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2000年代の自衛隊〜そして(ろくでもない)新世紀へ〜

背景情報~現代という新たな冷戦の時代~

北朝鮮とかいう狂犬

 第二次世界大戦直後から現在に至るまで、朝鮮半島の北半分を不法に占拠する『朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)』と自称する国家的なサムシングが存在しています。

千里馬 一日で千里を走る馬、主体主義の象徴とされている
運用にガソリンが要らない事から、縮地法と併せて朝鮮人民軍の主要移動手段であるとされる

 この主体は我が国の国民を誘拐したり、麻薬取引で外貨を獲得したり、ミサイルを発射したり核実験を繰り返したりとマジでショッカー並にロクでもない事ばっかりする独裁的国家主体なので、何をするのか分かりません。なんだかんだ冷戦後の我が国の防衛政策に常に大きな影を落とし続ける存在であると言えます。

中華人民共和国とかいう目覚めた獅子

 日本の近くに中華人民共和国っていう人口が14億1177万8724人(さいたまスーパーアリーナ38,156杯分)も居るクソデカ国家があるんですけど、何がやべぇって一党独裁体制な上に拡張指向でこっち来ようとしてるんですよね。

全国人民代表大会は中国共産党の最高会議である
居眠りとTiktokは許容されるけど偉い人がしまわれちゃった会議

 しかもどういう風にこっち来ようとしてるかと言うとこんな感じ↓なんですよね。


我が国に於いては衝突☆グルメレースが非常に有名

 あ^~クッソヤベェ。

 という事で、我が国はこれら安全保障上の脅威に相対しなければならないという現実に直面しています。その最前線が海上保安庁、そして自衛隊である事は言うまでもありません。
 まずは2000年代の大事件を2つ見て、その後に2000年代までの防衛政策を見ていきましょう。

9.11同時多発テロ~対テロ戦争の嚆矢~

アメリカ、キレる~21世紀も戦乱の時代へ~

 アメリカ合衆国。
 ボストン港に茶葉を放り込み魔女を燃やしながら西方へ拡大し、奴隷を開放する為に南部の綿花農家を蜂の巣にして、大陸横断鉄道とT型フォードで広大な国土を縦横無尽に駆け巡り、フライドチキンとコーラを嗜む豊かで自由な人民……のうち4割が連邦政府の裏に秘密結社が存在すると信じている覇権国家。

 この国が人類史上最強とされる理由は、その国土と世界中への戦力投射能力にあります。


アメリカ合衆国本土図
pic by Ssolbergj

 ご存知のように北アメリカ大陸にこの国は存在しますが、見てわかる通り『敵とほぼ国境を接していない』のです。
 北のカナダは言わずもがな友好国ですし、南のメキシコは過去にたくさん戦争をしたものの現在は敵対的関係にありません。
 唯一の例外がカリブ海に浮かぶキューバとベーリング海峡を挟んで対峙するロシアですが、何れも海を隔てている上、キューバが独力によってアメリカに対して軍事的な攻撃を行う事は極めて困難である事はキューバ危機の例を見ても明らかである上、ロシアに対しては核抑止が働いています。

 これらの事実は本土を防衛する為に必要な軍事力はそこまで必要で無いという事を意味し、かつ戦火が及びにくいという最大の利点があります。
 その上広大な国土は天然資源が豊富で、エネルギー資源をほとんど自給する事が出来ます。これは海上封鎖が通用しないという意味であり、かつ通貨価値を高める要因になります。

 そして世界に先駆けて徹底的な工業化に成功したこの国は莫大な資本力を持ち、世界中で商売する為に軍事力を世界中に展開出来るようにしました。
 世界中に同盟国を作り、そこに基地を置き、そして強力な艦隊を遊弋させたのです。
 策源地の絶対的な安全と莫大な資金というしっかりとした足元を持ち、全球に対して圧倒的な軍事力を瞬時に投射出来るという国家は、アメリカを除き人類史上存在した事がありません。

 そんな国家の本土を冷戦終結後最初に犯したのは、アルカイダがハイジャックした旅客機でした。

二機目突入の瞬間、この瞬間事故でないことが確定した。

 当然アメリカはブチギレたんですよね。

 詳しい話は省きますが、これによって日本も対テロ戦争に参加する事になったのです。

平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成13年11月2日法律第113号)

