コーポレートガバナンス・コンサルティング

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コーポレートガバナンス・コンサルティング

コーポレートガバナンスに関する情報発信 / 証券会社と事業会社の実務経験を踏まえ、コーポレートガバナンスの視点での企業価値向上を目指したコンサルティングを目標に情報発信しています/ 東北大 法→事業会社→証券会社(投資銀行)→ 事業会社

マガジン

  • ビジネスマン・個人投資家のためのコーポレートガバナンス勉強会

    個人株主や個人投資家の方がコーポレートガバナンスを理解して、少しでも機関投資家と同じ目線で上場企業を見ることが出来ればと思っています。資本市場関係者との対話の仕事を通じて、事業会社の実務の観点も踏まえて、分かりやすくコーポレートガバナンスを解説していきます。いずれは集合して勉強会を開催出来ればと考えています

  • 経営層、IR/SRご担当のためのコーポレートガバナンスの実務

    証券会社と事業会社での機関投資家とのエンゲージメント(対話)を通じて、本には書かれていない実務面の記事を掲載しています。上場企業の経営トップはじめ経営層の方、IRやSRの実務をご担当されている方向けに、教科書的なことを一切省いて、実務で役立つ視点に絞っています。

  • 敵対的買収(同意なき買収)、TOB、買収防衛等に関する攻防

    上場企業に対する敵対的買収、それに対する買収防衛策等のストラテジック・バイヤー、フィナンシャル・バイヤーと上場企業との攻防事例について分かりやすく解説をしていきます

  • 中長期での中小型株投資

    中小型株を中心に中長期での株式投資を実践しています。企業の財務状況、事業概況、事業の将来性を見て、四半期決算の都度、投資先の各銘柄のIR部門に質問をするなどファンダメンタル分析重視の中長期株式投資です。中小型銘柄に関連する情報等を紹介していきます

  • マクロ経済データ、株式投資関連などの情報

    中長期で株式投資をする上で参考になりそうなマクロ経済データ、株式投資情報などを掲載しております

最近の記事

ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー 「同意なき買収」とは何?何故最近増えているの?

同意なき買収先日の日経新聞で次の記事がありました。 「同意なき買収」という言葉は最近、ニュースや新聞で目にすることが多いと思います。本日は、この同意なき買収とは何であるか?何故増えているのか?について簡単にお話をしたいと思います。まずこの「同意なき買収」の言葉の定義ですが、どういう意味でしょうか? 同意なき買収とは、買収対象会社(=買収のターゲットとなっている会社)の経営陣の賛同を得ないままなされる買収のことをいいます。数年前までは敵対的買収と言われていました。 誰に

    • 持ち合い株の解消が加速 ー 安定株主は確実にいなくなります。けど企業はそんなに心配することはないかなと思います

      持ち合い株の縮減が加速先日の日経新聞で次の記事がありました。 東証プライム上場企業の約7割に当たる約1100社が3月末までに持ち合い株の削減方針を示したことが分かったようです。これまでも各種メディアで持ち合い株(以下、政策保有株式と表現します)の記事は結構出ていますが、やはり縮減は加速していますね。 数年前まで政策保有株式の縮減に関する方針について、原則として保有しないということを明確に打ち出す企業はまだ多くはなかったですが、最近は増えています。毎年着実に政策保有株式を

      • 東武鉄道が買収防衛策を廃止 ー 廃止のプレスリリースの読み方

        東武鉄道が買収防衛策を廃止Twitterでも記事を引用しましたが、東武鉄道が買収防衛策を廃止することを決定したようですね。東武の株式時価総額は約5800億円です(本日時点)。大型銘柄で買収防衛策を持っている企業は今の世の中珍しいですが、とうとう廃止を決めたということですね。プレスリリースは次のとおりです。 https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/disclosure_documents/20240516150343GfuVYfgIlOxfZNfDAz

        • ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー PBR1倍超え6割。何故PBRが最近ホットな話題なの?(前回のお話の続き)

          前回のお話はこちらになります。 経営がリスクに晒されます今回はこの続きです。PBRが最低でも1倍を超えるのが今の世の中の要請ということは認識されているビジネスマンの方は多いと思います。再三にわたり新聞報道もされていますしね。では、PBR1倍割れだと何がマズイのでしょうか? それは会社の経営の安定性が欠けるリスクが大ということです。これはどういうことかと言いますと、アクティビストに入られ、会社経営がアクティビストによって揺さぶられ、安定した経営に支障が生じるリスクがあるとい

        ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー 「同意なき買収」とは何?何故最近増えているの?

