シリーズでお送りしている「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を今のダイヤで行ってみたらの検証記事、少し間が空いてしまいましたが今回は第21弾をお送りします。
第21弾は大阪の堺から、本州最南端・潮岬をチェックポイントとして、ゴールは三重県鳥羽市の鎧崎、バス停は国崎バス停となります。
マドンナは女優の高橋ひとみさん。よく刑事ドラマで拝見する女優さんですね。放映は2015年9月、ロケは同年8月とされていますが、とにかく最後まで真夏の炎天下での歩きが多く、しんどそうな回でした。
第21弾の実際ルート
実際ルートでは乗り継ぎミスもあって、3日目にようやく潮岬に到着し、4日目は奇跡とも思える長距離移動でゴールに期待を持たせましたが、最後は松阪で再び長距離歩きとなって、結果として伊勢市駅で断念となりました。
2023年のダイヤ検証
それでは、今のダイヤで行ってみると、果たしてゴールにたどり着けるのでしょうか。
実は、バス旅シリーズでは、Z第15弾でも潮岬を目指しているのですが、第21弾当時はあった新宮から潮岬へと行く熊野交通新宮潮岬線が廃止されてしまい、コミュニティバス乗り継ぎになっていて、田中さんたちご一行は苦労されていました。今回の検証でも、この廃止区間がキーポイントになりそうです。
①実際ルートになるべく沿うルート
実際ルートでは泉佐野から熊取へ出て、そこから県境を越えて粉河まで行き、そこで和歌山行の最終バスに間に合わずに粉河宿泊となりましたが、実は和歌山県境を越えるバスはもう一つありまして、りんくうタウンから岩出へと抜けるバスがあります。このバスに乗ればその日のうちに和歌山まで行くことができます。和歌山まで行けると、当初一行が予定していたマリーナシティに泊まりたくなりますが、実はマリーナシティに泊まってしまうと始発バスが遅くて翌日以降の乗り継ぎが難しくなりますので、ここは和歌山で宿泊することがよさそうです。
大阪府内でも苦労した一行ですが、和歌山市から南へ抜ける方面へもなかなかうまく繋がりません。現在のダイヤでも細かい歩きを挟みつつ、ようやく、実際ルートと同じく平橋までとなります。なお、放映当時は宿泊した愛徳荘の前までバスが行っていたようですが、今では最寄りの平橋までとなります。ちなみに、マリーナシティで泊まってしまうと苦労すると書いたのは、マリーナシティを出るバスの始発が遅く、海南駅前8時20分発のバスに乗れないからです。
3日目は実際ルートと同じく紀伊田辺へ出て、そこから熊野古道を経由するバスを乗り継いで新宮へと向かいますが、そこから先はZ第15弾と同じように新宮潮岬線の廃止の影響でコミュニティバスの洗礼を浴び、潮岬にすら行けず手前の串本宿泊となります。
4日目、朝のうちに潮岬のチェックポイントを通過し、きびすを返して鳥羽へと向かいますが、コミュニティバス乗り継ぎに苦労し、また、熊野市からの三重交通・南紀特急バスが大幅減便になっており間に合いませんでした。なお、熊野市駅からの最終バスは13時27分発で、相当早い時間に終わってしまいます。
②龍神村中心部で宿泊するルート
それでは、熊野市へ13時27分までに到着できるよう、見直していきたいと思います。
振り返ると、2日目の宿泊地愛徳荘は到着が17時半、もう少し先に進めないでしょうか。実は、愛徳荘で泊まらずに、龍神村の中心部まで行って宿泊するという手もあります。終点の近くには「丸井旅館」という名前のバス停すらありますので、ここではその丸井旅館に泊まることができたと仮定してみましょう。
というわけで、3日目中に潮岬のチェックポイントを終え、翌朝は串本からコミュニティバスを乗り継いで熊野市を目指しましたが、やはりコミュニティバスの本数が少なく、最終バスよりも1時間ほど遅くに熊野市に着くのがやっと。
いろいろと調べてみましたが、実際ルートの一行と同じく熊野古道を通って新宮と串本を往復するのはコミュニティバスの関門もあって、4日目に到達することは難しそうです。
何とか、3日目のうちに串本ではなく、もっと先の紀伊勝浦や新宮、熊野市くらいまで進んでおくことはできないものでしょうか。
③白浜を経由するルート
実際ルートでは、太川さんは当初、白浜を経由して海沿いにぐるっと行くルートを想定していたようで、その結果、紀伊田辺で熊野古道へ向かうバスを乗り逃していますが、実は、今のダイヤでは、その白浜ルートで、長距離の歩きを挟みますが、4日間でゴールに到達できるルートが見つかりました。
3日目のうちに串本ではなくもっと先まで進んでおくことを考えた時、熊野古道を抜けるバスではなく、南紀白浜空港からの空港連絡バスを利用する方法があります。ただ、藤島バス停から3kmちょっとを40分程度で歩かなければならず、ゆっくり歩いていると間に合いません。また、すでに最終バスが終わっている那智勝浦町営バスの区間は15.6kmもの長い間を歩く必要があります。ただ、それを越えれば、4日目は熊野市からスタートすることができ、夕方にはゴールの国崎に到着することができます。
④八木新宮線を利用するルート
この放映が予告されて以来、ネットで使えないだろうかとささやかれていたのが、日本最長の路線バスとして知られる八木特急線です。最後に、このバスを使うルートを検証してみました。
喜志駅から国道166号の竹内峠を越えて高田市駅まで歩き切れば、1日3本の八木新宮線の最終バスに乗車することができ、1日目で新宮に到達することができます。バス路線としては喜志駅から金剛自動車というバス会社で太子町の中心・山田まで進むことができ、そうすると歩きを4km近く減らすことができるのですが、ちょうどよい時間にバスがなく間に合わないので13kmを歩くことになります。
2日目は結局新宮から潮岬へ移動し、串本に戻るまで。コミュニティバスは本数も少ないし、最終バスも早いので、なかなか移動できません。
3日目は②で検証した4日目のルートと同じ。熊野市からの南紀特急バス最終便には間に合いませんので、かなり早い時間ですが熊野市で宿泊です。
4日目は③のルート最終日と同じです。
この結果、八木新宮線ルートを使っても辿り着くことができます。白浜周りの③ルートが3日目に18km近くを歩かされることを考えれば、初日の13kmの歩きは確かに大変ではあるものの、徒歩距離は一番少なく、楽なルートといえるかも知れません。
まとめ
というわけで、南紀特急バスの大幅減便も相まって、熊野古道経由の実際ルートではゴールできないこと、白浜周りは早歩きと長距離徒歩があるものの何とかゴールができそうであること、八木新宮線を利用するルートでもゴールできそうであることがわかりました。八木新宮線、路線バスファンにはおなじみのバスですので、この路線を使って移動したら話題性に富んだ回になったかも知れませんね。
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