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新生活

 大学入試前期試験の発表が終り、受かって引っ越しの準備を嬉々として始める者もいれば、落ちて、中期、後期試験に望みを託す者もいる。
 思えば、息子が大学受験をしてから10年近くなる。歳をとるはずである。当時、本人は東京大学に入りたかったようであったが、成績は全く追いつかず、センター試験も東大では足切りのラインであった。
 今思い返せば、既に病気の兆候が表れていたのだろう。碌に大学の調査もしていなかった。
 だから僕が、このセンター試験の成績であれば、どこどこの大学かあそこの大学がいいよと、と助言するにもかかわらず、そこは嫌だ、あそこも嫌だというばかりで、埒があかなかった。結局妥協したのが、センター試験の結果からすると、高望みの大学であった。2次試験によっては受かるかもしれない、といったところである。変にプライドが高かった。
 結果、落ちて、ランクのずっと下の大学に受かったのだが、それもプライドが許せなかったのか、入学するのを拒み、結局浪人することになった。
 浪人して予備校に入り、勉強をしているかと思えば、遊んでばかりで、結局前年と変わらぬセンター試験の結果だった。さすがに浪人生活に疲れ果てたのか、合格できそうな大学ばかりを受けたのだが、第1志望は不合格、中期試験と後期試験に受けた大学には受かり、結局中期で受けた理学部の大学に行くことになった。
 引っ越しは、ほとんど身1つで、ほとんどを大学先の場所で購入した。僕は車で走り回って、生活用品を調達した。桜が妙に綺麗だった。
 それからは1人暮らしであったが、何を思ったのか、学校へは常に和服で通学していたようだ。本当に変人である。もともと小学生の時に落語をしていたので、和服の着こなしは十分にできていたので、不自由はなかったようだったが。
 それから先はいつか書いたと思うので、書かないが、全くの予定外の状況になってしまい、現在なお、就職できていない。病気だからしようがないが、日々、回復はしている。ただいつ再発するかわからないので、もう1人暮らしはさせられないな、とは思っている。
 
 

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