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谷崎潤一郎の「人魚の嘆き」を読んで

この本は全部で110ページの薄い本です。解説には次のように書いてます。「『人魚の嘆き』と『魔術師』は、ともに大正6年に『中央公論』と『新小説』の一月号に発表された。初期の作品群の中でもやや風変わりな異色作である。

「何よりも谷崎潤一郎は初めから終わりまで美のしとだったことを思い返す必要がある」

谷崎潤一郎は、耽美派・悪魔主義と言われ、「スバル」の北原白秋、佐藤春夫らとともに反自然主義の急先鋒として白花の王、牡丹にも紛う才能の花を開いたというのが文学史の伝えるところだが、・・・。

「人魚の嘆き」のストーリーは、志那の大都の南京に若い貴公子、財宝が使い切れないほどあり、由緒ある家門の誉を受継ぎ、様々な放蕩をしたが、それにも飽き、毎日の生活に退屈しておたところに、人魚を売りに来た西洋人がいた。・・・。

谷崎潤一郎は美文調で描かいています。文豪で美をポリシーに作品を書いた作家は多いです。三島由紀夫、川端康成、井上靖が有名です。しかし、皆それぞれの美があり、それぞれの世界観があります。谷崎潤一郎は、艶かしさ、エロさのある美、有名な「陰翳礼讃」の本にも書いておるように、日本の美、美的空間・表現を上手く表しています。

この本も何十年前に読んだ本ですが、女性の艶やかさ、耽美主義的な表現がレビューしていて感じました。
谷崎潤一郎も作品が奥深く、もっと様々な盛り込まれていると思いますが、何十年前に読んだときは、そこまで理解することができなかった。芥川龍之介とともに、もっと深く読んでみたい作家です。

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