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岸田文雄政権は小泉純一郎⇒安倍晋三政権の総仕上げとなる日本の政治・経済破壊路線を確実に歩んでいる

 公務員の初任給をわずかに上げた? 貧乏に追いつく賃上げなど考えられない現状日本における労働経済の実情のなかで,軍事費だけは倍増している岸田文雄政権の「脳天気的なカラッポ政策」の惰性的な推進のために,庶民の生活水準はますます困窮していく。
 付記)冒頭の画像は『TIME』2023年5月12日号の表紙。
 

 ※-1 100円ショップの営業方針はもう堅守できない昨今の経済環境

 a)「『100円ショップ』,物価高でどうなる? 王者・ダイソーが描く『脱・100均』の行方」『ITmedia ビジネス』2023年01月20日 05時00分,https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2301/20/news064.html がつぎのように,最近の100円ショップの実際を描いていた。

 このネット記事は1頁目だけを紹介する。それだけでも,日本経済の現況を生活感覚でよく伝えている。

 「40年ぶり」のインフレが日本に押し寄せている。

 総務省統計局が公表した2022年12月のコア消費者物価指数は,東京都区部で前年同月比+4.0%を記録した。この水準は,1981年における第2次オイルショック以来の水準で,デフレ脱却をかかげたアベノミクスや日銀の異次元緩和の理念は思わぬ方向性で実現したことになる。

 補注)関連の統計図表-消費者物価指数と企業物価指数-

2022年1月から2023年1月まで
2022年2月から2022年2月まで

 補注)前段の記述に異議を申す。アベノミクスうんぬんの「理念は思わぬ方向性で実現した」? 率直にいってなにをバカな論評をしているのかという印象。アベノミクスのアホノミクス性については,たとえば早くは伊東光晴『アベノミクス批判』岩波書店,2014年7月が,早くもつぎのように喝破していた。

 アベノミクスとレーガノミクスも同じ推測にもとづく人びとの行動を前提としており,実証に欠け,無理論の上に立つ点では同様である(はじめに,ⅵ頁)。

伊東光晴のアベノミクス批判

 この伊東光晴のアベノミクス批判は「無理」論とも無「理論」とも読み分けることができる。しかも,最近まで日銀総裁の椅子にしがみついていた黒田東彦という人物とみたら,2010年代において日本経済を破壊してきた張本人(アベの相手方)であるにもかかわらず,ずいぶん大きい顔をしながらて日銀から去っていった。

 はっきりいって,どいつもこいつもどうしようもなく日本経済をぶち壊してきながら,そして多分,黒田の場合はその事実を重々に自覚していながら,あとに残されたのはただ,彼らにさんざん踏んづけられた「日本経済の痛ましい傷痕」であった。

 伊東光晴のアベノミクス批判(2014年7月)はまだマシであって,「安倍首相の現状認識は誤っている--幻想につつまれた経済政策の,その正体は?」という論点を究明していた。

 さらに,浜 矩子のアベ批判になるといきなり「アホノミクス」よばわりであった。つぎにアマゾンの通販リンクをかかげた浜の本は,2013年8月29日に発行されていた。

 安倍晋三の第2次政権発足は,2012年12月26日であった。

〔記事に戻る→〕 通常,インフレといえば,コストが高くなることで価格を引き上げる「コストプッシュ型」と消費者の需要の高まりで価格が上がる「デマンド(需要)プル型」の2種類がある。

 一般的には需要によるインフレは健全であるといえる。しかし,今回は押し並べて「円安」や「原油高」といったコスト面で需要がなくても価格を上げざるをえない状況に置かれており,消費者の懐は余裕に満ちているわけではない。

 浜 矩子の単行本(安倍晋三を批判した本はたくさん公表されている)を一覧したウィキペディアをのぞくと,アベノミクスをアホノミクスだと罵倒する(ただし学問的に確信を抱いての)その発言は,安倍晋三が第2次政権を発足させた直後からただちに公表されるものになっていた。

