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順調に女性医師が増えているが、男性特権を粉砕できるほどではなさそう

最近こういう意見を見ることが増えてきた。

女性医師が増えるのはたいへんけっこうなことである。

1年ほど前にこの記事を書いたときは賛同者が少なかった。

ジェンダー平等の観点から女性医師増加を歓迎する人はたくさんいるが、インフラとしての医療を考えると、専業主ふという逃げ道がないために無理な働き方が可能な男性が主体であるべき、という意見も多かったのだ。

しかし別に医療ってそんな大して役に立っていない、むしろ日本では社会の厚生を下げていることに多くの人が気づき始めたことから、女性医師増加を歓迎する向きが増えてきたのである。これはアンチフェミと呼ばれる集団においても見られる現象であることに注意されたい。

べき論はともかく、現実としては女医さんは増え続けている。是非に及ばずだ。

そして女性医師のクオリティについて疑問を持つ者も今や少ないだろう。

先日、メディカルトリビューンに東邦大学消化器外科教授の島田英昭先生がこんな記事を寄稿しておられた。

日本から女性外科医と男性外科医の手術成績を比較した研究が二編報告された、、、というものである。

1つ目はこちら。

消化器外科女性医師の活躍を応援する会会長の河野恵美子先生が筆頭著者である。

次はこちら。

消化器外科女性医師の活躍を応援する会副会長であるところの大越香江先生の論文。医局の先輩な気がするな。

NCDのデータを用いて消化器外科学会会員の執刀件数および短期成績を、学会登録後の年数、男女別にみたものである。

1つ目の論文の要点は、中等度以上の難易度の術式(幽門側胃切除、結腸右半切除、低位前方切除、膵頭十二指腸切除)に関しては、学会登録後何年目であっても、一人あたりの執刀件数は男性のほうが多いというもの。

もう一つは、幽門側胃切除、胃全摘、低位前方切除の術後合併症はほぼ変わらないか、女性のほうが少ないというものである。

これらから女性外科医は経験数が少なくても、男性と同等以上の成績を出しているといえる。個人的な経験からも、女性が執刀だから合併症が多いなんてことはない

だがこれだけでは大切なことを見落としている。

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