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とある駅弁大学生の就活珍道中 Part1   ~大学三年春の憂鬱~

「就活狂想曲」という短編アニメーションがある。


吉田まほ氏が東京芸大の大学院の終了時に手掛けた作品だ。現在ではyoutube上で877万回も再生されている。


日本の就活事情を痛烈に皮肉った作品。当時大学三年生になりたてだった私は、そう捉えていた。


そして、もうすぐ私もこの映像に出てくるような顔面紫色の人間(作品中には異様に顔面が紫色の就活生が沢山登場する。”就活”に洗脳された学生の婉曲表現?)になるのか、、、、。と考えていた。



だが、この時私が考えていたような”就活”は始まらなかった。



いや、人によってはそういう分かりやすい”就活”をしていた人も周りにいたのかも知れない(私の大学での交友関係は決して広くはない)。


一方ネットを見れば、やれ「大学三年の春はもう就活出遅れ」だの、「東証一部上場以外は負け組(現在の東証プライムのことか?)」だの、大学生の競争心を煽る文言が書き連ねてある。



当時の私は「就活面接突破術!!!」、「これが大手内定者の面接!!!」といった題名のyoutube動画が目に入った日には、蕁麻疹が出そうな心持だった。(多分、この病状は今も完治していない。これも大手病???)




そして、
「こんなものばかり見ていたら、件の動画に出てくるような就活生に変貌するのかね~www。」
などとのんびり構えていた。遊びと恋愛に興味津々、勉強はそっちのけの大学生だ。



さて、私はプロフィールから分かる通り、一地方国立大生だ。それも、周辺に東京どころか大都市圏すらない、典型的な「地方」。


そして私の大学は県内でその名前を出せば「頭いいね~」とお世辞を言われ、祖父母がご近所様に孫を自慢する格好の材料にされる。


その後、地元の県庁や市役所に就職すれば、文字通り「勝ち組」とされる世界だ。(実際の私は公務員ではなく民間就職となったため、母はご近所さんに「県庁じゃないの、、、、、(察し)。」と言われたらしい。お母ちゃん、ごめんねww)




そのため、就活狂騒曲といった風刺動画は勿論、しゅんダイアリーといった「就活」に特化したチャンネル(この認識は間違っているかもww)の内容や、そこにいる典型的な「就活生」は、私に取って皮肉った視線を浴びせる対象であると同時に、空想の産物に近いものだった。




東京といった大都市やその周辺に生きる人々からすると、その狭い世界観に驚かされるかもしれない。


ただ、間違いなく私には先程述べたような”背景”があった。




周囲も”就活”に関してはボチボチ始めますか~、といったのんびりした雰囲気があった。更に、公務員を目指す人の方が多かったように思う。



決して早いとは言えない。むしろ意識高い就活生からすると、マイナススタートだろう。


ただ間違いなく、私の就活はここからスタートした。



自分の将来の漠然さに対する一抹の不安と、就活戦争に赴くことへの憂鬱さを薄っすら感じながら。

Part1 Fin







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