2024年3月11日(月)もうひとつの3月11日

月曜日の朝だ。3月11日だ。

多くの人は13年前の3月11日を思い出すだろう。東日本大震災の日だ。わたしも思い出す。けれどわたしは、もうひとつの3月11日も思い出す。

36年前の3月11日、連日、深夜まで続いた月の決算業務が終わって、やっと少し早く会社を出ることができた。それなのに、わたしはすぐに家に帰らず、渋谷の大きな本屋に向かった。以前から人に頼まれていて、何かの本を探しに本屋に寄っていた。だからいつもより遅く、家に向かった。

帰りの電車の中で、うっかり深く眠ってしまった。何駅か乗り越してしまった。いつもはこんなことはないのに、と思って、やっぱり決算で疲れているのかなと思って、だから乗り越した駅から戻ることになり、家に帰るのがさらに遅くなった。

家についたら、その人はそこに死んでいた。

もっと早くに帰ってあげられたのにと、今でも思う。その日、早く帰ったからどうだった、というのではないけれども、早く帰ってあげたかった。あの部屋でひとりで死んでいた時間が、少しでも短くなっていただろう。

あれからいろいろなことがあって、36年がたった。わたしはまだ生きている。この世とは何かと、考えながら、まだ生きているよ。

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