韓国2日目ー蔚山現代戦の日

韓国2日目、蔚山文殊サッカー競技場でのACL準決勝は午後7時から。
ホテルで朝食をとった私は歩いて釜山近現代歴史館に向かった。
道中、朝鮮戦争当時、避難家族の再会の場所とした旧釜山駅近くの40階段を経由した。
この後、行った影島大橋のたもとも同じような場所であったらしく、そこには彫像があった。
釜山近現代歴史館は釜山タワーを見上げる場所にあるが、朝鮮王朝が鎖国政策をやめ日本に開国して以降、日本支配により国家主権を奪われた時代を経て1945年の光復が国民の希望に反する米軍支配、南北分断さらには韓国軍事政権となり1987年6月の民主抗争により民主化が実現するまでをわかりやすく展示されていた。
1945年夏の敗戦によって民主主義を与えられた日本と自ら流した血と汗で勝ち取った韓国の政治状況の違いがよく理解できた。
日帝支配の時代についてもことさら反日感情を煽るようなことは一切なく静かに表現されていた。9時の開館直後なので先客はなく、入場者は私の後に白人男性が一人だけだった。

歴史館を出て向かったのは国際市場。
国際市場といえば以前観た韓国映画「国際市場で逢いましょう」の舞台になった場所で釜山で最も行きたかった場所。
避難家族の長男である主人公が父から家長として託され目指した叔母の店であり後にドイツ炭鉱やベトナム戦争での出稼ぎにより自分の店として引き継いだ店の撮影場所も見つけられた。

国際市場をさらに歩いてBIFF広場、夜はもっと並んでいるのだろうがパラソルを開いた屋台でトッポギやホットク、オデンなど様々なものを販売していた。
ホットクを注文したら目の前で焼いてくれたが、思った以上に甘かった。

地下道を潜って向かったのはチャガルチ市場。大きな漁業会館を中心とする海産物ゾーン。ありとあらゆる海産物が溢れているが、値段はそれなりに高く、貧乏旅行者の私が買う値段ではなかったが、眺めること自体が好きなので楽しかった。
チャガルチ市場を海沿いに歩いて影島大橋。
アップルTVで観た「Pachinko」の舞台としての影島とは全く違うように見えるが時間がなくそこまでは足を伸ばせなかった。(ドラマではポンポン船で渡っていた)

いい時間になったので南浦駅から地下鉄に乗って試合の行われる蔚山に向かう。
おすすめルートとしては釜山駅からKTXということになるのだが、できるだけ韓国の普段を感じたい私が選んだのは地下鉄1号線で教大前まで行って東海線に乗り換えて太和江駅で降りるルート。KTXより時間はかかったが、街中から郊外へ車窓の景色が変わり、多くの韓国の人たちが乗り降りするのは興味深かった。

終点の太和江駅はすごく大きな駅舎で乗降客に釣り合っていないと感じたが蔚山が韓国を代表する現代財閥の企業城下街であることを考えると当然かもしれない。
駅の周辺は閑散として開けていなので歩いて街の中心部へ向かったがロッテ百貨店、現代百貨店はあるものの街としての奥行きはない。サッカースタジアム周辺には何もないと聞いていたので、遅めの昼食をしようと探したがこれといった店が見つからず、ロッテ百貨店の地下でビビンバを食べた。これは思った以上に美味しくて満足した。

蔚山文殊サッカー競技場にはバスで向かったが試合開始まで3時間近くあったのでサッカー場に向かうのは蔚山の東横INNに宿をとったというマリノスサポーターの若い女性だけだった。
到着したバス停を降り地下道を潜って外に出たら目の前にスタジアム。
しかしチケット売り場のブースが二つしかなく、座席指定のやり取りが日本語と韓国語で行われていることもあって行列ができてチケットを手に入れるまで結構な時間がかかった。

この試合は両チームに在籍・活躍し両チームのレジェンドであり2020年に若くして亡くなった柳想鐡(ユ・サンチョル)を偲ぶレジェンドマッチでもあることから、蔚山現代から記念マフラーが限定発売されることで、急いで入場したが売り切れていた。
ビビンバを食べてる場合じゃなかったと後悔したが、スタジアム周辺とスタジアム内のユ・サンチョルを偲ぶ展示コーナーを見学することも失念してしまった。

日本から駆けつけた500人のマリノスのファン・サポーターを含め1万人弱が見守った試合は両者譲らぬ好ゲームだったが、間も無く徴兵義務を果たすためにチームを離れる14番がゴールを決めて蔚山が1−0でマリノスに勝利した。
残念だったが準決勝もホームアンドアウェイの2試合で決着するので、横浜に戻って1週間後に行われる第2戦に全てを賭けることになった。

試合後は勝利チームを讃える蔚山現代サポーターをスタジアムに残し、蔚山駅に向かうためバス停に向かったが、5004番のバスがなかなか来ないのでヤキモキ。
バス待ちの中にはマリノスの応援に来てくれた韓国人もいて嬉しかった。
結局、蔚山駅に到着したのは試合が終わって1時間経過していたがKTXは遅くまで運行しているので午後10時16分に乗って30分弱で釜山駅。これで840ウォンは安い。

コンビニに行ってビールを調達、お風呂に入り、帰国準備の荷物整理をしていたら翌日になっていた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?