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雪夜の鉄道風景写真集

12月は1年で最も日が短い季節です。
鉄道写真は基本的に昼間に撮ることが多いのですが、冬の時期はそれこそあっという間に日が沈みます。ましてや、運転本数の少ないローカル線の場合は、昼間の時間帯に撮影可能な列車はわずか数本ということも珍しくありません。
だからでしょうか。私がこれまで撮りためてきた冬の鉄道写真には、夜に撮った写真も多くあります。特に、雪国では、積もった雪が天然のレフ板になって、露出が厳しい撮影条件を助けてくれます。駅のホームの照明なども夜景撮影の味方になります。
そこで、今回は、そんな雪夜の鉄道風景を集めてみました。どうしても雪が降る北海道や東北、北陸等に偏りますが、旅情を誘う夜の鉄道風景をお楽しみください。

①宗谷本線・音威子府

宗谷本線・音威子府(2013年撮影)

まずご紹介するのは宗谷本線の音威子府駅です。日本最北端・稚内を目指すローカル線・宗谷本線の主要駅のひとつ。かつては天北線が分岐していました。訪れた日は間断なく雪が降る日。駅構内はオレンジ色の照明で包まれていました。

②留萌本線・留萌

留萌本線・留萌(2016年撮影)

2023年4月1日付で廃止となった留萌本線の留萌駅。この写真を撮ったのは留萌から先、増毛方面がまだ走っていた2016年。この日、日本海に面した留萌は猛吹雪。跳ね上げた雪がこびりついた列車は壮絶なまでの表情をしていました。駅員さんが安全を見守ります。

③石北本線・遠軽

石北本線・遠軽(2009年撮影)

旭川からオホーツク海沿岸の都市・網走を目指す石北本線は、ここ遠軽でスイッチバックします。札幌から長駆5時間をかけて網走へと向かう特急オホーツクもここで方向転換。雪の夜道を駆けてきた運転士さんが運転席から降りてきました。お疲れさまでした。

④富良野線・美瑛

富良野線・美瑛(2017年撮影)

北海道を代表する観光地、美瑛・富良野。夏は観光客でごった返す美瑛駅も、オフシーズンの冬、それも夜ともなれば静かなもの。駅前には大きなツリーがあり、イルミネーションも輝いているのですが、厳しい寒さの中、ほとんど人はいませんでした。

⑤根室本線・赤平

根室本線・赤平(2017年撮影)

かつて石炭の一大産地として賑わった赤平も、炭鉱閉山後は貨物列車の廃止や沿線人口の急激な減少による列車本数の削減で、今では6時間近く列車が来ないこともある寂しい駅になってしまいました。貴重な列車もご覧の通り1両編成の単行列車。乗客もまばらです。

⑥函館本線・倶知安

函館本線・倶知安(2010年撮影)

北海道新幹線札幌延伸後に廃止が予定されている函館本線の長万部-小樽間(通称・山線)。その中で唯一新幹線の駅が建設されるのがこの区間の要衝である倶知安駅です。新幹線建設工事が本格化し、今では大きくその姿が変わりつつあります。

⑦札幌市電・すすきの

札幌市電・すすきの(2020年撮影)

人口190万人を誇る北都・札幌。札幌は日本最北の地下鉄と路面電車が走る街。日本でも有数の歓楽街・すすきのというと真っ先に思い出すニッカの看板の前にも路面電車が走ります。やってきたのはちょうど初音ミクとコラボした「雪ミク電車2020」でした。

⑧函館市電・末広町

函館市電・末広町(2010年撮影)

今や世界三大夜景の街ともいわれる函館。市電の走る海峡通などは、あえて街灯を暖色系の電灯にしており、それが函館山から見た夜景の美しさの一助となっています。レトロ感あふれる通りにやってきたのは、これまたレトロな路面電車。背後の丸屋根のビルもいい感じです。

⑨青森駅

青森駅(2011年撮影)

かつては北海道の玄関口として青函連絡船が発着していた青森駅。多くの特急列車が乗り入れていましたが、北海道連絡を新幹線に譲った後はローカル列車の発着がほとんど。かつての東北本線から第三セクターへ移管された青い森鉄道の車両と青森ベイブリッジを絡めてみました。

⑩秋田駅

秋田駅(寝台特急日本海・2008年撮影)

かつてブルートレインと称されて日本各地を走っていた寝台特急。秋田駅にも「あけぼの」や「日本海」といった夜行列車が発着していました。夜行列車に似合うのは出会いと別れ。彼を見送りに来たのでしょうか。女性が発車間際までドアのところで話し込んでいました。

⑪奥羽本線・蔵王

奥羽本線・蔵王(2013年撮影)

細かな雪が断続的に降り続いていた山形の旅路。薄暮の時間帯、帰宅客を乗せた普通列車が蔵王駅で発車を待ちます。車体側面にまで細かな雪がこびりついています。出発信号は青。今頃、運転士さんが力強く「出発進行!」と声をあげているところでしょうか。

⑫只見線・会津川口

只見線・会津川口(2020年撮影)

国鉄型気動車キハ40の引退前にどうしても来てみたかった只見線。当時はまだ復旧工事中で、ここ会津川口駅で折り返し運転を行っていました。激しい雪が降る会津川口駅。やってきた列車は、静かながらも、そのヘッドライトは力強く駅名票を照らしていました。

⑬長野電鉄・湯田中

長野電鉄・湯田中(2011年撮影)

かつては志賀高原への玄関口として大いににぎわった長野電鉄の終点・湯田中駅。40パーミルという鉄道ではかなりの急こう配を登り詰めた先にあります。停まっているのは名車2000系。丸みを帯びた車体は何とも優美なものでした。惜しまれつつ、既に引退しています。

⑭北陸本線・魚津

北陸本線(当時)・魚津(2012年撮影)

北陸新幹線の開業により、既に「あいの風とやま鉄道」という第三セクター鉄道に移管され、走る車両も一新されましたが、国鉄時代の駅構造をよく残している魚津駅。この年は予想外の大雪。どっさり積もった雪の中、国鉄型の普通列車が発車を待ちます。女性車掌さんが安全確認。

⑮富山地方鉄道・富山軌道線

富山地方鉄道富山軌道線・国際会議場-大手モール(2012年撮影)

LRTを中心に公共交通体系を整備し、コンパクトシティ政策推進の先進都市として注目されている富山市。2009年に開業した通称・富山都心線は、富山城天守閣をバックに近代的なLRTが駆け抜けます。お城と近代的路面電車の取り合わせも、なかなか面白いものです。

⑯因美線・那岐

因美線・那岐(2022年撮影)

最後にご紹介するのは鳥取県と岡山県の県境付近にある因美線の那岐駅です。このエリアは西日本有数の豪雪地帯であり、冬ともなればかなりの雪が積もります。一両きりのディーゼルカーが緩やかにカーブする駅を発っていきました。あっという間に辺りは静寂に包まれました。

あとがき
以上、雪夜の鉄道風景をお届けしました。雪のある夜の鉄道写真は、実際はものすごく寒いことも多いのですが、なぜだか暖かみを感じることがあります。鉄道という存在がまとっている力強さや安心感を感じるからかも知れません。これからも、雪夜の鉄道風景を大切に撮っていきたいと思います。

(掲載写真はすべて筆者撮影。なお、既に引退した車両や駅舎建替え等の影響で同じ画角で撮れない写真がございます)

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