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        • ビジネスマン・個人投資家のためのコーポレートガバナンス勉強会
          52本
        • 経営層、IR/SRご担当のためのコーポレートガバナンスの実務
          34本
        • 敵対的買収(同意なき買収)、TOB、買収防衛等に関する攻防
          16本
        • 中長期での中小型株投資
          2本
        • マクロ経済データ、株式投資関連などの情報
          3本
        • 東証の市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の情報
          6本

        記事

          ブラザー工業がローランドへのTOB価格を引き上げず ー プレスリリースを公表

          ブラザー工業が事実上の買収断念今週から企業の通期決算発表が本格しましたね。半ば以降には各社の決算説明会が開催されますので、来週からは、業務時間中もスキマ時間を見つけては、色々な企業の決算説明会資料のチェックにあけくれる予定です。 さて、前にブラザー工業がローランドDGに同意なき買収をしていることを記事に書きましたが(最後に再掲しております)、今般、ブラザーはTOB価格の引き上げをせず、買収を事実上断念した旨の報道が次のとおりありました。 5月9日にブラザー工業が次のとおり

          ブラザー工業がローランドへのTOB価格を引き上げず ー プレスリリースを公表

          持続的な企業価値向上に関する懇談会 ー 6月を目途に課題整理

          持続的な企業価値向上に関する懇談会が設立経産省が4月30日に「持続的な企業価値向上に関する懇談会」を設立しました。背景や問題意識は次のようです。 要は伊藤レポート策定時から政府が主導してコーポレートガバナンス改革を進めてきましたが、当時の課題に対して、企業や投資家はどう取り組みをしてきて、今後の対応をどうしていくかを検討するということのようです。5月から開催し、6月を目途に課題整理を行う予定です。 「伊藤レポート以降の 10 年間の振り返り」が今後の肝ですね。第1回懇談

          持続的な企業価値向上に関する懇談会 ー 6月を目途に課題整理

          ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー PBR1倍超え6割。何故PBRが最近ホットな話題なの?

          PBR1倍超え企業が増えています先日の日経新聞に次の記事がありました。 PBRという言葉は日経新聞を読んでいる方は、ここ1~2年で頻繁に目にされている言葉かと思います。意味は分からなくとも社内の会話で耳にされることもあるのではないでしょうか。 3~4年前までは一般の事業会社の方には、経営トップも含めて全く馴染みのない用語であったかと思いますが、今やPBRはビジネス用語の1つかなと私は思います。ということで、今回はこのPBRについてさくっと解説したいと思います。 PBR

          ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー PBR1倍超え6割。何故PBRが最近ホットな話題なの?

          ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー 株主提案とは?何故増えているの?

          さくっと分かるシリーズを連載します少し前に勤務先の何名かの方と雑談をしていた時に「株主総会ってどんな質問でも出来るの?」「株主提案って何?」という質問を受けました。「何銘柄か持っているけど、実は株主総会のことはほとんど分からないんですよ」という話でした。この方はシステム部門や営業部門が長い方で資本市場とは全く縁のない仕事をされている方々です。 先日、ブログで個人株主の方も議決権行使をしっかりと考えましょうという記事を書きましたが、実のところ、一般のビジネスマンはじめ個人の方

          ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー 株主提案とは?何故増えているの?

          「株主総会に興味を持ち真剣に賛否を決めて下さい」の文言、良いですね ー 池田泉州ホールディングスへの株主提案より

          個人株主による株主提案今年の企業各社の株主総会は株主提案が昨年以上に増えることが予想されますが、本日、たまたまある企業に対する興味深い株主提案が目にとまったので紹介いたします。 池田泉州ホールディングに対する株主提案です。大阪地盤の金融持株会社のようですね。この池田泉州が本日、次のとおりプレスリリースを公表しています。 https://www.senshuikeda-hd.co.jp/news/pdf/20240430_1.pdf 個人株主による提案のようで、提案内容

          「株主総会に興味を持ち真剣に賛否を決めて下さい」の文言、良いですね ー 池田泉州ホールディングスへの株主提案より

          ブラザー工業による同意なき買収 - ローランドディージーがMBO価格を引き上げ

          ローランドディージーがMBO価格を引き上げ昨日から大型連休ですね。私の場合、来週もずっと休みで9連休になります。火曜日から木曜日は株式市場は動いているので、企業各社の決算や周辺情報の収集・整理を中心に、多摩川沿いのウォーキングと水泳をする予定です。家族は学校であったり、仕事ですので、暇なのは家族では私1人だけなので。 さて、ブラザー工業が同意なき買収提案をしているローランドディージーですが(前回の記事は最後に再掲しております)、今回はその続きです。 今回、ローランドがMBO

