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逃げろ!ヤンキー!!

私と姉がオバサン、母がオバーサンになりかけていた頃、少し前の出来事です。
お正月、3人で初売に出かけました。

ここでサクッと母と姉の紹介。
姉は笑顔が菩薩様のように穏やかで、非常に優しい(ふうに見える)、母は小柄で上品(に見える)。
そんな感じの2人です。

いざ、初売。
欲しい物がある訳ではなく、初売というイベントを楽しもうという感じでウキウキしていました。
屋上駐車場に車を駐めて私達はエレベーターに。続いて乗って来たのはヤンキー風の女子グループ。彼女たちもお正月!初売り!と大盛り上がり、楽しい空気を乗せて下るエレベーター。
…ここまでは。

1階に着き、ドアが開いているのに動かないヤンキー。彼女達が降りないと私たちも降りられない状況、でも盛り上がりがMaxなのか立ち止まったまま喋る笑うをやめません。
たまりかねた姉が菩薩の笑みのままひとりの子の肩をトントンして「降りて下さい」
と、
返ってきた言葉が
「あ?うっせー、ばばあ」
あーあ…

姉は結婚前まで幼稚園の先生だったのでとても上手に子供を愉します。
家族パーティーの途中でおむずかりの保育園児は、まず泣きやませ、子供相手とは思えない言葉と内容で(あなたはこの楽しいパーティーを中断したの。それは皆もイヤだしあなたも楽しくないでしょ)的な事を言います。保育園児なんだから、そんなの理解できないだろうと思いきや、ちゃんとに理解をして、しかも諭された子供は姉にぞっこんになります、何故か。 

もっと昔、私達がオネーサンと呼ばれていた頃。
大雨の翌日、増水した川辺で遊ぶ小学校低学年くらいの少年2人を発見。姉は私達がいた橋の上からあっと言う間に少年達の元に走り、確保!安全な場所へ連れて行き、何やら話した後に解放。その子達も見知らぬオネーサンに捕まって諭されたのに楽しそうに帰って行きました。

プロってすごい!
と言うか彼女の特殊能力か?同じ子供でもその時々に合った言葉と口調で最適な愉し方をします。

ヤンキーにキツイ言葉で凄まれても、姉は怒るというより(見ず知らずの年長者に失礼な態度をとった諭すべきワルイ子供)に遭遇したのだと思います。
さて、姉はそんなワルイ子にどんな言葉を選んだか。

再現。

肩をトントン
姉「降りてください」
ヤンキーは汚いものでも付いたかのように肩を回して姉の指を払い、ひとこと
ヤン「あ?うっせー、ばばあ」
姉「は、ああー?いま何て言った?コルァ〜ッ!!!」(ああー?には濁点つき)
脱兎の如く逃げ出すヤンキー。
母「逃げるなーっ、こらー!待てぇー!」
母は先生ではありませんが、夫が経営する会社で中学や高校を卒業したばかりの社員を、時には住込みをさせて面倒をみてきたので女将さん的な感覚なのです。

驚いたんだろうな、ヤンキー。
菩薩のようなオバサンと上品なオバーサンが夜叉のように豹変したのですから。

そしてこの時も姉の対処、正解でした。
あの場で理路整然と先生的な口調で説いたら、もっと面倒な事になっていたと思います。
一瞬の豹変で相手の闘争感情を打ち砕き、その状況を回避。
お見事!

彼女たちも学んだでしょう。
年長者に失礼な態度はいけない。そして、人を見かけで判断したら恐ろしい目にあう(こともある)と。

この短い修羅の時間に私が何をしていたか。
心の中で(ヤンキー、逃げろー!)と呟きながら涙が出るほど笑っていました。



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