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新社会人だった僕に贈る言葉

たしか、伊集院静さんが毎年この時期に「新社会人へのメッセージ」という文章を新聞広告で発表されていた。

実は春になると、毎年この伊集院さんの文章を読むのが楽しみだった。
残念ながら昨年11月に旅立たれて今年は新社会人へのメッセージを読むことができない。

ないものねだりをしても仕方がないので、こんな時は何度も伊集院さんの著書の言葉を反芻してきた過去の自分へ語り掛けよう。

これは「13年前の僕へ」の続き。


新社会人になる僕へ

札幌からの引っ越しも済んでほっと、ひと段落ついたかな。
入職までの間、君は少しでも早く仕事に慣れるために社会福祉法人のための会計処理や社会福祉制度についての本を読んで予習していたね。

偉かったよ。

いつもそうやって新しいことを始める前には誰から指示があったわけでなく自分から必要な知識やスキルを身につけようとするスタンスは今でも変わらないよ。

学ぶことは楽しいよね。
だって学ぶことで自分の知らない世界を知ることができるし、新しい世界の見方ができるから。

僕は今、学生時代に少しかじったフランス語とスペイン語を少し復習しているよ。

えっ、なんで今さら外国語を勉強しているかだって?

うん、それはね。
フランス語はポアンカレの論文を原文で読みたいから。
スペイン語はバルガス・リョサやガブリエル・ガルシア=マルケスを原文で読みたいから。

翻訳よりもオリジナルテキストで著書の熱量を感じたいと考えているからだよ。

でも最近はカラオケで歌を歌ってばかりいるからちょっと勉強をさぼり気味だな。
そうそう、あいかわらず数学も勉強しているし倫理学や社会学の本なんかも好きだよ。そのあたりは昔と変わらないかな。

脱線したね。
君は伊集院さんの「いねむり先生」という小説が好きだった。

たしか藤原竜也さんが主演でドラマをやっていたのを見て泣いたような気がする。

君は、これから辛いことやしんどいことに直面する。
それでもね、沢山の人から温かい言葉や心のこもったギフトを頂いてその度毎に立ち直るんだよ。

だから安心して新生活のスタートを切って大丈夫。
「いねむり先生」に登場する人々のように僕らは、どこかいびつで歪んだ一面もある。

でもそれは別の側面から見たら他人よりも特出している部分や長所があるってことなんだ。

君が不得意なことは誰かの力を借りればいい。
そのお返しに君が得意なことで、例えば数学で頭を悩ませている人にそっと手を差し伸べればいい。

そんな風に僕らは得意なことを持ち寄って皆で支え合って生きて行けば皆が生きやすい社会になると思うんだ。

同じ色ばかりだったらつまらないだろ。
原色だけじゃなくて色んな色が交じり合った方が鮮やかな色彩が生まれるように、色々な人がいて一人一人が生き生きと個性を発揮できる世の中の方が楽しいよね。

難しいことじゃなくて子どもでも理解できるシンプルなテーマだ。
迷ったらアンパンマンの主題歌を思い出してごらん。

何のために生まれてきたのか、自分に問い続ける。
そして暫定的な自分の「答え」を信じて進んで行けばきっと道は拓ける。
間違っていたらいつでも軌道修正できる。
素直な心に従えば自分の過ちも簡単にわかるだろう。

僕は今、無職だけど人生で初めて自分のやりたい仕事を探すことができているから幸福だ。

えっ、無職なの。
あ、無職になるいきさつは中々面白いから楽しみに待っててね。


今日も皆様にとって、良い一日でありますように。

今日という日が一番若い。
大丈夫、君の未来は輝いている。

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