 クソ長い名称で有名な『平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成13年11月2日法律第113号)』(以下テロ対策特措法)は、この文脈で整備されたという訳です。
 この活動では主に補給艦による洋上補給が行われましたが、憲法の関係からその海域は非戦闘海域に限定されました。
 まぁテロリストが有力な海軍力を保有していないのでそこはあんまり問題にはならなかったんですけど、アメリカが日本から受け取った燃料をイラク戦争に転用したんじゃ無いかみたいな言いがかりご指摘を国会で追求された他、活動自体は問題なく行えました。

 兵站支援というといまいち貢献度が分かりにくいかもしれませんが、戦闘活動に参加できない一方、バブルを背景にイージス艦や高速補給艦という高性能装備を保有していた当時の我が国が出来る一番良い方法だったと、筆者は考えます。
 2022年のロシアによるウクライナ侵攻でも、双方兵站には結構苦労しているみたいですから。

 さて、この活動は2007年まで続けられました。
 何故2007年までかって?特措法の延長が第一次安倍政権が短命だったせいで出来なかったからですが?(この事は第二次安倍政権に於ける恒久的な安全保障法制整備に影響するので頭の片隅に置いといてください)

九州南西海域工作船事件~Battle of Amami-Ōshima~

戦後始めて生起した『戦闘』

20mmRFSによる船体射撃

 1999年(平成11年)3月23日、日本海で能登半島沖不審船事件が生起します。週刊少年ジャンプを腹に巻いて突入しようとした海上自衛官らの逸話が有名ですが、結局臨検は敢行されず、工作船は北朝鮮に逃げ帰っています。
 この事件の反省から、防衛庁及び海上保安庁では実力規制を含めて積極的な停船措置を行う方針を固めることになるのです。

 さて、海上の治安維持を管轄する海上保安庁は、この事案以前から不審船に対する準備を重ねていました。具体的には高精度な射撃を行う事が出来るRFSRemote Firing System搭載巡視船や、特別警備隊SSTの増強等です。

 RFSとは要するに簡易的なFCSの事であり、今まで海上保安官が機関砲を砲側で照準して射撃していたものが、先程挙げた画像のように船橋から機関砲を遠隔操縦し、高精度で射撃する事が可能になりました。
 これは荒れた海でも高い精度を以て威嚇射撃や船体射撃が行える事を意味し、実際どうかは実際に20mm砲をぶっ放された工作員しか知りませんが、人に危害を加えない形での船体射撃が可能である……という事になったのです。
 これは機関砲の射程を延伸するという純有形力的観点の他、警察官職務執行法第七条但し書きと海上保安庁法第二十条但し書きに定められた危害要件を満たさない限りは武器を用いて危害を加えられない海上保安官にとって大きな意味を持ちました。
 要は強制停船を目的として、まだこちらに銃を撃ったりしてない不審船に向けて機関砲をぶっ放せるようになったのです。

 そして2001年12月22日、九州南西海域工作船事件が発生します。

 詳細な過程はここでは説明しません要望多ければ記事化しますが、海上保安庁による対策は功を奏しRFSを用いて工作船を蜂の巣にして自爆に追い込み無事日本は戦後始めての戦闘に勝利しました。

今は赤レンガ倉庫の横で晒し者にされてます
デートのついでに如何でしょうか

 この九州南西海域工作船事件と9.11同時多発テロという、2001年に発生した二大事件は、我が国の安全保障政策に大きな影響を及ぼすことになります。

自衛隊イラク派遣~戦後始めての『派兵』~

 2003年12月から2009年2月にかけ、陸上自衛隊は「人道復興支援」としてイラク南部サマーワに展開しました。
 この時代はまだまだ自衛隊に対する風当たりが強かった為、陸上自衛隊の人員は600名以下にし、重装備は持ち込まない等の制限が課されましたが、それでも84mm無反動砲やMINIMI等の重火器を持ち込んでいました。
 そう、コレは人道復興支援としながらも、自衛隊創隊以来初めての実質的戦闘能力を持つ部隊の展開だったのです。
 幸いにして一発も発砲する事無く、かつ一発も発砲される事も無く、『自衛隊を支援するデモ』が起きる程には順調に任務を完遂し、無事帰還する事が出来ましたが、『たまに撃つ、たまがないのが、たまに瑕』とさえ揶揄された当時の自衛隊が『一般隊員が一年間に撃つ量を一日で消費』するレベルの訓練を積んで行った事実上の『派兵』であると判断して差し支えないと筆者は考えます。

