ハリセンがあるボクらの素敵な日常
ある日、ふとリビングのソファに目をやると、
ハリセン
が置いてあった。
ちょっと小ぶりだけど、
それは確かに僕が子供の頃、大好きだったチャンバラトリオでおなじみのあの
ハリセンだった。
そばにいた息子に「何これ?」と尋ねると、
彼はあっけらかんとした顔をしながら、
「ああ、これお父さんをしばくために僕がこの前、作ったヤツだよ。」
と打ち明けるや否や、そのハリセンで僕の体を勢いよく叩き始めた。
休日の朝のリビングにパシパシという小気味よい音が鳴り響く中、息子は
「やはりこっちの方がいいね〜!」
と満足そうな笑みを浮かべていた。
その様子を見て、僕は完全に理解した。
実はうちには僕が家で何か粗相をしたときに妻と息子が使う
お父さんしばき棒
なる白木の棒があるのだけど、お尻を叩かれてもあまり音がしないせいで僕がしばかれているという事実に気づかないことが度々あったのだ。
その不足の事態を憂慮した息子が急遽、その後継機として制作したのがこのハリセンなのだろう。
つまり、これは単なるハリセンではなく、
お父さんしばきハリセン
だった
という笑撃の事実が判明したのだった。
しかも、改めて息子に聞くと、僕の誕生日プレゼントを作成中に余った紙でこれを作ったらしい。
しかし、
「先日、そのプレゼントをもらってめちゃくちゃ喜んだけど、なんか喜んで損したわ!」
とは全く思わずに、むしろとても素敵なおまけまでもらってしまったなあ、とハリセンで息子に追いかけ回されながらも思わず顔がにやついてしまったのは、僕がドMで、かつ、超がつくほどの親バカだからに違いない。
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