 関係の文献を以下に列記する。

 『アベノミクスとアホノミクス──浜矩子特別講義』中経出版 
         (Kindle,iTunesなどの電子書籍のみ),2013年8月。

 『国民なき経済成長 脱・アホノミクスのすすめ』角川新書,2015年。
 『さらばアホノミクス 危機の真相』毎日新聞出版,2015年。

 『アホノミクス完全崩壊に備えよ』角川新書,2016年。
 『どアホノミクスへ最後の通告』毎日新聞出版,2016年。

『どアホノミクスの断末魔』角川新書,2017年。
 『どアホノミクスとトラパンノミクス どっちも「アホ」たる30の理由』毎日新聞出版,2017年。

 まともに経済学が判っている経済学者やエコノミストたちは,アベノミクスのことなど,最初から,それはもうボロクソに批評(する以前に非難も当然)していた。

 たとえば,金子 勝『平成経済 衰退の本質』岩波書店,2019年は,こういうふうに「平成の時代」を分析した本だと紹介されていた。

 バブルとバブルの崩壊から始まった平成時代。マクロ経済政策も,規制緩和中心の構造改革も,「失われた20年」を克服できないどころか,症状を悪化させてきた。セーフティネット概念の革新,反グローバリズム,長期停滞,脱原発成長論などをキー概念に,一貫して未来を先取りした政策提案を行ってきた著者による30年の痛烈な総括。

金子 勝『平成経済 衰退の本質』2019年

 安倍晋三の第2次政権は,すでに「失われた10年」を清算も克服もできないまま,その「根本的な問題体質」を背負いながら,いわば迷走してきたと観察するほかなかった。この「世襲3代目の政治屋」にできたことといったら,黒田東彦の助けを借りて(!?),この日本経済を地獄の何丁目かまで蹴落とすこと以外,ありえなかった。

 ここでつぎの「日本国内総生産(GDP)名目値 暦年」と題された統計図表をかかげておく。

日本国内総生産(GDP)名目値,暦年・経過

 だから,伊東光晴や浜 矩子,金子 勝は,「ナントカミクス」だとか古誇大広告的に,もともとありもしやしな大風呂敷を拡げたけで,そのあとの実践では,ただ立ち往生あるのみであったアホノミクスをまっこうから叱責するだけでなく,その政治次元での罪悪性を批判してきた。まともな経済学者が大勢いても,そこまで踏ん切りをつけて「安倍晋三の政治と経済」を,きちんと批判する学究は少なかった。忖度の学問がはたして学問と呼べるか,当人たちは先刻承知である。

〔記事に戻る→〕 最初に引用した「『100円ショップ』,物価高でどうなる? 王者・ダイソーが描く『脱・100均』の行方」『ITmedia ビジネス』2023年01月20日のつづきの段落を,こんどは画像資料にして参照しておきたい。

ダイソーがセブン - イレブンを上回る業績を上げたのは
日本庶民の貧乏度を正直に反映した消費者行動

 この記事は,つづけて新規出店の4割が「非100円」,主に300円の価格を中心にした出店戦略に関する話題を解説していた。

 b) 以上のような話題が出てこざるをえない事情は,「失われた10年」の第3周回目をみごとに引き寄せてしまい,われわれの消費生活をさらに沈滞させてきたアホノミクスの「経済犯罪的とも形容してよい」その自堕落さかげん,無責任きわまる経済運営にあった。

 その間,日本の政治・経済は総合的に評価するに,先進国落ちをしたとみなすほかない没落ぶりを体験してきた。アベノミクスのアホノミクス性を警告した経済学者の意見を忌み嫌い,邪視してみたところで,その結末をみれば,いったい誰が正しい方向で発言・議論・批判してきたかについては,それこそ最初から一目瞭然であった。

 前段に「総務省統計局が公表した2022年12月のコア消費者物価指数は,東京都区部で前年同月比+4.0%を記録した」との指摘があったが,諸物価の値上がり傾向は「プーチンのロシア」によって2022年2月24日に始められたウクライナ侵略戦争を契機に,より明白な趨勢として発現していた。

 ※-2「初任給上げ,33年ぶり1万円超 公務員月給は3869円増-『選択的週休3日』拡充・人事院」『時事通信』2023年08月07日15時59分,https://www.jiji.com/jc/article?k=2023080700529&g=pol というニュースを聞いて「ずっこけない」でいられる人はいない

