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忍び寄った病魔

大吾が熱を出した。血圧も高かったので、かかりつけ医に行ったところ風邪と診断された。処方された薬を飲んで1週間経っても熱が下がらなかった。

その1ヶ月くらい前から、大吾は急激に痩せた。中年太りしていて、ダイエットといい青汁を飲み始めた。痩せたのはそのせいだと言っていた。痩せたせいか血圧が正常値になり健康になったと喜んでいた。

熱が1週間以上続いたが、かかりつけ医は解熱剤の強めの薬を出すだけだった。数日後香港に家族旅行する予定で予約をとっていたこともあり、違う病院に行くよう勧め、大きめの病院に行った。
そこで、血液検査をした。結果、血糖値が800を超えていた。あまりみない数値にびっくりした。

医師からすぐに専門の病院に入院するよう勧められた。大吾は事の重大さがわかっておらず、「旅行行ってからでいいですか?」と聞いていた。
医師は、「おすすめはできません」と答えた。
それはそうだよねと私は納得したが、大吾は「じゃあ、旅行に行ってからにします」と答えていた。
医者も患者の意思を尊重して、旅行から帰ってきたら受診するように、紹介状を用意してくれた。

医師もはっきりダメと言えばいいのにお茶を濁すものだから、患者に事の重大さが伝わらなかったと思う。
一旦退室後、命の補償ないよと大吾に私から説明して、納得し旅行のキャンセルを勧めた。

私から言われて、怖くなったのか「じゃあすぐ受診するわ」と言った。

紹介された病院は、東京にも系列病院があるセレブ病院だった。全室個室で一室10000円以上する病院で、入院となると保険効くのかなと現実的な事を考えながら受診した。結果かなり悪い糖尿病で、発熱以外にも、多飲、多尿、皮膚炎を起こしていた。

血糖値が高いと言うか高すぎるので、すぐにインシュリン療法をすると言われた。そこまでは、2型糖尿病と思っていたので、生活習慣さえ戻せば落ち着くのかなと思っていた。入院して調べた結果、1型糖尿病という事がわかった。
一生インシュリンを打っていかないといけないと説明されて、落ち込んでいた。

無精子症も、セックスレスもそのせいだったかもしれない。前回の人間ドックで指摘されたが、その時の病院選びが間違ってたかも知れない。
悪い事が起きると、色々と思い返して後悔する。
それでも、事実を受け止めて頑張っていくしかない。

その期間が入院生活一ヶ月で気付く必要な期間だったと思う。度々やってくるワンオペ育児、大変だけど気楽なような日々を過ごして、大吾の退院を待っていた。

1型糖尿病っていうだけで、今後保険も入れない、入れたとしても、高い。改めて保険の大切さも知った。
幸いマンションを購入していた時に死亡保険には入っていた。でも、医療保険には入っていなかった。

一室10000円の部屋代プラス医療費というバカ高い入院費を払い、大吾の1型糖尿病患者としての人生が始まった。

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