流産死産後の仕事関係者への対処について

背景

いきなり知人の暗い話。
娘の産後しばらくしてだったと思うが、知人が流産したことを聞いた。初期流産だったらしい。さらに、悪い言い方をすると、その後の職場での対処をしくじってしまったそうだ。詳細は書かないが、上司に恵まれず、さらに本人も悪い方向に進んでしまったようだ。

最近この知人を思い出して、仕事復帰後のための対処は実は重要だったのではないかと気付いた。
個人の考え方や職種・職場にもよると思うが、いずれにしろ流産死産後の仕事復帰は不安や緊張があると思う。息子を死産した私の場合はどうだったかを紹介したい。

自分の前提

息子妊娠中の状況

妊娠中は仕事を制限する必要があるので近い上司に自分から妊娠を報告した。ちなみに、報告の際、流産する可能性について私はかなり言及していた。流産するのが怖いから仕事量を減らしてほしいというわけではなく、まだ産休育休をとるのは確実ではないという意図である。私の兄弟全て流産死産となった話はしていなかったので、当時の上司は、なぜそこまで私が流産について言及したのか不思議だったと思う。
その他、業務上伝える必要のある最低限の人たちに報告した。
ただ、つわりがひどく、妊娠判明少し前から体調不良だった。判明後からかなりひどくなり、職場でトイレに駆け込むこともあった。妊娠悪阻により出勤できなくなった。男が多い職場であるとはいえ、妊娠を人に伝えていなくても気付く人は気付くよね、という感じである。

スタンス

私の場合は、死産を人に知られたところで問題ないと思っていた。けれど、死産したことを人に知ってほしいわけではない。大々的に職場で死産について人に話したいわけではないし、自分から説明するのは辛いので、できれば避けたい。ただ、知らせなければならない人、知らせた方がいい人はいる。
私を過度に心配してしまう可能性のある人達、私が仕事をできるか否かで大きな影響を与えてしまう人達は知らせるべきだと思った。

自分の仕事関係者への対処

子宮内胎児死亡判明直後

実際に必要かどうかわからないが、後から必要だと言われて動くことになるのを避けるため、判明してすぐに産院に診断書を書いてもらい、それを上司に郵送することにした。その際に手紙を同封した。
郵送の前にメールをすることも考えたが、暗いメールに対して上司が返信に窮するだろうし、どんな返信がいつ来るかこちらも想定できず互いに警戒しながらのやりとりになってしまいそうだった。このときはまだ妊娠悪阻による病休をとっていたことも幸いだった。急に仕事を休むことになっていた場合は電話もしくはメールをしなければならなかったと思う。

手紙の内容は大きく分けて、死産となったこと、今後の予定、お願い事の3つである。心配されすぎないように、自分の場合はある意味で人生2度目の死産であることも書いておいた。
最も重要なのはお願い事である。以下のことを書いた。
・産後休暇は8週間を希望する。(産後休暇は医師からの許可があれば6週間としても良いため、どうしたいか決まっているのであれば伝えた方が良い。)
・復帰後に自分の口から死産の報告をするのは厳しいので、妊娠を知っている人達には上司から伝えてほしい。
・加えて、復帰後は何もなかったように接してくれるようお願いしてほしい。

前述した知人が元々どのような状況で、このようなことを上司に調整したかはわからない。ただ、このような依頼を上司にした後に、無視や裏切られるようなことがある場合はハラスメントとして訴えても良いと思う。
上司への依頼は文面で、その依頼文と関連するやりとりを自分の手元に残せるようにした方が良いかもしれない。当時の私はそこまで考えていなかったのだが、本来は手紙のコピーを手元に残すべきだったかもしれない。

ちなみに、分娩した日に、分娩が終わり自分は無事である旨を上司にメールで報告した。診断書と手紙を受け取り、内容について了解した旨の返信がすぐに来た。
この時代にはそぐわないかもしれないが、郵便の方が返事を急かされないので、不幸についての報告は郵便が便利であると思った。ただ、郵便を使う場合は届くまでに時間がかかることに注意してほしい。

復帰後

復帰直前はそれなりに緊張していた。そもそも仕事ができるかという不安もあった。
いざ復帰してみると案外普通に仕事はできたと思う。私から依頼したわけではなかったが、上司の計らいで仕事量を減らしてもらった。ふとしたときに死産を思い出すことがあるのは辛かったが、それ以外は大きく変わらなかった。

●職場
上司に頼んだとおりの対応をしてもらうことができた。とてもありがたかった。
上司の認識範囲外で私の妊娠を知っていて死産を知らなかった人に声をかけられることは2件あったが、その際は自分で事情を話した。相手は、しまった、という表情をして謝ってくれる。自分で話すのは少し辛いが、その人達を恨むようなことは全くない。むしろ気を遣わせてしまい、申し訳ないくらいだった。ただ、こういったことが10件くらいあったら精神的に厳しかったと思う。2件だったので問題なかった。

●取引先
いくつかあったうちの一部について書く。

職場に来ていた取引先の仲の良い女性に声をかけられた。仕事の話をした後に、言うかどうか迷われたようだが、妊娠をしているか訊ねられた。このときは自分の体型変化に自分自身も気付いていたので、やはりバレるんだな、と思った。「実は死産して産休まで取ることになったのでここ最近ずっといなかったんですよー」と事情を話した。この頃は説明するのも慣れたものだった。「それは大変でしたね」と気遣って言ってもらった。その後は妊娠について軽く雑談をした。

別の人の話。
仕事中に私が不在だったときの進捗の話をした。やはり不在時のことを気にかけられているようだった。詮索をされているわけではなかったけれど、察しの良い人なので、軽く事情を話した。この人と同じ部署の関係者達も不思議に思っているだろうから、それとなく伝わるようにした。慢性的な病気ではないか等の勘違いをされて余計な心配をかけさせてしまったらそれこそ申し訳ないし、今後の仕事に影響が出る恐れがあるからだ。

まとめ

私の場合は仕事復帰後に死産に関連して大変なことになるということはなかった。たまに辛くなることもあったが、想定の範囲内だった。上司、同僚、取引先に恵まれている。
初期流産であれば隠し通すことも可能かもしれない。ただ、産休が発生する死産を職場で隠し通すのは難しいと思う。
いずれにしろ、仕事復帰に不安があれば事前の根回しは重要だと思う。辛いとは思うが、初期流産の場合は特に早めにやる必要がある。根回しの際に、自分がどのようなスタンスなのかを考えてみてほしい。そして上司とのやりとりは残る形にした方が良い。

<おまけ>

人とのやりとりではないが、死産のことを思い出しやすいシチュエーションがあった。
会議などで今後の予定の話が出てくるときである。元々の出産予定日に近い時期のことを考えると辛かった。予定日を過ぎてからはだいぶ楽になった。
また、仕事をしていない休み時間も案外思い出しやすい。結局休み時間には手芸をしていた。
大変だけれどこればかりは仕方ない。自分自身も思い出しながらこの記事を書くこと自体が辛い。ほとんどの人が復帰後も辛い思いをしていると思う。だから復帰後にさらに休んでもいいと個人的には考えている。
標記についての経験を偉そうに書いている自分も仕事復帰後に心療内科に行くか迷った。心療内科に通う想定も元々していた。結果的に私はまだ心療内科に行ったことがないのだが。1人で思い悩む必要はないので色んな手段を検討してほしい。

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