 この他にも自衛隊は現代に至るまで海賊対処行動を始め南スーダンPKOや東ティモール、その他のPKO活動地域に部隊ないし指揮要員を派遣していますが、幸いにもその全てで殉職者を出すこと無く帰還する事に成功しています。

海賊対処行動で活躍した長距離音響発生装置(LRAD)

 しかしこのイラク派遣以降、自衛隊に『戦死者』が出る事を前提に、それを覚悟しての派遣を行っているという認識をせめて皆さんは持っていて下さい。

 いつか『その時』は来ますから。

北朝鮮ミサイル・核問題~狂犬、走る~

北朝鮮とかいう専制カルト国家の生存戦略

 さて、1991年のソ連崩壊以降、強力な後ろ盾のうち一枚が腐り落ちてドスンと地面に倒れ、派手にバラバラになった北朝鮮は危機に瀕していました。
 いや、国民が餓死しているとかそういった些細な問題ではありません。

 社会主義が負けてしまったのです。

 
北朝鮮は主体思想を掲げているものの、大きなくくりでは社会主義側に居るという事は読者諸君には説明するまでも無いでしょう。

 で、コレは思想的にも、外交的にも非常に不味い事態となりました。人民の不満がこの機に噴出したら多分抑えられませんし、もしかしたらクーデターなんか起こるかもしれません。
 しかし、もっとヤバいのは『中国とソ連の間でコウモリしにくくなった』という事です。
 中ソは厳しく対立していましたが、北朝鮮はその間を上手くコウモリ外交する事によって上手いこと支援を引き出すというバグ技を活用し、その高い工業力を以て(イメージに反して)割とマトモな国家運営をしていました。
 しかし60年代以降、日本の賠償金を重化学工業に全ツッパしたりベトナム戦争特需でクッソ儲かった韓国の飛躍漢江の奇跡によって海空軍力で突き放され、陸軍力でさえも韓国軍に劣るようになりました。
 つまり北朝鮮は通常兵器を用いる限り『ソウルを火の海にする』事以上は出来ず、その後は『北進統一、滅共統一』とか『必勝』とか『白骨』とか明らかにヤベェ言葉を連呼する東アジア有数の精鋭機甲部隊によって、白頭山に押しつぶされる滅共プレスされるがほぼ確定していたのです。

 そこで金政権は『直接の武力衝突は即ち死を意味するが、人民にナメられても即死する』という綱渡りの中、生存方策を模索する事になります。

核しか無ぇ!!!

 さて反復横跳びから綱渡りへと競技種目を変えた北朝鮮に残った選択肢は、究極の破壊体、大量破壊兵器の長、人類の叡智と悪意の結晶たる核兵器の保有しかありませんでした。
 そこで当然、彼らは核開発とその延長線上にある核武装を目指すわけです。即ち北朝鮮には破壊体である核弾頭と運搬体であるミサイルが必要でした。
 しかも覚えているでしょうか、アメリカ、韓国、日本といった北朝鮮の敵は、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)という、北朝鮮が独自に建設した黒鉛減速炉の活動を凍結、解体することを条件に、軽水炉2基と、1基目完成までの間年間50万トンの重油を供給するというクッソ北朝鮮に都合の良い枠組みを結んでいたのです。
 これは核を日米韓が恐れている上、核を振りかざせばその実体が無かったとしても絶大な政治力と発言力を発揮出来るという成功体験を北朝鮮に与える事となりました。
 これらの事情を鑑みると、暴走列車に見える北朝鮮もなんだかんだちゃんと考えて立ち振る舞っている事が良くわかります。

16大綱~防衛省設立~

これからの時代はBMDだな!!!

 さて、そんな周辺環境の中、07大綱で冷戦の勝利を宣言し平和を謳歌していた自衛隊ですが、北朝鮮が暴れ始め中国がアップを始める等流石に冷戦後の浮かれた感じではいけないという事になり、新たな大綱を策定する事になりました。
 ここで重要なのが、『策定の趣旨』です。見てみましょうか。

「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」(平成 15年12月19日 安全保障会議及び閣議決定)に基づき、ここに「平成 17年度以降に係る防衛計画の大綱」として、新たな指針を示す。

平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について
平成16年12月10日

BMD(弾道ミサイル防衛)