          ブラザー工業による同意なき買収 - ローランドディージーがMBO価格を引き上げ

          「安定株主=物言わぬ株主」でなくなる時代 ー 大手生保の議決権行使基準を確認しましょう

          安定株主が物言わぬ株主でなくなる時代ツイッターでも前に紹介しましたが、先日の日経新聞で次の記事がありました。 私もnoteで以前に似たような内容の記事を書いたことがありますが、「物言う株主」という言葉は、今後はなくなり、株主は投資先企業の株主総会の決議事項を是々非々で判断する時代が到来すると思っています。 このように株主の姿が大きく変化する中で、企業の経営トップにとって盲点になっているのが生命保険会社に対する認識です。生命保険会社(以下「生保」といいますね)と言えば、こ

          「安定株主=物言わぬ株主」でなくなる時代 ー 大手生保の議決権行使基準を確認しましょう

          コーポレートガバナンスの議論が1年ぶりに開始 ー 金融庁のフォローアップ会議が開催

          金融庁のフォローアップ会議が1年ぶりにスタート金融庁のスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(以下、フォローアップ会議と言います)が4月18日に開催されました。前回の開催から約1年ぶりとなります。 https://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/siryou/20240418.html フォローアップ会議は、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの改訂が議論される会議体です(その名

          コーポレートガバナンスの議論が1年ぶりに開始 ー 金融庁のフォローアップ会議が開催

          海外アクティビストの日本株保有 ー 実質株主判明調査のポイント

          3月末の実質株主判明調査4月も上旬ですが、あと2週間ほどでゴールデンウィークです。今年の連休は海外旅行に行く方が前年より6割多いといった報道がありました。海外から日本への旅行客も最近は多く、JR山手線を乗っていると欧米・アジアの方が本当に多いなと感じます。この週末は、株式関係では、ホテル・観光関係の銘柄を調べる予定です。結構、株価があがってしまいましたが。 さて、本題ですが、多くの上場企業では3月末の実質株主判明調査をしており、その結果は5月初旬頃に判明するスケジュールだ

          海外アクティビストの日本株保有 ー 実質株主判明調査のポイント

          投資ファンドのオアシス・マネジメントが花王に企業価値向上を求める

          オアシス・マネジメントの花王に対する要望本日はJR山手線の田町駅から品川駅まで朝9時からウォーキングをしました。時間は30分ジャストです。私の場合、1分間の歩数が120歩ですので、約3600歩程度ですね。普段歩くコースではないのですが、見慣れない景色をウォーキングすると色々と気づくこともあり、時々、家から少し離れたところでウォーキングするのもよいかも知れないと思いました。 さて、先日の日経新聞にも報道がありましたが、香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントが花王(445

          投資ファンドのオアシス・マネジメントが花王に企業価値向上を求める

          「有価証券報告書の株主総会前の開示」に向けて検討 - 企業の実務への影響が大ですね

          有価証券報告書の株主総会前の開示の動き先日、ツイッターで情報収集をしていたところ、たまたま次の記事を目にしました。 以前から有価証券報告書(以下「有報」といいます)の早期開示の話は出ていましたが、いよいよ本格化に向けて検討が進むような感じですかね。私自身は、社会人になったその年から通算で20年以上、有報の実務に何らかの形で関与していますが(昔は紙で印刷され販売されていました)、昔から、有報は総会の終わった後に開示されることになっていました。 理由は事業年度終了後から3か月

          「有価証券報告書の株主総会前の開示」に向けて検討 - 企業の実務への影響が大ですね

          企業の株主政策:個人株主に安定株主になって貰うには?あまりに長すぎない未来の姿を語るのが大事

          個人株主を増やすメリットは?最近、仕事で証券会社の方と話をすると「個人株主をもっと増やした方がよいですよ」という話を時々言われます。世の中で政策保有株式の縮減が進み、安定株主が減る中で、準安定株主として個人株主を位置付けるためという趣旨だと思います。証券会社はどの会社にもそんな話をしているはずですので、「当社も個人株主をもっと増やそう」と考えている会社もあると思います。 また、「個人株主を増やすと株主資本コストが下がりますよ」という話も証券会社の人は良く言いますね。つまり

          企業の株主政策:個人株主に安定株主になって貰うには?あまりに長すぎない未来の姿を語るのが大事