 この記事は画像資料にして紹介するが,なんともミジメな気分におちこむほかなかったいニュースである。

公務員であっても「貧乏に追いつく稼ぎなし」というべき
実にみみっちい人事院勧告の「%と金額」

 さて,高安雄一「日韓の『GDP逆転』に大注目…でもじつは『生活の豊かさ』ではすでに韓国が日本を上回っているって知っていましたか?」『現代ビジネス』2022.12.28,https://gendai.media/articles/-/103737?page=4 は,つぎのように解説していた。

 そこで,購買力平価基準の為替レートでドル換算した1人当たりGDPをみると,2021年には日本が4万2940ドル,韓国は4万6918ドルであり,韓国が日本より9%ほど高い状況となっている。そして韓国の水準が高い状況は2018年から続いている。

 購買力平価で1人当たりGDPをドルに換算することで実際の豊かさを比較すれば,現時点では韓国の方が日本より豊かになっていと考えられる。韓国は日本を追う国というイメージがあるが,この数値からすればもはや韓国は日本を追う国ではない。

【参考記事・検索関連】

参考にまで紹介

 c) つぎの『日本経済新聞』2023年8月8日夕刊1面,コラム「あすへの話題」に現在日本大学理事長を務める作家の田中真理子が,日本の最近における日本の物価についてこういう感想を記していた。庶民次元からしたら,もっともっと切実に感じることがらである。

日本は先進国であったが
ただ1人負けしてきただけのこと

 コロナ禍が一段落した昨今,訪日する外国人観光客がインバウンドの需要を日本国内にもたらすという「プラスの効果」は,逆方向には一般庶民たちの消費生活に「マイナス要因」を突きつけるべきひとつの要因になっていた事実を忘れてはいけない。

たとえば,富士山観光関係では東京方面から富士吉田市に向かうJRの富士急行への直通列車『富士回遊』は,外国人でいつも満員で座席の予約が取りにくいとのことであった。ユーチューブ動画サイトには,列車内にはキムチの匂いが漂うなどいった報告まである。

 ※-3「目は口ほどにものをいう」となれば「データ⇒統計図表」をともなった記事(『日本経済新聞』)から拾ってみて,その実感を知覚する「昨今における日本の庶民側の生活状況の苦しさ」

 1)「実質賃金,6月 1.6%減 15ヵ月連続 物価高においつかず」「消費支出,6月 4.2%減 食糧や家具など 生活関連落ち込み」『日本経済新聞』2023年8月8日夕刊1面。

実質賃金はダダ下がりであった

  2)「勢い欠く賃上げ,消費に影 6月実質 1.6%減 15ヵ月連続マイナス」『日本経済新聞』2023年8月9日朝刊5面「経済・政策」

勢いを伴わない賃上げの実態

 3)「7月企業物価 3.6%上昇 7ヶ月連続で伸び鈍化」『日本経済新聞』2023年8月10日夕刊3面「総合」

7月企業物価 3.6%上昇ときた

 4)「『生涯子どもなし』最大42%,減18歳女性の推計,欧米の2倍水準 男性は『2人に1人』も

子どもがほしいと思わなくなったのはなぜか?

 ここまでの記述中ではふれなかったが,「GDPの大きさでの比較では人口の大きな国の方が有利である。人口が多いほうが労働力投入の量が大きくなる,あるいは資本蓄積の量が大きくなる傾向にあるからである」点に留意する必要があった。

 註記)高安雄一「日韓の『GDP逆転』に大注目…でもじつは『生活の豊かさ』ではすでに韓国が日本を上回っているって知っていましたか?」『現代ビジネス』2022.12.28 の https://gendai.media/articles/-/103737?page=2

 人口の多さ・規模は経済問題にとって基本的な要因のひとつとなる。それが,韓国も出生率の急激な減少に対面させられているが,日本とて5年,10年先を待たずして,同じ状況が急上昇するかもしれない。
 

 ※-4 日本は最近,こういうニュースが報道されていた。『NHK NEWS WEB』から引用してみる。

  ◆ 政府 外国人の子どもに在留資格付与へ 国内での滞在認める ◆
     =『NHK NEWS WEB』2023年8月4日 6時56分 =
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230804/k10014152351000.html

 政府は,日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもについて,親に国内での重大な犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば「在留特別許可」を与え,滞在を認めることになりました。

 入管法の改正で難民認定を申請中の外国人でも3回目の申請以降は強制送還の可能性があることから,日本で生まれ育った子どもが親とともに送還されないような対応が必要だという指摘が出ていました。

