お手紙あれこれ。顧客に手書きのお手紙を書こう!

今日もこんにちは。お寺の書き手、慈岳です。

お手紙もデジタルで作成するのが当たり前の現代でも、お寺では手書きが圧倒的優勢。私も手書きしますし、そのための書き手ですから、住職の代筆から信者さんへの一筆箋まで、なんやかんやとしたためます。

今回はそんなワタクシから、お手紙の知識や手書きのお手紙への『顧客』の反応など、あれこれお届け致します。他と差をつけたいビジネスパーソンの皆さんはぜひご参考くださいね。

長くなるので興味があるところだけ目次からどうぞ!


●ややこしい『手紙用語』は無理に使わない

お手紙には日常生活で使わない表現がちょこちょこ登場しますが、相手も生きた人間だと理解し、手紙用語の意味を分かって使うぶんには何も難しくはありません。

たとえばビジネスレターでお馴染みの『貴社益々ご清祥のこと』は『社員の皆さまご健康そうでお仕事されておられ』って意味を持ちますし、『大慶に存じます』は『たいへん嬉しく思います』の気持ちを表します。

こうして考えれば、もう国語として応用はできますよね。文学的素養はミリすらもない『0と1の螺旋』に生きる私でもやれていますので、noteで名文を上げている文才豊かなアナタなら大丈夫。

堅苦しい手紙用語を使うまでもない軽いお礼程度なら、こんな小難しい言葉を使わずとも現代口語に変換して書いちゃえば良いのですよ。

●拝啓敬具、謹啓謹白

普段のお手紙は拝啓敬具。改まったお手紙、たとえばお詫びのお手紙やフォーマルなお誘いなら謹啓謹白。この2つの組み合わせを覚えておけば、ヒラや下級役職であれば十分に事足ります。

お返事であれば頭語が『拝復』に変わりますが、『拝』が付いている時点で『おおし頂いて読みました』って意思表示になりますから、気にせず使いましょう。ぶっちゃけ拝啓敬具で8割いけます。

なお、私らお寺民は特殊な結語として、頭語が何であっても敬具や謹白の代わりに何でも『合掌』で〆ます。お坊さんの挨拶は基本的に合掌で成り立ちますので、結語としての『合掌』が成り立つのです。

●女性は話し言葉とひらがなも交えて

アタシは男に負けない!とカラ回りしている女性ビジネスパーソン(平成前期はそんなババアめっちゃいてたわ……)に申し上げます。

ホルモン注入してヒゲを生やし、性転換手術して戸籍変更でもしない限り、公的に見ればあくまでも女性。ただ男勝りなだけで、本物の男ではありません。

生まれもったものをフル活用するのは、優秀なビジネスパーソンの基本スキル。男性をディスってヒネクレても何の利益にもなりません。このことは優秀なアナタなら分かりますよね。『オンナというリソース』も最大限利用するのです。色仕掛けや枕はだめですよw

女性は話し言葉とひらがなの絶妙な配分がキモ。これは相手が男女どちらでも関係ありません。女性でも、知的で上品でしとやかなお手紙を送ってくる女性には惚れます。一筆申し上げますからの『かしこ』は女性最強のお手紙。どんどん使いましょう!

●落款使えばさらに捗る

落款ってのはいわゆるハンコ。日本はまだまだハンコ社会なので、お手紙の最後に落款を押します。住職代筆ならお寺のハンコ、執事代筆なら執事印または執事の苗字一字印、慈岳個人のお手紙なら私の『下の名前』の一字を最後にポンと押します。

ここで使うのは『印泥』。よくある量産顔料スタンプ台ではいけません。幸いお寺は御朱印を押すので印泥は常備されていて経費で落ちてもいるのですが、私個人でもお手紙用に小型の印泥を所持しています。

やはり書きっぱなしの色気がないお手紙より、最後にぱしっと正式な印泥を使ってハンコ押されたお手紙は『締まる』んですよ。白と黒と紅の最強コラボ。外国人さんにも大ウケ必至。

外資系勤めの渉外さんなら、落款と印泥のジャパニーズカルチャーで取引先の外国人をウホウホさせましょう。日本人にとってハンコというビジネスツールはガチ神です。

●情報伝達はパソコン、情緒的交流は手書き

もちろん私は、パソコンでのお手紙も作成します。出番としては内容が事務的であったり、先様の資料を兼ねるとき。また、一度に同じ内容のお手紙を大量作成するときもパソコンに頼ります(ただし原稿は必ず手書きし、スキャン→画像処理して印刷)。