 北朝鮮が2003年にNPTを脱退して以降、本格的に核武装しようとしているという情報は、米韓の情報ルートから日本国政府に伝えられていた上、どっからどう見ても北朝鮮はやべぇ自明ので、周辺諸国は対応に頭を痛ませるコトになります。実際16大綱制定直後の2005年に核武装を宣言しやがりましたし。
 そこで冷戦期に葬ったスター・ウォーズ計画の一部を墓からサルベージして、BMDというフランケンシュタインを運用することになりました。

平成20年版外交青書 HTML版より

 まず前提として、弾道ミサイルの飛翔には三段階、ブーストフェイス、ミッドコースフェイズ、ターミナルフェイズが存在します。
 キャッチボールで表すと、それぞれ『腕によってボールに初速(エネルギー)を与える段階』『ボールが弾道を描いて飛翔する段階』『ボールが速度を増しながら地面(或いはあなたの顔面)に向け突っ込む段階』と表現できます。

 具体的に見ていきましょう。
 ブーストフェイズに於いて、弾道ミサイルは地上から発射されますが、派手に噴射炎を撒き散らしながら加速して弾道軌道へ遷移します。
 BMDに於いては、ここでの噴射炎を早期警戒衛星によって観測する事でいち早く警戒情報を発報します。
 また、ブーストフェイズに於いては加速しつつ高度を上げていく訳ですが、これによって上昇中にレーダーにより捉える事が可能になります。
 レーダーで弾道ミサイルを追跡する事により、弾道ミサイルに与えられた概ねの速度(エネルギー)を推測する事ができる為、物理学的に弾道ミサイルの軌道のシュミレーションが可能となり、日本の国土ないし領海に落下すると推測されるときにJ-ALERTが発報される訳ですね。

 次のミッドコースフェイズに於いて、ブースターを分離した弾道ミサイルの弾頭は概ね安定した放物線軌道を描きます。つまり軌道の推測が最も簡単になる訳で、BMDに於いてはココが一番の勝負どころとなります。
 イージス艦はSPY-1レーダーと、VLSに搭載するSM-3を用いて弾頭の物理的破壊を試みます。
 ここで問題になるのが弾道ミサイルの弾頭は、大気圏の再突入に耐えられるよう、クッソ頑丈に作られている点です。
 通常の対空目標のように破片を浴びせかけるだけでは撃破出来ない為、直接迎撃ミサイルを弾頭にぶつけて破壊を試みます。

 ターミナルフェイズに於いて弾道ミサイルは位置エネルギーを消費し超高速で飛来します。しかしまだ着弾はしていない訳です。
 そこでPAC-3が迎撃戦闘を展開します。これを抜けられればミサイルは着弾しますので、この段階での迎撃戦闘は当然最後の機会となります。

 なお迎撃側はミッドコースフェイズに於ける迎撃の他、全てのフェーズに於いて失敗は許されません。特に探知に失敗した場合には、着弾後に気付く可能性すらあります。

 お察しの通りこのBMD、クッソ金がかかる上にバリ困難という軍事作戦としては不利を一方的に被る特性を持っています。
 しかも迎撃が成功したところで相手国の発射能力を撃破した訳では無いので第二第三と攻撃が続く可能性もあります。
 我が国は2022年の末まで、20年弱に渡ってこの軍事的不合理から目をそむけ続けたのです。
 それどころか国内では宇宙空間での弾道ミサイル破壊が他国の財産権を侵害する侵略行為であり、憲法違反であるとかいう珍説も飛び出していました。

 いや~、平和ですねぇ~。

ねんがんの発言権をえたぞ!

 さて、こんな感じで段々と厳しくなる安全保障環境を背景に、2007年日本は防衛庁を廃止して防衛省へと改組する事にしました。
 この時に一部の自衛隊員は国防省傘下の『国軍』になるのではという淡い期待を得たみたいですが、中々そうやってうまいこと行きませんでした。残念。

 防衛庁から防衛省になる事により、防衛省は主体的な予算編成と内閣での発言権を得ることに成功しました。
 これは行政組織としては大きな躍進と言えます。

 そしてこの弱小役所は2022年、財務省に本気で身売りを検討させる程の政治力を持つコトになるのです……。

 16大綱に於いては、先に見てきたようなBMDや対テロ戦争能力、阪神淡路大震災の反省を踏まえた大規模災害対処能力を重点とし、冷戦のような全面戦争に対抗できるだけの能力は徐々に減少させていくコトとなりました。