 出入国在留管理庁などによりますと,こうした在留資格のない18歳未満の子どもは全国におよそ200人いるということです。

 このうち小学生から高校生までの子どもについて,親に不法入国や薬物の使用といった国内での重大な犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば,親子に「在留特別許可」を与え,滞在を認めることになりました。

 出入国在留管理庁は少なくとも7割の子どもには許可が与えられるとみており,在留資格のない子どもが制限されてきた,住んでいる都道府県からの移動やアルバイトをすることなども可能になるとみられます。

 こうした対応について齋藤法務大臣が〔8月〕4日にも記者会見して発表することにしています。

無垢な外国人の子どもなら親がどうこうでなくても
受け入れればいいのでは?
そのうち・・・

 いまごろなにをいっているか,という印象があった。2022年における日本の出生数は77万人で最低記録を更新しつづけている。この数字のなかには国際結婚で生まれていて,両親の国籍を保有したかたちで生まれる新生児も万人単位でいる。

 だいたい「30人に1人が外国人の親をもっている」

 厚生労働省の公表した人口動態統計によれば,2015年の1年間に日本国内で生まれた赤ちゃんは約 102万人。そのうちの 3. 27%にあたる3万3393人,つまり,およそ30人に1人の赤ちゃんは,両親またはどちらかの親が外国人であった。前年度と比べるとやや減少はしているものの,10年前の1995年にはその割合は 2.6%であって,増加の傾向は続いている。

 最近(ないしは直近)というか,たとえば2010年代前半において国際結婚の比率は 3.4%ほどである。日本人を両親にもつ新生児の誕生に対して,片親が外国〔国籍〕人である両親から生まれる子どもは,ともかく全体の約3%を占めるとみてよい。
 

 ※-5 出生数の加速が着きはじめたかのような最近におけるその減少傾向は,一国の未来における経済問題を考えるにあたり,非常に重要な要因のひとつとなる

 ここで,※-3で参照した『日本経済新聞』の記事,前段では,4)「『生涯子どもなし』最大42%,減18歳女性の推計,欧米の2倍水準 男性は『2人に1人』も」という見出しの記事の後部から,つぎの段落を引用する。

 その前に同じ『日本経済新聞』から関連する記事を画像資料にして紹介しておきたい。

日本はなにかと遅れをとっている

〔前段・記事の引用 ↓ 〕 
 --1970年生まれの女性(2023年に53歳)でみると,日本以外の主な先進国での生涯無子率はそれぞれ1~2割程度だが,日本は27%とすでに突出して高い。欧米が現状のまま推移すれば,今後,日本の無子率はその2倍以上になる可能性がある。

 英米やドイツでは近年,生涯無子率上昇の勢いが収まりつつある。仕事と子育てが両立しやすい環境が整い,「少なくとも1人」は子供をもてるようになってきているとの見方もある。

 日本も働き方改革をはじめ環境整備に力を入れる方針をかかげるが,若者の結婚や子供を持つ意欲は低下している。社人研の2021年の出生動向基本調査では若い未婚者のなかで,生涯独身でいい,と考える人が急増した。賃金の低迷や将来への不安などは根強い。

 中国や韓国でも出生率はこの数年で急低下しているが,日本に比べて低下しはじめた時期は遅い。生涯子供をもたない高齢者が増加する社会には日本の方が先に直面することになる。

 日本では医療や介護施設への入居に当たって身元保証人を求められることがあるなど,家族がいることを想定した社会制度がある。身寄りがないと,住居も借りにくい。

 社会保障に詳しい一橋大学の小塩隆士教授は「年金,医療,介護,生活支援など全ての分野で,家族がいない場合でも不利にならないようなセーフティーネットをどう築くか,財源と共に早急に議論を進めるべきだ」と話す。(引用終わり)

【参考画像資料】-『毎日新聞』より-

官庁側のこの種の推測はいつも甘々
2022年の出生数は77万人であった

 しかし,アベノミクスはいまとなっては論外であった事実はさておき,岸田文雄政権はいったい,この国の政治と経済の先行きに向けて,なにを具体的に対策しようとしているのか?

