一番目の「マルチテナント型SaaS」というものが何なのかが曖昧です。

そこで、実際に大丈夫な範囲を具体例を基にDifyにメールで聞いてみたので、共有します。

Difyに関しては以下でも解説しています。

結論

商用ライセンスが"不要"な例

  • Case1 : 特定企業に向けたDifyのカスタマイズ・利用環境の構築

    • Difyのソースコードを改造し、特定企業向けの機能を追加する

    • 改造したDifyをその企業専用のプライベートな環境にデプロイし、その企業の社員が使う

    • 様々なアプリを社員は作成・使用できる

    • プライベートな環境へのデプロイなので、その企業の社員以外はアプリを作ることも使うこともできない

    • 私はその企業からDifyの改造・環境構築にかかった費用をもらう

    • 作成するワークスペースは一つのみ

  • Case2 : 特定企業の顧客に向けたDifyのカスタマイズ・公開環境の構築

    • Difyのソースコードを改造し、特定企業の顧客向けの機能を追加する

    • 改造したDifyをその企業専用のプライベートな環境にデプロイし、その企業の社員が使う

    • 改造Difyで作成したアプリはインターネット上に公開され、一般のユーザーが使用することができる

    • 一般のユーザーはアプリを使用することはできるが、作ることはできない

    • ここで言うアプリとは、たとえば顧客対応チャットボットなど

    • 私はその企業からDifyの改造・環境構築にかかった費用をもらう

    • 一般ユーザーがお金を払うことはない

    • 作成するワークスペースは一つのみ

  • Case3 : アフィリエイトリンクを用いたDifyで作ったアプリの商用利用

    • Difyをつかってセールスアプリを作成する

    • セールスアプリは顧客のニーズを聞き出し、ニーズにあった商品の購入URLを伝える

    • 購入URLはアフィリエイトリンクになっており、顧客が商品を購入すると私にお金が入る

    • アプリは顧客をユーザーIDなどによって区別することはない

    • 顧客は商品を購入するだけであり、このアプリに対してお金を支払うことはない

  • Case4 : Difyで作ったアプリを使うためのAPIキーを販売する

    • Difyで私が用意したAPIを組み込んだチャットアプリを作成する

    • そのAPIは私が発行したAPIキーが無いと使えない

    • ユーザーは私にお金を払ってAPIキーを受け取る

  • Case5 : Difyで作成したAPIを組み込んだアプリを有料サービスとしてリリースする

    • Difyのワークフロー作成機能を使ってLLMを組み込んだAPIを作成する

    • そのAPIを組み込んだアプリを、有料アプリとしてリリースする

    • ユーザーは、サブスク形式でそのアプリを使用できる

    • その有料アプリ内でユーザーはそれぞれワークスペースを持ち、自身のデータを管理できる

    • 例えば、特定テーマのニュース収集アプリ

      • ユーザーはテーマを登録すれば、関連ニュースを定期的に収集し、読むことができる

      • 関連ニュースの収集とまとめにDifyのワークフローを用いる

      • Difyのワークフロー以外の部分は自分で作成する

商用ライセンスが"必要"な例

  • Case6 : Case1, 2, 3において、フロントエンドコンポーネントを使用しているにも関わらず、ロゴや著作情報を削除・編集する場合

    • DifyをAPIサーバーとして使用し、フロントエンドを自作する場合は商用ライセンスは不要

  • Case7 : Case1, 2, 3において、ワークスペースを複数作成する場合

    • 以下の条件でも商用ライセンスが必要になる

      • 私に報酬を払っているのは一つの企業だけ

      • 私に報酬を払っている企業の社員のみがワークスペースを作成でき、それ以外の人が作るのは不可能

詳細

まずCase1~5に関してメールで送ったところ、以下のような回答が返ってきました。

  • 1,2,3について : Difyのロゴを消す必要がありますか?/ワークスペースを一つ以上作る必要がありますか?

    • Yesの場合、商用ライセンスを取得する必要があります。

    • それ以外の場合は商用ライセンスは不要です。

  • 4,5について : 商用ライセンスは不要です。

つまり、Case1~3でDifyのロゴを削除する、またはワークスペースを複数作成する場合は商用ライセンスが必要なようです。
意外にもCase4, 5は問題ないとのことでした。

その後、追加で以下のように聞いてみました。

  1. 1,2,3のケースで、DifyをAPIサーバーとして利用し、独自のフロントエンドコンポーネントを作成する場合、商用ライセンスの取得を避けるためにDifyのロゴを表示する必要がありますか?

  2. ケース1、2、3において、特定の会社の社員が複数のワークスペースを作成する場合、以下の条件でも商用ライセンスは必要でしょうか?

    • 私に報酬を支払っているのは、当該企業だけです。

    • この特定の会社の従業員だけがワークスペースを作成でき、それ以外の人が作成することは不可能です。

回答は以下の通り。

  • 1について : 我々のライセンスに記載しているとおり、商用ライセンスは不要です。

  • 2について : 商用ライセンスが必要です。

つまり、商用利用可能かどうかの焦点はワークスペースの数にあるらしいです。

商用利用時にワークスペースを複数作成するような運用をする場合は気を付けたほうが良いですね。
対して、それ以外はかなり緩そうでした。


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