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服部茂幸『危機・不安定性・資本主義 ハイマン・ミンスキーの経済学』読んだ

さて2023年も積読解消シリーズどんどんやっていこう。

約10年前に出版されて、わりとすぐに購入してそのまま放置。。。リーマンショックで脚光を浴びたハイマン・ミンスキーの経済理論を紹介するという、当時の流行りに乗って出版され、そのての経済学に傾倒しつつあった私は脊髄反射で購入したのであった。

この10年は大きくて、いま読むとずいぶんと陳腐化していた。著者はポストケインズ派に連なる経済学者であり、リーマンショック後という時代背景もあり、そのての人たちが書きそうなことが書いてある。

新自由主義経済学批判、バブルをバブルで制圧してきたグリーンスパン、バーナンキらFRB議長の批判など。Alt-A、モノライン、GSE、NINJAローンなど、あのころ世間を騒がせた単語もたくさん出てきて懐かしい気分になる。

それらはハイマン・ミンスキーの理論に基づいているのだが、要は借金が増え過ぎるとやばいっていう単純な話である。そして借金増えすぎと、それに引き続いておこる金融危機は資本主義経済においては避けがたいし、実際何度も繰り返されてきたのである。

そうした批判の多くは妥当であると思うが、だったら本書ではなくミンスキーを読めばいい。

先に10年間に陳腐化したと書いたが、ミンスキーの理論が陳腐化したわけではない。私が10年間勉強を続けた結果、ミンスキーの理論を紹介するだけの書物を陳腐と感じるようになっただけである。

ハイマン・ミンスキーだとかポストケインズ派経済学だとか、あるいはMMTなどについて知りたいならば、この10年間に出た優れた解説書を読むことをおすすめする。


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