 軍事費を2023年度から5年かけて2倍,GDP比率で2%にまで上げると,しかもこの自分の頭で考えるための脳神経回路を有しない「滅国の首相」は,国家の施策としてなにを最優先すべきかについて,独自の理念なり方針なりを示したことがない。

 なにかをいってみたところで,前後してすぐに矛盾することをさらにいいだし,まるで自分という存在があるのかさえ,疑わせる御仁であった。

 この首相は「……を示したことがない」というよりは,自分としてどのような国家運営,経済政策の展開をおこなっていくのかという肝心な考え方が,さっぱり国民・市民・庶民の側には伝わってこない。

 より正確にいうと,この首相には自分の理念・目的「感」を,国家最高指導者として,いっさいもちあわせていない事実が,最近になるとますます明瞭になってきた。

 まるで水は低きに流れるがごとくに,この国はドンドン国力を低下させ,世界のなかでの存在感を浮動化させている。訪日する外国人観光客がまた増える,インバウンドの収益が上がるなどと単純に喜んでいるようでは,実に情けない。円安がそれほどまでに進んだ「後進国的な経済体質」になった自国の「実質的な地位の落ちぼれ状態」に無頓着ではいけない。

【参考記事】

 21世紀になってからというもの,この国の運営はまず「小泉純一郎と竹中平蔵の悪コンビ」のせいで,確実に凋落に向かい途に突きすすみ始めた。民主党政権が,売国的な国家官僚群の不服従やアメリカのジャパンハンドラーズらを手先とするアメリカ側の介在によって骨抜き状態になったあと,アベの第2次政権が登場すると,もはやこの国は完全にダメノミクス路線を順調に歩むだけの国家にまで格落ちした。

 本ブログ内では触れたことのある森嶋道夫『なぜ日本は没落するか』岩波書店,1999年という本がある。この本を読んだある人は,21世紀になってこの日本の凋落が本格的に進行してきた事実に関して,いまから5年前につぎの感想を述べていた。

本書は,著者である森嶋氏によって1999年に書かれた書の文庫版です。実は,同書は,いまから20年近く前に執筆されたものにもかかわらず,現在の我が国の状況が見事に描かれているのです。

 同書では,「このままでは日本は必ず没落する」という驚くべき言葉が強調されていますが,読んでいくうちに,その理由がはっきりと分かってきます。日本人の精神性から現代の金融,産業,教育の荒廃状況をみれば,その妥当性に納得いきます。非常に興味深い書といえます。

 註記)『HONTO』2017/12/11 10:09,https://honto.jp/netstore/pd-review_0603284255.html

森嶋道夫『なぜ日本は没落するか』1999年

 要はいまの日本,岸田文雄のごとき「世襲3代目の政治屋」の,いままでの首相ぶりを観察していればよく理解できるように,一国の最高指導者を担当する基本の能力・根性・展望(ビジョン)・指導力はなかった。

 いまの日本を思うとき,『討匪行』(作詞:八木沼丈夫 作曲:藤原義江,1942年)という軍歌を思い出す。

 1933年,日本が中国の東北地方に作った傀儡国家満州国(実権は日本軍=関東軍)の支配に抵抗する,抗日(反日)ゲリラ(匪賊)掃討に従軍する関東軍討伐隊を歌った純然たる軍歌である。

 ここで,現代の日本に話を戻す。たとえばいうと,戦前日本の属国だった「満洲国」内に発生していた「抗日(反日)ゲリラ(匪賊)」の存在に似たような,21世紀における主に自民党の「世襲3代目の政治屋」や,そして「天下り先の確保にしか興味のない国家官僚群」が,皇居のまわりにはウヨウヨ徘徊している。

 現在,この国が当面している諸困難の克服に対しては,関心もなにもない『一群の「亡国的な売国奴」たち』が,この国の困難な現状に本気で取り組み,改革を試みようとする気概はない。

 アベが仕上げた「私物(死物)化政治」は,「ウソつきは安倍晋三の始まり」と命名されてもいたように,「ウソの,嘘による,うそのための我利私欲政治」,つまり「いまだけ,金だけ,自分だけの為政」でしかなかった。その「死物(私物)政治態勢」は,まさしく万事を化石化したがごときに,この国の惨状を形成してきた。
 
 自民党の腐敗・堕落がきわまった政治は,できるだけ早く幕引きにしておかないことには,これからもこの国は奈落の底に仕方なく,ズルズルと落ちていくだけである。

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