いっぽう主に個人宛の挨拶やお礼など、単発且つ『読んだら終わり』の通常のお手紙(便箋1~2枚)は手書きです。手書きで送りますと、何年も大切に取っておく方がおられたり、丁寧に電話をくださったり、雑に扱われにくい印象がありますね。

結局は何を目的とするかでパソコンと手書きを使い分けるのですが、事務的にではなく人間として読まれるのは手書きのお手紙。ここぞと言うときは活用すると良いでしょう。

●筆記用具にも格式がある

筆記用具や紙には『格式』があります。最大限ざっくり述べることとしてもあまり細かく分けるとウザいですから、3つずつにとどめましょう。

【筆記用具】

毛筆

万年筆

ボールペン

ボールペンは大きな市場を占めていて普段お使いかと思います。このボールペンが厄介で、100均3本のボールペンはクソofクソですが、本体1万円を超えるボールペンだとインク次第で安物万年筆を超えてきます。

ペンの最高峰はやはり万年筆ですね。慈岳サンは2万円前後の実用クラスを愛用していますが、凝る人は給料全振りの深い沼。ビジネスで使うならエグゼクティブでもない限り、1~2万円台のものが1本あればよいでしょう。

私は取引先やお客様の記入用には3,000円ちょいのボールペンをお貸しするのですが、何しろ自腹の私物なので手書き弱者の筆圧ゴリラにペン先を潰されてはたまりません。お客様次第ではどうなっても良い100均ボールペンを渡しています。

【紙】

奉書や和紙

改良奉書・改良和紙

一般洋紙

職人が漉いた本物の和紙は格式としては最高のもので、毛筆以外まず受付けません。毛筆と必ずセットですから、書道に縁のない一般的なビジネスパーソンには無縁とみなして割愛。

改良奉書、改良和紙は、洋紙スタイルで生産された『和紙風洋紙』です。私らの場合ですと量産御朱印帳や安いお札などでこの紙が使われています。こちらもペンでは書き辛く毛筆前提とはなりますが、ペン枠である『筆ペン』に対応しているため、たとえば冠婚葬祭の市販金封で比較的よく見られます。

一般洋紙はそれこそOAで多用される上質紙やマット加工紙、100均の金封まであちこちで見られます。モノによるもののペンとの相性がよく、カジュアルな場面や間に合わせの場面で活用の機会が多いですね。

基本的には和紙には毛筆、中間なら毛筆~筆ペンもOK、洋紙にはペンを合わせると良いかと存じます。

●字がヘタなら縦書きをしよう

ひらがな、カタカナ、漢字、日本にある文字は『縦書き文化』の中で育ちましたので、横書きとは相性が良くありません。字が下手な自覚がある人は「縦書きは苦手」と仰有いますが、それであればなおのこと、日本語を横書きすると無茶苦茶になります。

なお、アルファベットは横書き文化で発達したものですから、横書きすればこそその美しさが発揮されます。アルファベットの縦書きはキツいですよね。『育ちが違う』ので合わなくて当然です。

カリグラフィーの技術は私も一時期興味を持って道具を揃えたことがありました。しかし表音文字があまり好きではないことに加え、縦書き日本語が染み付いた身体が拒否してしまい、結局知り合いの英語教諭にすべて譲渡しました。

日本語のお手紙を書くときは、ぜひ縦書きにしましょう。現代は横書きが主流となっていますが、横書きは日本の文字に合いません。連綿(2文字以上を続けて書く)ができないため、キレイに書くと時間が掛かります。1日5分でいいので縦書きの練習をしてみましょう。手がなれたらその自然さに気付くと思います。

●さいごに……私のデスクにあるのはこの1冊

最近はド忘れしたときに参照する程度であまり開かないのですが、新任のころは首っ引きに勉強しました。もう長く使っているので、すっかり馴染んで手垢付いてますわいな。(汚い

『毛筆』だけ切り取れば上級者向けの筆致ですが、それを排せばペンに応用可能。シーン別のお手紙例、書式、頭結語や尊称、時候の挨拶等詳しく載っています。

暮らしの毛筆百科[正しい書式と美しい作例]
https://www.nigensha.co.jp/smp/book/b558716.html

アフィカスじゃなく出版社への純粋且つ単純なリンクなので、ご興味ありましたらチェックしてください( `・ω・´)

ではではまた次の記事にて遊んでやってください!バイバイ!

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