先日、障害者雇用を中心に始まったアメリカのコーヒーショップの記事について書きました。ビジネスはとても好調で、現在まで400人の障害者を雇用を生みだしたとのこと。
そこで「アメリカのリアルな障害者雇用の状況はどんなもんだろう」と調べてみたのですが、ハフポストのこの記事が目に留まりました。セクション14 (c)という1938年の古い規定がどうやら論議を醸し出しているようです。
セクション14(c)は、アメリカ合衆国の公正労働基準法(FLSA)の一部であり、特定の条件下で雇用主が障害を持つ従業員に連邦最低賃金よりも低い賃金を支払うことを許可する特別な証明書を取得できるようにしています。 この規定は、障害を持つ従業員がその障害によって影響を受ける生産性に基づいて賃金を定めることを可能にし、それによって彼らが雇用市場に参入しやすくなることを意図しています。
ハフポスト つまり、特別な証明証を取得さえすれば、その会社は障害者をを連邦で定められた最低賃金より低い賃金で雇うことができます、と約束しています。
なぜこれが定められたのかというと、障害者が雇用市場に参入しやすいため、とあります。しかし・・・
この制度は障害を持つ人々に対する差別的な扱いと見なされることがあり、彼らが公正な賃金を受け取り、経済的自立を達成する機会を奪っているとの批判があります。 そのため、セクション14(c)の廃止や改正を求める動きがあり、障害を持つ人々が競争的かつ統合された労働環境で働くことを支援するための法律や政策が提案されています。
ハフポスト 今はここです。「配慮」が差別となってしまった今、セクション14 (c)の廃止や改正を求める動きが出てきているところです。
ではアメリカの最低賃金はいくらでしょうか。 アメリカ合衆国の連邦最低賃金は、2023年4月時点で時給$7.25です。この金額は2009年以来変更されていません。 それとは別に州や市で決められた最低賃金もあります。一番安い最低賃金がジョージア州とワイオミング州の時給$5.15です。この場合、両州での労働者は連邦最低賃金の$7.25を受け取ります。一番高い最低賃金はワシントン州の時給$17.00です。参考までにニューヨーク市(ニューヨーク州の都市部)では最低賃金の時給は2024年で$16.00です。
では障害者に対する最低賃金はどうでしょうか。
米国の従業員に対する最低賃金は、$7.25から$15までの範囲ですが、多くの活動家はその金額を増やすために絶えず戦っています。しかし現在、一部の雇用主は州の最低賃金よりもはるかに低い賃金を障害者に支払うことができ、米国政府説明責任局の報告によると、多くの人が1時間に$3.50未満を稼いでいます。
ハフポスト 時給$3.50未満。ありえません。 しかもそれだけでは終わりません。
障害を持つ従業員の最低賃金以下の賃金は、雇用主が6ヶ月ごとに実施する時間試験によって決定され、その試験で障害のない従業員との作業の出力と生産性を比較します。
ハフポスト 考えられますか?ただでさえ低い賃金なのに、半年後ごとに査定されてさらに下げられるのでは無いかと怯えながら働く。
従業員にとって、非常に大きなストレスがあります。彼らは6ヶ月ごとにテストされ、一定レベルでパフォーマンスを発揮できない場合、給与が削減されます」と、ワシントンD.C.地域の障害者支援非営利団体メルウッドの副社長であるジュエリン・コスグローブは説明しました。 タワナ・フリーマンは、52歳の障害を持つ女性で、1996年にメルウッドで働き始めました。当時、この非営利団体は14(c)の証明書を持っており、障害を持つ従業員に最低賃金以下を支払っていました。当時3人の子供を持つシングルマザーだった彼女は、6ヶ月ごとのタイムトライアルでよくパフォーマンスを発揮して給与のカットを避けるための大きなプレッシャーを覚えています。
ハフポスト 3人の子供を育てるシングルマザー。その彼女が最低賃金以下って・・
フリーマンは、給与が数回カットされ、家族や友人の助けを借りて請求書を支払うことを余儀なくされたと言います。彼女は今でもメルウッドで働いていますが、非営利団体が障害を持つ従業員に対するその有害な影響を認識して2014年に自発的にセクション14(c)の証明書を返上して以来、タイムトライアルや最低賃金以下の支払いを受けることはもうありません。 「ああ、私は素晴らしい気分です。誰にもお金を頼む必要はありません。私が得るものがわかっているので、今は大丈夫です」とフリーマンは言いました。「私たちは普通のように感じます、まるで通常の労働者のように、仕事に行って8時間の給料をもらい、それが素晴らしいと感じます。」
ハフポスト そしてそんな声は届いているようで、このセクション14(c)を廃止しようと立法の通過を待っているのが今の状況のようです。
しかし、それを待たずして・・・
いくつかの州は、85年前の法律から離れ始めています。雇用を支援する人々の協会によると、米国の13州が障害者に対する最低賃金未満を廃止する立法を可決 しており、バージニア州および他の州でも立法が検討されています。
というわけで、障害者に対する最低賃金未満を廃止したかっこいい州は以下です。
Alaska, Maine, Maryland, New Hampshire, Oregon, Washington, Hawaii, Colorado, California, Delaware, Tennessee, South Carolina and Rhode Island have eliminated the use of 14(c) by statute.
アラスカ、メイン、メリーランド、ニューハンプシャー、オレゴン、ワシントン、ハワイ、コロラド、カリフォルニア、デラウェア、テネシー、サウスカロライナ、ロードアイランド。
パチパチパチパチ〜と拍手を送りたいと思います。