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[法案調査]建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案の概要

要旨- Summery

2024年参議院第213回国会にて議論される「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」について浜田聡参議院議員の依頼で調査を行うので、その結果を依頼に基づき公表する。

(参考) 国会提出法律案 ー 国土交通省
(参考) 新旧対照表


背景 - Background

建設業に関連する法律は繰り返し改正を続けています。2020年4月にも改正されており、その時点では働きやすさと生産性の向上を図ることが主な目的でした。

そしてその関連法案として2019年に交付されたのが今回改正された「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」であります。

今回の法律案の改正の背景を述べていく上でまずは建設業や入契法の内容に触れていきます。

もともと建設業法は以下の様な内容を定めた法律の総称です。

  • 建設業に該当する工事や業務内容の範囲

  • 建設業における許可(国土交通省か都道府県知事の許可、5年ごとに更新など)

  • 請負契約の内容に対する規制(見積もりに記載しなければならない内容、元請けの義務など)

  • 現場における主任技術者・監理技術者の設置(監理技術者を置かなければ、特定建設事業者は4500万円以上(建築一式工事は7,000万円)以上の工事の受注・施工ができない)

この法律に違反した場合は行政からの指示や営業停止、建設業の許可取消しといった処分が下ります。

次に2019年の「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」についてみていきます。2019年の段階で制定された目的を把握することで今回の改正目的が把握しやすくなります。

2019年の「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」の概要

・働き方改革の促進

中央建築業審議会が、長時間労働是正のために工期に関する基準を作成・勧告しました。著しく短い後期の請負契約の締結の禁止や違反者への勧告などが定められています。

時間外労働の上限規制も踏まえて適正な工期の設定と社会保険の加入、労務費の現金払いなどが義務となりました。

建設業者も工程の細目を記載し、攻守ごとの作業に必要になる日数を見積もり、施工しない期間や日数も見積書に含める規定となっています。また入契法によって官公庁の工事発注の時期を平均化する努力義務も課されているため企業の経営が安定しやすくなったと言えるでしょう。

・生産性向上

管理技術者を補佐する技士補制度を策定し、技士補の設置によって、複数の現場を兼任できる様になりました。また下請業者が配置する主任技術に関しても、上位の下請業者が配置した場合は、配置しなくても良くなり人材の適正配置が可能となっています。

工場から出荷された建築資材の不具合によって、施工不良が生じた場合、建設業者だけでなく、製造事業者にも是正勧告・命令ができる様になりました。これまでは、施工不良の原因が材料にあったとしても建設業者が咎められるケースが多かったため原因をしっかりと追求する様に変化した点は多くの事業者にとって負担の軽減になります。

・事業環境の確保

経営業務は元々の規定では、過去5年以上の経験者が役員にいる必要がありました。しかし、この改正案によって、多様な人材が経営に関われる様に変化しています。下請けの企業も含めて社会保険に加入しなければ、建設業の許可・更新を認めないといった内容も盛り込まれていました。

また、事業の譲渡や法人の合併、相続の事前認可を行うことが可能となり、事業継承がより行いやすくなっています。事業者による工事現場のリスクに対する情報提供、下請が元請の義務違反を告発した場合の不利益な扱いの禁止、災害発生時の地方公共団体との連携の努力義務などもこの改正案によって定義されました。

そして今回の法律では建設業の担い手を確保するための更なる処置として、労働者の処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止、さらには働き方改革や現場の生産性向上を図るための処置が盛り込まれました。

法案の概要 - Method

国土交通省が発表した法律案の概要

1.労働者の処遇改善

・建設業者による労働者の処遇確保を努力義務とし、国は当該処遇確保に関する取り組み状況を調査・公表する。また、労務費等を確保するため、中央建設業審議会が労務費の基準を作成・勧告。受注者と注文者の双方に対し著しく低い労務費等による見積書の作成や変更依頼を禁止する。併せて受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止する。

・建設業者は建設工事の注文者から請求があったときは請負契約が成立するまでに該当材料費等記載見積書を交付しなければならない(第20条第4項)

2.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

・請負契約の前には、契約後に影響を及ぼす可能性のあるリスク情報を受注者から注文者に提供することを義務化する。併せて、資材が高騰した際の請負代金の変更方法を契約書記載事項として明確化。契約後には、受注者が契約変更協議を申し出た場合、注文者に対して、「誠実に協議に応じる努力義務」を法的に位置付けた。

3.働き方改革と生産性向上

・長時間労働を抑制するため、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止する。また、生産性の向上に向け、ICT(情報通信技術)の活用等を要件に現場技術者に関する専任義務や、公共工事発注者への施工体制台帳の提出義務の合理化を図ることとする。

・工事現場ごとに主任技術者又は監理時術者を専任で置くべき建設工事について、彼らが当該建設工事の工事現場の状況の確認等の職務を情報通信技術の利用により行うため必要な処置が講じられる等の要件に該当する場合には、当該彼らの専任を要しないものとする。(第26条第3項)


事前評価 - Assessment

1.労働者の処遇改善

全体的に規制強化であると言えます。そしてまず言えることは労働者は別に労働を強制されているわけではなく自らの自由意志で働いていることです。なのでそもそも労働者がその会社の賃金や処遇が嫌なのであればその会社をやめれば良い話であって国によって会社の処遇改善を求める必要はないのです。国が労働者の処遇確保への取り組み状況を建設業者に調査・公表したり、労務費の基準を作成したりする費用があるならば減税すれば良いのです
。そうすれば労務費の問題も改善する上に景気が良くなるので市場が売り手市場になり会社は労働者を集めるために自社の労働者の処遇改善をするのです。

2.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

これも規制強化であり、不必要なものであると言えます。これらの規制はリスクを事前に開示して悪質な業者との契約を防ぐことを目的としていると考えられます。ですがビジネスとは信頼関係のもとに成り立つものです。確かに数回は悪質な契約によって利益を上げる業者も出てくるとは思いますが現在のネット社会においてはそうした噂はすぐに広まり政府が何もしなくてもいずれその業者を契約を結ぶ会社はなくなっていきその会社は市場から淘汰されていくからです。

3.働き方改革と生産性向上

まず工期ダンピング対策に関しては工期のダンピングをするかどうかは建設業者の自由意志であり、政府が勝手に禁止するのは権利の侵害であります。また長時間労働を抑制するためとのことでありますが、1で述べたとおり長時間労働が嫌ならばその会社を辞めれば良いだけなので問題ありません。

次にICTを活用した生産性の向上に関しても業者が自ら必要かどうかを判断して対策を行えば良いので無駄な規制と考えられます。

想定質問 - Discussion

1.規制緩和に向けた動きについて

今法案は全体的に不要な規制であり今回作られたさまざまな規制がまた建設業者の規制に対応するための時間的、金銭的コストがかかります。それでは結果的に賃金も上がらず労働者の処遇を良くすることはできないと考えられます。それならば逆に無駄な規制をこれから撤廃していくことが賃金向上にも労働者の処遇も良くすることができると考えられますがそれについて国土交通省の意見を聞きたいです。

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