北朝鮮核実験成功~悪夢が現実に~

 2006年10月9日、北朝鮮は核実験の成功を高らかに宣言しました。

 ついに悪夢が現実となったのです。

 ただこの段階ではまだ核爆弾の実用化に成功したのみであり、核弾頭の実用化に成功したとは思われていませんでした。
 ミサイルを核ミサイルにするには、大気圏突入時の熱や衝撃に耐え、かつ軽量小型なモノで無ければならないからです。

 しかしKEDOをはじめとする様々な外交努力も虚しく北朝鮮が核実験に成功し、名実ともに核武装したというのは周辺諸国と国際社会に大きな衝撃を与えました。

 しかしながら『びっくりして、泣いちゃった』が出来るフェーズはもう過ぎていた為、国際連合安全保障理事会決議1718により本格的経済制裁を行い北朝鮮人を飢死させる方向で対抗することになりました。

 因みに『安保理決議』でお察しの通り、元々の蝙蝠外交先である中国とロシアもこの決議に賛成しています。
 これは核兵器がその実際の威力よりも、政治的な道具と化しているという側面の好例であると言えるでしょう。
 子飼いにしてるのが政治的発言力を持ったら困りますからね。

尖閣諸島問題~衝突☆グルメレース~

 2010年9月7日、沖縄県・尖閣諸島に於いて、警備を行っていた海上保安庁の巡視船「みずき」と「よなぐに」が中国漁船に衝突されるという事件が発生しました。

 文章で書くとこういう事になるのですが、

映像が……流出しちゃったんですねぇ

 うわぁ、どうしよう^^;

 これを機に日本国内に於いて『中国が攻めてくるぞ!』という世論が急速に醸成され、事実として中国海警局が尖閣諸島周辺へ頻繁にやってくるようになりました。最悪です。

22大綱~さらば基盤的防衛力~

Hello, dynamic defense force.

 さて、意外にも鳩山政権時代に民主党は防衛政策を大転換させるつもりでした。
 まぁやりたかった事は殆ど出来なかった上に普天間問題にしくじったせいで『滞りなく、直ちに』鳩山政権が崩壊し、その後の政争なんかもあって大綱が制定されたのは平成22年末にズレ込んだのですが……。

 この22大綱の目玉は、冷戦以降我が国の防衛力整備の基本となっていた『基盤的防衛力』にさよならを言って、部隊を機動的に運用する方針に転換した事でした。
 これまでの基盤的防衛力の目的は簡単に『力の空白が生じない程度の実力を保持する事によって、侵略を未然に防止する』と纏められます。
 動的防衛力は『各種事態に対して部隊を動的に運用して有効に対処し、また平素からの活動によって事態発生を未然に抑止する』と表現出来ます。
 つまり自衛隊は、この時点で存在による抑止では無く、活動による抑止を志向し始めたのです。

 更に中国、北朝鮮を脅威であると明記しました。

 我が国の防衛政策に於いて『ポスト冷戦』は、22大綱の制定を以て完全に終わったと言って良いでしょう。
 日本は22大綱を以て『新冷戦』のメインプレイヤーとして参加する準備を開始したのです。

 21世紀が平和と繁栄に基づくグローバル化の世紀になると信じていた我々の願いは無惨にも打ち砕かれ、最終の保険である自衛隊が少しずつ変容していく中、東日本大震災が発生して原子炉が吹き飛び、ついでに民主党政権も吹き飛んで安倍晋三率いる自民党政権が復活してまた安全保障政策が変わるのですが、それはまた次回のお話。

次回↓
今日の自衛隊〜もはや戦後ではない〜|botamoti・ω・記念称号民間牡丹餅設計工作局(CV.ゆっくり魔理沙(Softalk:女性2))|note

おわりに

 ここまでお読み頂きましてありがとうございました。このnoteは『自衛隊』について皆様の理解を深めて頂くため大体三部作でお送りする予定でしたが、長くなったので四部作でお送りします。(自衛隊の誕生→冷戦期の自衛隊→90年代の自衛隊→自衛隊の現在)でお送りする予定です。あまりに2000年代以降が濃すぎる為五部作でお届けする予定ですので続きは気長にお待ち下さい。
 ご意見、ご質問、苦情、罵倒、反論、指摘その他は全部受け付けておりますので、是非ともTwitterかコメント欄でお知らせ下さい。はてなブックマークも見てますまたリクエストも受け付けておりますのでお気軽にどうぞ。サラダバー!

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